囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

ノゾキの成功例1

2019年09月26日 | 【カベ突破道場】

前回投稿「ノゾキの魔力」の実戦例を掲載します 

 

狙いを秘めた一撃の巻】

 

 

■3年前、碁界に衝撃を与えた「人類最強VS人工知能(AI)」の頂上決戦。

「グーグル ディープマインド チャレンジアップマッチ」の第1局です。

序盤、AIが「ノゾキ」を起点とした鮮やかな手順で、イ・セドル九段から「技あり」を取ります。

 

         ◇

 

■この対局の流れをざっくり説明しておきます。

・序盤で、AIが定石外れを打って小さな驚きが広がりました。

・この後、さらに強烈な一手を繰り出して技あり

・人類最強もアノ手コノ手の勝負手を繰り出しました。

・しかし、最後まで逆転に至らず、無念の敗退となりました。

 

■この瞬間、コンピューターが越えられなかった最後のカベ「複雑系ゲーム」を初めて攻略したのです。

グーグル社は、このビッグイベントで「AIの進化」を大きくアピールしました。

その後、バージョンアップ版がネット碁で世界トッププロ数十人に連戦連勝。

ランキング1位との公式戦も制し、役割を終えたとして「囲碁」から手を引きました。

 

■AIは、これまでの「常識」が「最善ではなかった」ことを明らかにしました。

人間がコンピューターに敗れたことばかりがクローズアップされましたが、それだけではありません。

「人間の知」が、さらに進化する新たな流れを作った、と思います。

人間とAIが共存する新しい時代に入ったのです。

 

 

 

▼第1図 1~10 

 

黒が小目と小目のセット

白が二連星

ここまでは、よく出てくる布石

 

黒7はあまり見かけない手

イ・セドルは局後、過去にも記録に残らない予選で打ったことがあると話している

「研究済みの手」で人工知能(AI)を試そうとしたようだ

しかしAIは、30秒から2分ほど考える「いつものリズム」を崩すことなく、

考慮時間1分弱で白8を打った

 

問題は、白10の下ツケ

わたしが持っている日本棋院監修の定石小事典では、「手順が悪く、疑問手」となっている

正しい手順は、一間トビを二つ打ってから、10の下ツケとあるのだが……

これは、AIの新手だろうか?



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