高校野球に限らず、野球には応援が付き物です。高校野球、大学野球や社会人野球の大会ともなれば、応援ブラスバンドが吹き鳴らすトランペットやホルンの演奏によって、スタンドを盛り上げ、選手を応援します。
応援には洋の東西を問わず、定番曲からご当地ソング、最新ヒット曲と盛りだくさんであり、この応援を聴いているだけでも楽しいものです。私の場合、ラジオから流れてくるアルプススタンドの応援と声援、打球音だけで充分です。
さて、そこで素朴な疑問が生じるのが人間です。
「甲子園のブラバンは著作権使用料を払っているのかな?」「さすがに甲子園の演奏は問題にならないのかな?」
などというものです。応援のために音楽を演奏するためには、著作権者の許可が必要なのかどうか。弁護士ドットコムにその見解が記載されていました。
「確かに流行曲は、みなさんご承知のとおり、『著作権』で保護されていますので、勝手に利用することはできません。しかし、実は著作権で保護されている楽曲でも、『自由に演奏』できる場合が、いくつかあるんです」ということです。
著作権法には「営利を目的としない上演等」(著作権法38条1項)に該当する場合なら、自由に演奏が出来ることになります。これは次の3つの条件を満たす場合についてのみ、公衆の場で演奏しても、著作権侵害にはならないということだそうです。
(1)営利を目的としていない
(2)聴衆から料金を受け取らない
(3)演奏について報酬が支払われない」
まず、野球の応援団が演奏することは「営利目的でない」ことは明らかであり、「応援団が演奏して、観客から料金を受けとってもいない」です。そして、「吹奏楽部員に対して、演奏の報酬が支払われていない」でしょうから、3つの条件をすべて満たしています。
ただし、問題になる場合もあります。
これは、前回、著作権のお勉強をした際にも要注意として「同一性保持権」の問題です。
応援で曲を利用する場合、実際に演奏するのは「ブラスバンド用に編曲された曲」が原則になります。いくら、非営利目的の演奏であったとしても、他人の曲を勝手に編曲して演奏すると、同一性保持権の観点で問題となる場合があると言うのです。
ですから、通常は「ブラスバンド用の楽譜」を入手して、演奏するのが一般的です。
ただ、どう考えても・・・というのはありますが、さすがにJASRAC(日本音楽著作権協会)はそこまで要求はしないでしょう。