単なるアジアナンバー1の座を懸けた決勝戦ではありません。日本と韓国の両国のプライドとプライドが激突する日韓戦でした。
「オリンピック出場を決め、日本では祝賀ムードだが、勝つか負けるかでそれは一変する」
韓国との決勝戦に控えた記者会見で、手倉森監督はそう言い放ちました。U-23韓国は現在まで34戦無敗中と結果を残し続けていて、この世代は最強と呼ばれています。決して日本も引けを取らないはずですが、ここまで結果が残せずにいました。正直、この大会での優勝という結果は想像できませんでした。
最後まで諦めない姿勢、気持ちが大事なのを改めて思い知らされました。
そして、もう一つが、いかなることであっても、人は成長するものだと。それが、また強さを生んでいくということを。
日本は前半20分に今大会初めて先制点を奪われ、後半2分にも追加点を奪われ、きっかけをつかめずにただ時間だけが過ぎていく苦しい展開でしたが、後半15分にMF大島選手(川崎フロンターレ)に代えてFW浅野選手(サンフレッチェ広島)を投入すると、その浅野選手が22分にを1点を返し、直後の23分にMF矢島選手(ファジアーノ岡山)が立て続けにゴールを奪い同点に追い付きました。
さらに36分にまたも浅野選手が決勝点を奪い3-2と試合を逆転し、その後、韓国の猛攻を防ぎきり、日本は劇的な逆転勝利を挙げました。起きていて良かったです。
韓国には1996年アトランタオリンピックアジア最終予選でも決勝で敗れています。2012年ロンドンオリンピックでは3位決定戦で敗れ、韓国選手が竹島領有を主張するメッセージを掲げて騒動に発展。2014年の仁川アジア大会準々決勝でも敗れています。日本にとっては負けられない相手にようやく、しかも、単なる勝ちではない、価値ある勝ち方が出来ました。
古くは1986年のメキシコワールドカップに韓国が32年ぶりに出場した時、日本もワールドカップに出たいと思わされ、強くなってきた歴史があります。そして、お互いにアジアの頂を目指し、切磋琢磨してきました。
最大のライバルは、最大の手本です。
2016年ドーハの決戦、最終章。
宿敵をたたき、アジアの頂に立ちました。
しかし、韓国代表の申監督が言うとおり「地球が滅亡するまで韓国と日本の戦いは続く」ことでしょう。リオデジャネイロオリンピックには、さらに強くなり、世界を相手に勝ち上がっていく姿を見たいと願います。