右足首骨折などで今シーズン出場機会がなかったニューヨーク・メッツのヨエニス・セスペデス選手の来シーズンの基本年俸が2950万ドル(約32億3000万円)から600万ドル(約6億5700万円)の約80%ダウンとなったと2019年12月21日(日本時間22日)に明らかになりました。
セスペデス選手は5月18日に米国フロリダ州の球団キャンプ地近くに所有する自分の牧場での事故により、右足首を複数カ所骨折。現在も60日の負傷者リストに入っていますが、球団規約違反のため、2016年オフに合意した4年1億1000万ドル(約120億円)の契約の最終年となる来シーズンの年俸について、選手側とセスペデス選手の元代理人で、現在はメッツのGMを務めるバンワガネンさんらと話し合っていました。
セスペデス選手は今シーズンの年俸2900万ドル(約31億8000万円)も1482万1828ドル(約16億2000万ドル)までカットされており、来シーズンの年俸600万ドルは牧場での事故によるけがが開幕までに完治しなかった場合になるそうです。
ただし、開幕ベンチ入り、もしくは牧場での骨折以外のケガで開幕に間に合わなかった場合の基本給は1100万ドル(約12億円)まで回復。さらに打席数に応じた出来高も設定されており、年間650打席に到達した場合は満額の900万ドル(約9億8500万円)がプラスされます。球宴出場50万ドル(約5500万円)、ゴールドグラブ賞75万ドル(約8200万円)、MVP受賞100万ドル(約1億1000万円)、アメリカン・リーグ球団へのトレード200万ドル(約2億2000万円)、ナショナル・リーグ球団へのトレード50万ドル(約5500万円)といった項目も入っているそうです。
NPBでは、直近で2019年12月に読売ジャイアンツの中島宏之選手が、減額制限を超える87%ダウンとなる1億3000万円減の2000万円(推定)で契約更改しました。
この減額制限ですが、野球協約第92条(参稼報酬の減額制限)で、年俸の減額に関して次のように制限しています。
(1)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、40パーセントまでとする。
(2)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円以下の場合、25パーセントまでとする。
原則としてこのように定められていますが、第92条には「ただし、選手の同意があればこの限りではない」との一文があり、球団が減額制限を超える年俸を提示したとしても、選手がこれに同意した場合は契約が成立します。今まで、次の選手が減額制限以上で同意し、契約しています。
■第15位 80% 清水直行さん 2011年
2億5000万円(横浜DeNAベイスターズ) → 5000万円
■第15位 80% 菊地原毅さん 2012年
3000万円(広島東洋カープ) → 600万円(育成)
■第14位 83% 岩瀬仁紀さん 2016年
3億円(中日ドラゴンズ) → 5000万円
■第13位 84% 小笠原道大さん 2013年
4億3000万円(読売ジャイアンツ)→ 7000万円
■第12位 86% 成瀬善久選手 2018年
1億4400万円(東京ヤクルトスワローズ) → 2000万円
■第11位 87% 中島宏之選手 2019年
1億5000万円(読売ジャイアンツ) → 2000万円
■第9位 88% 伊藤智仁さん 2003年
8000万円(ヤクルトスワローズ) → 1000万円
■第9位 88% 山崎武司さん 2012年
2億5000万円(東北楽天ゴールデンイーグルス) → 3000万円(中日ドラゴンズ)
■第8位 89% 豊田清さん 2011年
1億7500万円(読売ジャイアンツ) → 2000万円(広島東洋カープ)
■第5位 90% 岩村明憲さん 2013年
1億5000万円(楽天東北ゴールデンイーグルス) → 1500万円(東京ヤクルトスワローズ)
■第5位 90% 新井貴浩さん 2015年
2億円(阪神タイガース) → 2000万円(広島東洋カープ)
■第5位 90% 杉内俊哉さん 2016年
5億円(読売ジャイアンツ) → 5000万円
■第4位 91% 今岡誠さん 2010年
1億8400万円(阪神タイガース) → 1500万円(千葉ロッテマリーンズ)
■第3位 93% 多村仁志さん 2016年
4600万円(横浜DeNAベイスターズ) → 300万円(中日ドラゴンズ / 育成)
■第2位 96% 松坂大輔選手 2018年
4億円(福岡ソフトバンクホークス) → 1500万円(中日ドラゴンズ)
■第1位 98% 中村紀洋さん 2007年
2億円(オリックスバファローズ) → 400万円(中日ドラゴンズ / 育成)
しかし、減額制限を超えた年俸を選手が不服とし拒否した場合、自由契約選手になる権利が選手には与えられています。一方で、減額制限内の減俸を提示し、選手がこれを拒否した場合、自由契約の選択肢はなく、球団の提示を受け入れるか、任意引退を選択しなければなりません。
2018年のオフには金子弌大選手がオリックスバファローズから減額制限を超える減俸を提示され、これを拒否して自由契約となり北海道日本ハムファイターズに移籍。2019年のオフは嶋基宏選手が東北楽天ゴールデンイーグルスから減額制限を超える減俸提示を受け、受け入れずに東京ヤクルトスワローズに移籍しました。
減額制限があることで、逆に選手の権利を守ることにもなっています。
トップ3は、ドラゴンズかぁ・・・。