野球小僧

契約金 1億円

大学の明治神宮大会も終わり、ドラフト指名された最上級生はいよいよプロ野球選手との契約に入ります。すでに、社会人や高校生の中には仮契約を済ませている選手も多いです。
俗社会に暮らしている私にとって、契約金の金額は別世界での通貨基準でして、見たこともない数字の世界です。

最近はドラフト1位の社会人・大学生では契約金1億円+出来高5千万円というのが申し合わされています。ただし、野球協約には明確に定められてはいないため、これを超えた場合の罰則などはありませんでした。ただ、その後2007年にこの申し合わせを超えた契約金を与えた際、当時のコミッショナーが厳重注意し、「申し合わせに反するとして制裁を科すことは適当でないが、野球協約第194条にいう『野球を不朽の国技とし、利益ある産業とする目的』に抵触する疑いがある」と通知し、それ以降最高標準額を破った場合は罰則が与えられることになっています。

オリックスバファローズは2000~2002年にドラフト会議を経て入団した一部の選手に対して入団後に条件を満たした場合にのみ契約金を後払いし、入団時には契約金を支払わないという契約金ゼロという制度を設定し話題になったことがあります。ただし、契約金ゼロで入団した10選手は2002年の高見澤考史さんと、東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍してからの中島俊哉さんを除いて、一軍ではほとんど戦力にならりませんでした。

また、ドラフトを経て入団した新人だけでなくFAを経て入団した場合でも契約金は発生し、FA宣言した選手は年俸とは別に契約金を得ることが出来ます。残留する場合は上限無し、移籍した場合は翌シーズンの年俸の半額が契約金の上限となります。契約内容によっては契約金なしの場合もあります。

ちなみに、2006年の高校生ドラフト1位でヤクルトスワローズに入団した増渕竜義さんはドラフトで指名されると、すぐにチームの関係者が学校に来て、そこで仮契約を結んだそうです。

しかも、この仮契約の時にいきなり契約金8千万円と年棒8百万円の提示があったそうです。新人は基本的にはチームが決めた金額を受け入れることになるそうです。増渕さんは監督さんからその金額を聞いたそうですが、まだ高校生ですからピンと来なかったそうです。

さて、他人のお財布の中を覗き込むのは、あまりいい趣味ではありませんが、やっぱり気になるものです。ちょうど、サラリーマンの年末調整の時期ですので、この契約金にはどのくらいの税金がかかるか計算してみましょう。

まず、この契約金ですが「事業所得」として所得税が課せられることになります。所得税は超過累進課税が採用されており高額になるほど高い税率が課せられることになります。例えば1億円の契約金をもらい、最高税率の45%で計算しますと、他に所得がない場合には4千5百万円の税金が課せられて、手元には5千5百万円しか残りません。

一度に課税をすることは少々かわいそうだということがあってか、どうかは判りませんが、「臨時所得の平均課税」といって、新人選手の契約金のような場合では、それを一度に課税するのではなく、5年間に分けてもらったものとして課税することになっています。一度に課税をされたときに比べるとかなりお得な税制といえます。

1億円の契約金を5年にわたって2千万円づつ分割してもらっていれば、毎年の税率は最高でも33%となり、1年間の税金は660万円となりますので、5年間で3千3百万円。1千2百万円も節税出来ることになります。ドラフト1位で入団しても厳しいプロの世界ですぐに良い成績を出せるとは限らず、2年目以降は収入が激減するかも知れませんので、お金は大切にしなければなりません。

ちなみに、2007年10月にこの申し合わせ事項の厳格化を決める以前の契約金について、2012年3月15日付けの朝日新聞が契約金ベスト5を発表しています。

2000年 〇〇〇之〇選手 10億円
2004年 〇〇口〇〇さん 7億円
1997年 〇橋〇〇監督    6億5千万円
1998年 上〇〇〇選手    5億円+退団時の功労金1億2000万円
1998年 〇〇〇広さん    5億円+退団時の功労金7000万円+出来高3000万円

契約では1億5千万円を超過する金額について、複数年にまたがって分割払いするとし、各年の出来高条件の一部をクリアした場合に支払われるとされていたそうです。この出来高払いは税務上、契約金の分割払いとみなされ、通常の出来高払いとは違う会計処理をしていたそうで、各選手も税務申告する際、契約金の一部であることを明らかにしていたそうです。国税当局も税務調査などでこうした内容を把握していており、税金はきちんと支払っていました。

ただし、気になるのは1998年入団の上〇〇〇選手と〇〇〇広さんです。上〇〇〇選手はFA宣言で海外へ、〇〇〇広さんはトレードで他チームへ移籍しており、契約時の「退団時の功労金はどうなったか?」点です。まさか、それは支払っていないと思いますが。

さて、この問題に関連して、該当チームは朝日新聞を提訴していました。

一つは「この契約が球界を統括する日本野球機構(NPB)から、厳重注意処分を受けるような行為だった」という報道内容が正しいのかどうか。もう一つは、「一定の成績を達成した場合に支払われる出来高払いの報酬(報酬加算金)が「契約金」に含まれるか否か」です。

2016年6月8日の東京高裁の判決では、「NPBから厳重注意処分を受けるような行為だったという点」については真実ではなく、NPB関係者に取材をせずに誤解したまま記事を書いているとして、名誉毀損の成立を認めました。ただし、「報酬加算金は球界が2001年に導入した出来高払いを制度化したもので契約金とは性質が異なる」としたうえで、「チームの内部資料に両者を区別せずに記載する慣行があった」ことなどから、報道が「誤りとまではいえない」としています。なお、朝日新聞は上告しています。

さて、微々たる金額ですが、年末調整の手続きでもしなくては。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
ピンポンです。モナ王です。

私も契約金はないですねえ。良い契約があれば、話を聞くように門戸を開いているのですけどね。

でも、契約金はほとんど税金ですから、年俸を高めにして欲しいですね。

「現金以外の取り引きはしないことにしている」 by デューク東郷
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

契約金ね~半世紀以上生きてきて一度も貰ったことはありません。
出来高は・・某社の前に年俸の頃そういう契約があったことはあります。
勿論桁は違いますよ!!

2004年の 〇〇口〇〇さんって 7億円ですか~
他の人と比べると相当コスパ悪いですよね~
1998年 〇〇〇広さんは多分 〇宏さんですね!?(mona?(笑))

年末調整の手続きは終わりましたよ!
超微々たる金額・・・返して頂きましょうかね~(´∀`*)
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