任天堂が2月24日、人気レースゲーム「マリオカート」を真似した公道カートレンタル会社に、1000万円の損害賠償と行為の差し止めを求めた訴訟を東京地裁に提起しました。訴えられたのは、東京都品川区に本社を置く「マリカー」とその代表取締役です。
実は私は昨年10月にこのマリカー集団に第一京浜の路上で出会っていました。
このときには、マリオ、ルイージやヨッシーの着ぐるみを着て、カートに乗った集団が高架下の駐車場からぞろぞろと出てきたところでした。その時には「面白いものだな」と思ったとともに「カートで公道を走っていいのか?」と、あまりにも車高が低く、車の死角に入りかねないため「危ないな」と思ったものでした。
そもそも、公道をレンタルカートで走ることは面白いのかも知れませんが、このレンタルカートに、ゲームで有名なマリオカートのイメージを合体させて、マリオやルイージ、ピーチ姫などのキャラクターのコスチュームをお客さんに貸し出し、単なる公道を走行とは違う、思い出を付加価値としたところが、人気となったものだと思います。
その後、ニュースでも取り上げられて、外国人観光客にも人気であり、SNSに投稿したお客さんに対して、レンタル料金を無料にしたり、割引するという仕掛けをしていました。同様のことをしているレンタルカート会社は 他にもあるようですが、今回、その中の1社が任天堂から訴訟を起こされたというものです。
任天堂はマリカー社が、お客さんにカートをレンタルする際、「マリオ」などのキャラクターのコスチュームを貸し出し、そのコスチュームが写った画像や映像を許諾なしに宣伝・営業に利用するなどしていると指摘。こうした行為が、「不正競争行為および著作権侵害行為にあたる」と主張しています。
一方で、マリカー社は「複数の弁護士・弁理士の専門家に相談をし、私たちのサービスが、任天堂様に対する不正競争行為及び著作権侵害行為には該当しないと判断した上で、サービスを提供してきました」との声明を発表しています。
今後、裁判がどういう形で進んでいくのか興味はあります。ただ、現在のところ、マリカー社のHPは見られません。別に悪いことしていないのであるならば、堂々としていればいいのに。
さて、私が感じたカート(いわゆるミニカー)の違和感については、次のようになっているようです。
「自動車」には「座席ベルトの着用義務」があります。「原動機付自転車」には「交差点における二段階右折義務やヘルメットの着用義務」があります。しかし、ミニカーにはこれらの義務がないそうです。その理由は、ミニカーは道路交通法上は「自動車」に、道路運送車両法上は「原動機付自転車」に位置付けられるからだそうです(総排気量、定格出力、車室の有無、輪距など、各法令の規定を満たしていることを前提)。
つまり、ミニカーは道路交通法上の「原動機付自転車」ではないため、交差点における二段階右折義務やヘルメットの着用義務はありません。一方で、道路運送車両法上では「原動機付自転車」に定義されるため、座席ベルトの設置義務がありません。そして、道路交通法上「自動車」には座席ベルトの装着義務がありますが、道路運送車両法上、座席ベルトの設置義務があるものが対象となっています。「ミニカー」は座席ベルトが設置義務がないので、装着義務がありません。と、ああ言えば、こう言う状態になっています。
こうなってしまっているのは、法律によって目的に違いがあるからです。道路運送車両法は、車両の安全性の確保等を目的としている一方、道路交通法は道路における危険を防止や交通安全等を目的としているので、定義に違いが生じてしまうそうです。だったら、いっそのこと、両方の規定を適用すればいいと思うのですが。
どちらにしても、どの規定が適用されるか理解せずに運転していると、各種法令に違反する可能性があります。何をするにもルールを守ることは重要なのですよね。