【マスク、その不人気と人気の時代 の巻】
■すべて禍(わざわい)というものは
口から生ずるものゆえ
これを慎まねばならない
という意味。
語源は古典にさまざまあり、
「禍は口より生ず、口舌は身を切る斧なり」
あるいは
「口はこれ禍の門、舌はこれ禍の根」
などとある。
口は災いの元、という言葉もある。
◇
■こちらの「口」は、病気の出入り口のこと。
マスクは元々、「健康器具」として売り出された。
日本では明治13(1880)年9月の新聞広告で
「此レスピトール(呼吸保護器)の効用は肺病又はのどの病める人、
常に風をひき易き人、ぜん息、たんせき、或ひは寒き風を厭わず
旅行する人などに一日も欠くべからざる良器なり」
と掲載された。
しかし当時はあまり売れなかった。
それがスペイン風邪によって、
マスクが盛んに使われるようになった。
今から百年余り前のことである。
スペイン風邪 1918~19年、世界的に大流行したH1N1亜型インフルエンザの通称。感染者は、5000万人とも、世界人口の約27%(18億~19億人)とも、いわれた。死者数は1700~5000万人以上とされ、1億人を超えていたとの推計もある。感染者が初めて確認されたのが、第一次世界大戦に中立的立場のスペインだったため、この名がある。この疫病で多くの死者が出て、徴兵できる成人男性が減ったため、大戦終結が早まったとの指摘もある。
▼最近、これがないと電車も乗れない事態になっている