東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大の21連勝と言うのは、もの凄い記録です。
なお、世界記録は24連勝をカール・ハッベル(ニューヨーク・ジャイアンツ)が1936年7月17日対ピッツバーグ・パイレーツ~1937年5月27日対シンシナティ・レッズにかけて記録しています。
私もいろいろと都合があるので、田中将大はこのくらいにしておきまして。
米通算4,000本安打が目前のヤンキース・イチロー。
過去に4,000本安打(以上)を記録しているのは、長い歴史のMLBでも二人しかいません(ピート・ローズとタイ・カッブ)。
日米合算の記録ということで、ちょっと厳しい見方もされがちですが、今回のイチローの記録はMLBでも注目はされているようです。
さて、そんなイチローのマリナーズ時代の2008年。このシーズンは打席に入る際のテーマ曲は石川さゆりの代表曲「天城越え」でした。
MLBの試合で演歌が流れるというのに、違和感を覚えたのと同時に新鮮味も感じました。
1987年にレコード大賞を受賞したこの曲は日本では超メジャー級ですが、米国では3Aか2Aあたりのマイナー級(と勝手に思っています)。
そもそもは、イチローが2007年大晦日の紅白歌合戦で石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」に感銘を受け、年明けに兵庫県で開かれたコンサートのチケットを買い、公演中の楽屋を訪れて「天城越え」の使用を申し出たそうです。
その2008年は、いろいろな記録超えがかかっている時期で、イチロー自身に「いろんなものを越えたい」と心に期するものがあったらしいとのことでした。
アメリカで活躍する日本のサムライにエールを送りたいとのことで、音源をプレゼントしたそうです。しかし、当のイチローから「大変恐縮ですが、これでは打席に立てません」と言って来たそうです。「打席に立ったとき、よし行くぞという気持ちになれる、肌に浸透する感じ、もっと地鳴りのするものが欲しい」との要望。
収録するスタジオと広いフィールドで実際に耳にするものとでは聞こえ方が違い、気持ちの入り方が違うってことなのでしょうね。
その時、明治座(東京都中央区)で公演中だったそうですが、スタジオに入って音を作り直し、今度はOKをもらえたとのことです。
「バッターボックスに向かうイチローさんをサムライにイメージしながら音楽を創り、プレゼントさせていただきました」
今の天城峠は車で簡単に越えられます。
でも、昔は命がけのことだったと考えます。
野球界と芸能界は分野が違う世界です。
決して交わることのないような世界観を持っているのだと思えます。
でも、その一つに自分を捧げていくという気持ち、その物事に取り組むべき姿勢の根本にあるものは同じものがあるということですね。
人は生きて行く途中で、いろんなものを越えていかなければならない時があります。