【裏定石で世界を変えちゃうの巻】
■「村正の妖刀」定石は、
本拠地同好会でも、駅前碁会でも、“別荘”碁会でも、
五段以上の碁に時折現れます。
小目に高ガカリし、それを二間高バサミすると始まりです。
わたしは、高ガカリして、はさまれた石から、
一間トビを三つ打ってアタマを出し、
小目の下にツケる「簡明定石」を愛用しています。
勝率が悪くないのですが、少し変化も楽しみたいと思っています。
■では「妖刀含みの裏定石」をやってみましょう。
「妖刀の本家」同様に変化が多く、
ヨミに時間が掛かりますので、
入念局用でしょうか。
時間制限のある大会では、ちょっとヤル気が起きません。
▲白4のツケに、黒は2線をハネて受けるのが、穏やかな「基本定石」
白はこの後、地を稼ぐ手順が多いのですが、中央にアタマを出して戦う変化もあります
▲「妖刀の本家」
とても扱いきれるものではありません
もう一つ、30年近く前から打たれ出した大ゲイマガカリもありますが、
わたしは勝率が今一つなので止めました
▲黒2のハネ出しが本日のテーマ
これも変化が多く、一歩間違えると奈落の底です
▲左下スミに黒石があり、黒のシチョウが有利の場合はどうか?
白は黒1子を抱えることができません
石数といい、碁形といい、
黒が有利の展開と思います
▲今度は黒のシチョウが悪い場合はどうなるか?
白が地を稼ぎ、黒が勢力の互角の分かれ
白は10目強の「いい地」になりますが
黒の勢力(厚み)も今後の戦いに威力を発揮します
わたしは黒を持ちたいと思うのですが、いかがでしょうか?
◇
▲武宮流大模様作戦
1969年プロ十傑戦の本田邦久七段(黒)―武宮正樹四段戦
たった一人で碁の世界を一変させた「宇宙流」の代表局の一つ
白番・武宮はこの後、右辺一帯を大模様とした
▲参考
武宮はなぜ白8の下ハネの「基本定石」を選択しなかったのか
右上スミの「目外し」と連動した「右辺と中原を重視する大模様作戦」が
不発に終わるから、といわれています
左上と左下に黒石があるのに、大模様作戦とはーー
わたしには、まだとても使いこなせそうにもありません
やっぱり凄いですね、世界の武宮!
村正の妖刀 小目への一間高ガカリに二間高バサミしてから変化する定石。難解で未解明部分が多く、変化形も多い。一手誤ると致命傷になるところから、名刀にちなんで命名された。妖刀定石ともいい、大斜、大ナダレとともに大型三大難解定石とされる。昭和初期から打たれ出し、今も高段者に人気の定石の一つ。