サッカー界のスーパースターのクリスティアーノ・ロナウド選手(レアル・マドリード)がイメージキャラクターを務める商品のイベントで、2014年7月に来日していたときの出来事です。
会場では、選ばれた数人の方が直接ロナウド選手に質問ができるというイベントが催されていました。選ばれたファンの一人の少年が、ポルトガル語で一生懸命にロナウド選手に質問をしました。
ロナウド選手は少年の質問を真剣に聴いていました。
少年:僕の夢は将来あなたと一緒にプレーすることです。どうすれば夢が叶いますか?アドバイスをお願いします
しかし、たどたどしいポルトガル語だったためか、会場からは笑い声が沸き起こりました。
すると質問を聴き終えたロナウドは、会場に向けてまず一言いいました。
ロナウド:なぜ笑うんだ?彼のポルトガル語は上手だよ。一生懸命に話しているんだから、笑うことはないだろう
と、少年の努力を認め、会場にいた人たちに対し、少年を笑ったことを注意したのでした。すると、会場からは一転して大きな拍手が起こりました。
そして、ロナウド選手は、少年の質問にこう答えました。
ロナウド:信念を持って努力し、チャンスを逃さないことだよ
それから、6年半が経った2021年1月11日、少年は埼玉スタジアムで金メダルを胸に下げていました。その少年は、第99回全国高校サッカー選手権大会を制した山梨学院高のMF・岩岡遼太選手だったのです。
当時、お父さんが、「ポルトガル語で質問したらどうだ?」と提案し、岩岡選手もその方がロナウド選手も喜んでくれるだろうと思って、当時かよっていたフットサルのスクールにいた日系ブラジル人のコーチに質問を翻訳してもらったそうです。
イベント会場には多くの報道陣や関係者がたくさんいたこともあり、岩岡選手は緊張のあまり頭の中が真っ白になったそうです。それでもずっと練習をしてきたポルトガル語を必死で話そうとしていたら、周りの大人たちが笑って、「なんで笑っているんだろう?」とわからなかったそうです。当然、ロナウド選手が会場の人たちに話したこともわからず、会場から大きな拍手が起きたときは、「ロナウド選手が何か面白いことを言ったのかな?」と思っていたとのことです。
その状況をしったとき、ロナウド選手が返してくれた質問の答えの意味がより深いものだと感じそうです。
岩岡選手は中学時代には強豪として知られるFC多摩ジュニアユースでプレーし、高校進学時は高校サッカーの強豪校に進み、プロになりたいという思いから、千葉・市立船橋高と千葉・流通経済大柏のセレクションを受けましたが不合格となり、山梨学院高へと進学しました。
一年生のときは下のカテゴリーでプレーし、二年生になりAチームのメンバーに入ることができましたが、公式戦出場はありませんでした。そして、三年生になって新人戦はボランチのレギュラーとして試合に出場することができましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で部活が中断し、夏に活動を再開すると、ポジションは二年生に奪われてしまいました。
それでも、「諦めないで自分を信じて努力を重ねていればいつかチャンスは来る」とロナウド選手の言葉を胸に、日々のトレーニングでは一切手を抜きませんでした。
インターハイがなくなり、最後の全国大会となった選手権予選ではチームは順当に勝ち上がり、優勝しましたが、岩岡選手は1試合もベンチに入ることができませんでした。全国大会本番までの期間、チームは9月に開幕したプリンスリーグ関東のラスト3試合を戦い、この3試合は選手権での手の内を隠すために、レギュラーメンバーではなく、控え選手中心のメンバー編成となり、そこで岩岡選手は3試合でスタメン出場を果たしました。
「僕の中でこの3試合がラストチャンスだと思っていました。夢だった選手権出場を手にするためには、この3試合で結果を出せばチャンスはあると思っていた。自分を信じて、全力でプレーをしました」
その結果、全試合フル出場を果たし、球際の激しいプレーと相手の状況を素早く察知してポジショニングをとる守備センスが認められ、選手権の25人の登録メンバーに入ることができました。
選手権大会一回戦はベンチ外でしたが、この試合でCBの選手が負傷したため、二回戦ではベンチ入りし、後半アディショナルタイムから出場し、勝利に貢献。そして、三回戦でついにスタメン出場を手にしました。
しかし、この試合でケガを(右足のくるぶし付近の骨が剥がれて、重度の打撲状態)してしまい、準々決勝、準決勝、決勝をベンチの裏のスタンドで見つめることとなってしまいました。
表彰式の後、金メダルと優勝旗、優勝トロフィーを持って喜びをわかち合いながら、報道陣のカメラのフラッシュを浴びました。6年半前、頭の中が真っ白で何が起こっているのかわからなかった少年が、成長して夢を果たしました。
しかし、岩岡選手のサッカー人生が終わりではなく、山梨学院大に進学して、大学経由でのプロ入りを目指すそうです。
「信念を持ち、努力を重ねて、チャンスを逃さないことだよ」
あらためて、2度とこない今日という1日を大事に大切に過ごしたいと思います。
良いことはずっと続き、良くないことには、必ず終わりが来ると信じていきましょう。
今日も、私のブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。明日もまた、元気にここでお会いしましょう。