カバー/カヴァー(cover)とは既に発表されている曲を、他人が演奏・歌唱して発表することです。本人が発表した曲の場合はセルフカバーと言うことがありますが、よく判りません。
名曲や昔から歌い継がれている曲は、多くのアーティストたちによってカヴァーされています。
カヴァーしようとするアーティストが「その楽曲を純粋に好んで歌う」「持ち歌不足を補う」「他人への提供楽曲をファンや音楽会社の要望で録音を行な」「有名な曲をカバーすることで宣伝効果が得られる」などの理由があります。
日本音楽著作権協会(JASRAC)の管理楽曲であれば、JASRACに申請し所定の著作権使用料を支払えば、誰でもカヴァーすることが出来ますが、これは手続き上のことであって、やっぱり、作詞家・作曲家とオリジナルを唄っているアーティストへの一礼くらいは必要だと思います。
ただし、原詞、原曲にアレンジを加えると事は面倒なことになります。もちろん、カヴァーでなくて、自分自身の持ち歌であったとしてもです。
楽曲の権利(翻案権)は著作権者が専有しており(著作権法27条)、著作者は自身の「意に反する」改変を禁じる権利(同一性保持権)を有しています(著作権法20条)。
これらについては、JASRACが管理していないため、権利(著作者人格権、楽曲の翻案権など)については、それぞれの権利者に許諾を得る必要があります。
最近では1990年にヒットした「会いたい」を巡って、作詞家の沢ちひろさんが歌手の沢田知可子さんを著作者人格権侵害で訴えたことがります。
「会いたい」は沢田知可子さんの8枚目のシングルで1990年6月に発売されました。この曲は沢さんが小学生の頃に亡くなった母親を思って作った曲で、それを沢田さんは自分の体験談のように話していると沢さんは指摘しています。
また、2014年4月にTVのバラエティー番組で替え歌「安定したい」を披露したことで、沢さんは「歌詞に敬意を抱いていない」と感じ、その後、沢田さんが沢さんに無断で同曲のタイトルと歌詞の一部を変更して収録したアルバムを2014年7月に発売しました。それを受けて、沢さんは2014年11月末に沢田さんの所属事務所とCDの販売元を提訴しました。
「安定したい」
♪曲が売れた収入で
目黒のマンション手に入れ
すぐにバブルがはじけた
当時の買い値は
7000万 そして
売り値は2000万
殺意覚えた
契約決まり売却
業者にお願いしたよね
「振り込みしてよね」と
半分払って 半分持ち逃げ
騙された
ヒット一曲あっても庶民的
印税まるでないと
知ってしまったの
カラオケ みんなが歌って
いっぱい お金 入るって
全く ウソじゃない
歌手は一銭も もらえない
泣きたい
そもそも著作物とは、それを創作した人の全人格を表したものとも言うことが出来、著作物がどのように利用されるかは、単に、経済上の問題にとどまらず、著作者の人格的な問題にも関わってきますので、著作権法では「著作者人格権」として次の3つの権利を定めています。
■公表権; 自分の著作物で、まだ公表されていないものを公表するかしないか、するとすれば、いつ、どのような方法で公表するかを決めることができる権利
■氏名表示権; 自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、するとすれば、実名か変名かを決めることができる権利
著作権には財産権的な要素と人格権的な要素の2つがあります。日本の著作権法では明確に分かれていて、著作者の権利は「著作者人格権+著作財産権」となります。
■同一性保持権; 自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利
同一性保持権とは著作者が社会から作品のありのままを見てもらい評価を受ける権利です。どこかのエンブレム問題はここに引っかかります。
なお、音楽で著作者人格権が問題になる場合としては「替歌」が典型的な例になります。
著作者に無断で替歌にすることは、この同一性保持権を侵害することになるようです。
となると、野球の応援はどのようになるのかですが、これは後日(ここしか野球ネタが出なくて済みません)。