昨年のパ・リーグホームラン王の埼玉西武ライオンズ・中村剛也選手。
統一球の影響(?)でホームラン数が軒並み減少している中で、一人で千葉ロッテマリーンズを上回るホームランをかっ飛ばしました。
以前、この中村選手のバッティングスタイルについて解説した記事がありました。
それは最も力の伝わるポイントまでボールを手元まで呼び込んで、コンパクトに捉えているというスタイルです。
ただでさえ4~5メートルは飛ばなくなり、変化球の変化も大きくなったといわれる統一球に対して、適切な対応となっているらしいです。
昨年までの中村選手はミートポイントを今よりも前に置いていたそうです。
「元々は体の近くまでボールを呼び込んで打っていたんですけど、デーブ(大久保博元・元打撃コーチ)さんから『もっと前で打ってみろ』と言われて、変えてみたら見事にはまりました。それまでの感覚なら、バットが届かないくらいのポイントで振るようになったんです」
と言っていました。そのはまった結果が2008年と2009年のホームラン王となりました。
しかし、統一球となった2011年。4月の月間ホームランは6本。5月は5本と低空飛行でスタート。
それが昨年の途中からインパクトの位置が手元に近づき、ホームランを一人だけ量産です。
そのきっかけが6月初旬に左手にデッドボールを受けた翌日の試合。痛くて左手は添えるだけで力が入らない状態だったそうですが、その試合でホームランを放ちます。これがその後のホームラン量産のきっかけになったとの事です。
簡単に考えますと、左手は添えるだけで力の入らない状態だったということは、右手一本で打ったということです。
中村選手のコメントには
「左手に、まったく力が入りませんでした。右手一本でバットを振らざるを得ない状態です。でもそんな状態で臨んだ翌日の試合で、納得のいく本塁打が打てた。左手は使い物になりませんから、右手に力を入れてバットをより前に押し込めたんです。そこで、ハッキリ認識しました。『ああ、統一球を飛ばすにはこの右手を押し込むイメージが重要なんだな』と」
とのことです。
その6月には9本、7月8本、8月5本、9月11本とホームランを増やしていきます。
つまり、ボールをギリギリまで引きつけ、バットにボールを“乗せる時間”を長くとる感覚とでもいうのでしょう。
もちろん、これだけではないでしょうから、誰もが同じバッティングスタイルで上手く行くとは限りません。
統一球に上手く対応することができた一例なのでしょうね。