忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」

2008年10月14日 | 過去記事
■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」1

八角(ダイウイキョウの果実)。

香りがアニスに似ているということで「スターアニス」とも呼ばれるらしい。中国原産のシキミ科の常緑高木で、学名はIllicium verum。花は赤褐色で果実は香辛料となる。

なんでも台湾料理には欠かせないらしい。調べてみると「染み入るような香り」とあった。確かにある意味「染み入った」。しかも、消化器系全体に優れた効能があり、胃腸の調子を整え、便秘にも効くという。また、女性ホルモンの分泌を促すことにより、「月経前緊張や生理痛を和らげる働きがあぁ~~る!」そうで、更に「精神を刺激して元気づける」効果も得られるという優れものである。「元気づける」ってなんだろう。

その八角にやられた私が、3キロほど痩せて日本にさっき着いたよ。ただいま。りーほー。

家に着くと、5日ぶりくらいに感動の再会をした妻から、

「おとしゃん!!かっこよくなってる!!ww」

と笑われた。痩せたのだ。目がでかくなったと言われた。なにしろ、食べる量は10分の1、歩く量は20倍、気温はプラス10度、汗の量は250倍である。想像してみてほしい。私がバイキングで「チーズケーキ」を取りに行く姿を。ババロアを「美味しい!!嗚呼ぁ!!美味しいよ!!」と貪り食う姿を。マンゴーをしゃくしゃく喰らう悲しき姿を!!

で、

無事に辿り着いた日本の我が社(家ではなく社・泣)。ひとしきり段取りが済んだ頃を見計らって、絶対に譲らないという決意を込めて言い放つ。

『飲みに行くもん』

明らかに「仕事中」である工作員2号と業者さんを連れ去り、15%引きのゴールドカードを発行してくれる居酒屋に飛び込む。「お造り」(※サシミではなくお造りね!)と日本酒を注文。“刑務所帰り”のように感動する。嗚呼ぁ・・・美味い。うんまい。「味」が「美しい」と書いて「美味」・・八角がない幸せ・・・八角のない生活・・・八角のない空間・・

「2」へ

■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」2

ところで、一緒にいたハゲゴンはともかく、しーたんも逞しいな。

でも、しーたんは、そんなか弱い私を気遣ってくれた。異国の地で子猫のように弱々しくなった私を気遣ってくれたのである。なんと優しいのか。まさに「アジアンビューティ・し様」ではないか。それに比べて、自分だけむしゃむしゃと、まるで現地人のように八角を貪り食う、ハゲゴンはどうだ。明らかに●んこの臭いがする臭豆腐をほうばるハゲゴンの好奇心はどうだ。「美味しいなぁ!台湾は美味しいなぁ!」と繰り返し、食が細くなった私を嘲り笑うかのごとき食欲。恐るべき適応力。驚愕の順応性。どっこいポジティブ。

そして、10月だというのに強烈過ぎる台湾の日差しを照り返す頭頂部。どこに行ってもニコニコと、誰であってもニコニコと振舞えるハゲゴンは、やはり、すごい漢であった。

というか、私が意外にも「デリケート」であるということが八角、いや、発覚したこと(台湾ギャグ)の意味は大きい。

このバリケードのような体躯にカスケードのような下腹、更にマスタードのようなスパイシー辛口な私が、まさかデリケートだったとは・・・

「どこでも生きていける」というのは、私の驕りだった。無理です。ごめんなさい。

しかし、そんな私を妻は慰めてくれるのだった。

「おとしゃん!まあまあ、どすこい、どすこい!」

妻よ。ありがとう。でも、そこは「どんまい」だ・・・(宇治市ギャグ)

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■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」3

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台湾――――

人口2300万人。ユーラシア大陸の東側にあるサツマイモのような形をした島国。鉄製の「空を飛ぶタイムマシン」に乗って、2時間半ほどするとイラ・フォルモサ(麗しの島)台湾に着く。日台交流会会長・野口氏のご好意で、虹の会からは会長・しーたん・私の3名が参加させてもらった「台湾旅行」の中身は想像を絶した。

連日、李登輝元総統閣下にお会いできたのも強烈な思い出となった。

さて、

身内ネタ満載の「台湾珍道中」は別のところで書くとして、だ。今日は「台湾」という国の感想なんかを書いておきたいと思う。

初日の夜。会長としーたんと共に、ホテルのBARで飲んだあと、私は一人で台北の街を飲み歩くことにしたのだった。会長に「朝までに戻らなかったら警察に連絡して探してくださいね?」という半分冗談ではない依頼をして、ボーイさんに「独りで飲みに行きたいのだが?」と聞くと、快く紹介してくれたクラブに行くことにした。

ボックス席が6つほどのクラブ。地元の人もいた。たぶんアッチ系の人達である。私はそこにズンズンと、周囲の注目を浴びながら入り込むのであった。いや、いや、どうも、私がガチコメです。いやどうも。

飲み放題で2500NT$。安いのか高いのかもわからない状態で水割りを頼む。

先ず、日本のクラブと違うところ発見。いや、もう、八角(発覚)。しかも、いきなり臭豆腐(泣)。なぜにウィスキーと臭豆腐か。もちろん、テーブルの端っこに追いやる。でも、その圧倒的存在感はその程度でどうにかなるものでもない。優しそうなママに言って持ってってもらった。あとは、「スイカの種」。これもまた臭い。まさにごめん臭い、これまた臭い、ああぁくさである。

「4」へ

■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」4

日本語ペラペラ、私の妻よりもペラペラのママに話を聞く。やっぱり、本省人であった。

止むことのない「卡(上に下)拉OK」(カラオケ)は、3曲に1曲程度が日本の歌、それも日本語で歌うおっさんがいた。「骨まで愛して」は3回聞いた(笑)。

ママは座るとすぐに、

「女の子どうする?ロング?ショート?かわいい子いるよ。」

と聞いてきた。髪の長さではないらしい。私はのんのんと答える。すると、

「男?」

と聞かれることになった(笑)。もちろん、それものんのんだ。

「飲みたいだけだから、気にしなくていいです。」

と伝えると、少し警戒していたが、すぐに仲良くなった。さすが私。

「李登輝さん、大好きです。」

とママは言う。無論、そのような場で政治や歴史の話はしない。ただ、ちょっと聞いてみただけなのだが、やはり国民党は嫌いだということ、もちろん支那共産党もとんでもないということはわかった。明日、李登輝さんに会うというとびっくりするだろうなぁ・・・と思いながら、異国情緒溢れるクラブで飲んでいた。

近くに「ショットバー」があるという。次の店、決定。

チェックを頼むと、ママが1500NT$だと言う。「オマケ」だと笑う。なんとも商売っ気のない人だ。女の子を侍らせないとはいえ、相当飲んだのに。1000NT$もオマケとは・・次に来るかどうかもわからないのに。しかも、次の店まで案内してくれると言う。

ボーイッシュな女の子が案内してくれる。その子にも、店の中では警戒されていた私だが、外に出ると気さくに話しかけてくる。カタコトながら、十分意味も通じる。しかも、近いと言いながら、結構な距離だ。どうも感覚が違うらしい。なんと軟弱なのか私は(笑)。

「5」へ

■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」5

途中、日本でいうところの「ポン引き」に捕まりそうになると、その女の子が追い払ってくれる。たぶん、「この人は違うよ!」と言ってくれているのだろう。そこらのスケベなエロ中年と一緒にしないでいただきたい私は、少し威張りながらでかい交差点を渡った。

店の前まで案内してくれた。500NT$をチップで渡す。めっちゃ喜ぶ。

今度の店では、渋くロックで飲ることにする。客はパラパラ。気さくなバーテンがひとり。適当に飲んで店を出る。バーテンの話では「日本人向け」とされるスナックがあるそうな。

外をフラフラと歩くと、怪しげなスナックがあった。ここだ。

鈴木京香に少し似た女の子がいた。日本語はカタコト+α。「筆談」を交えて会話する。「宇治市ギャグ」も飛び出し、すぐに仲良くなる。「歌を歌え」と言われたので「やしきたかじん」熱唱。外にメシ喰いに行こうとなる。デートだな。おかあしゃんごめんね(笑)。

居酒屋に行く。と――――ここで、

さて、始まりました。「憂国談義in台湾・大人の深夜バージョン」。

外省人の両親を持つ「鈴木京香」は台湾生まれの台湾育ち。リップサービスだけではなく、正味、日本が大好きであるという。京都とか、私よりも詳しいかも(笑)。

だが、

「戦争するくらいなら、中国と統一してもいい。」

という「統一派」であった。しかしながら、日本のような「薄ら甘くて不気味な平和主義」ではなく、まさに実感としての、現実としての生活的な「平和主義」なのである。もちろん、台湾には徴兵制度があり、そのこと自体は肯定している。最低限、必要なことであるという認識は持っている。つまり、リアルなのだ。

だから、日本の左派が誇る憲法9条についても聞いてみた。結論から言うと「??」であった。有事の際、それがいったい何の役に立つのかと「逆質問」された。もちろん、私は答えに窮することになるのだが、それは私の無知を差し引いても「ちゃんとした答え」なんぞあろうはずもないのだ。

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■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」6

「他人からもらった民主主義」と「自らが創り上げた民主主義」の差異。それは「力強さ」とか「生命力」というものだけではなく、なによりも違うと感ずるのは「当事者意識」ではないだろうか。日本の高度成長期を直接知らない私だが、少なくとも「台湾の成長期」には「豊かになろう」という価値観のプライオリティは「懸命に楽しく生きる」の次の次であると感じずにはいられない。「生きて行く」という逞しさの中に、理由は必要ない。

例えば、戦前の日本がそうではなかったか。現在からすれば信じられないが、昔の日本人は「良く笑う民族である」という記述も残っている。慎ましく暮らしながらも活力あふれる「歓び」に満ちていたのだ。「懸命に楽しく生きる」とは、単に「豊かさ」だけでは実現し得ないことなのであり、皮肉にも私は「古き良き日本民族」を台湾で見ることになった。

日本が何を忘れ、何を奪われ、何を置き忘れてきたのか。

台湾という国には、それらのヒントが溢れているように思う。

さて、お腹もさすがに一杯になった。「変な味のするカラアゲ」や「変な臭いのする餃子」も食べた。日本酒は少々高くて甘口であったが、想像よりもいけた。5合は飲んだ。あとは近くにある「カラオケスナック」で飲もうということになった。「鈴木京香」もさすがに酔っ払ってきたようである。むふふのふ。

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台湾には「好客(ハオク―)」という「もてなし」の文化がある。

どこに行っても、いわゆる「突き出し」のようなモノが多い。もちろん、料理だけではなく、ひとりで飲んでいても話しかけられることが多い。私に「敵愾心がない」とわかると(笑)、みんな人懐っこい人たちであった。初対面ながら乾杯してくるガラの悪いおっさん、人の酒を一杯くれと近寄ってくるおばさん、何人もの台湾人と乾杯した酒は美味かった。

わざわざパスポートや外国人登録証を提示する必要もないので、私のことを「日本人」だと思って接してくる人たちに説明などもしなかった。「日本の大阪から来た」という私に、楽しく飲んで遊んで欲しいと思っていることが伝わる。理由は、我が社の社長マン曰く「日本人は金持ちやからなぁ・・・ぐへへへ・・・」というようなことだけでもなさそうだ。そんな下衆な動機だけではないと思われる。それは「違う国」の話であろう。

「7」へ

■2008/10/09 (木) ガチコメ的「それは八角だと発覚した~その1~」7

そして「台湾はどうですか?」という質問が多かったような気がする。もちろん、

「台湾最高!謝々!!台湾!加油!!」

と答えておく。当たり前の話だが、「台湾人は台湾が大好き」なのである。だから、こちらの感想をとても気にするようだ。しかし、私は「日本人で日本が嫌い」という変人も否定できないだけに、実に羨ましく感じたことを告白しておく。

まあ、それにしても、だ。

日本でもホステスを連れて飲むことはあるが、本当によく気がつく子であった。「連れてきてもらってる」というスタンスを絶対に崩さない。それに酒も強い(笑)。私が「八角がダメ」だと告白すると、八角をあまり使っていない居酒屋があると教えてくれた。残念ながら、その日は既に閉まっており、その後も行く機会はなかったのであるが、次の訪台の際には必ず行きたいと思う。なにせ、八角がないのだ。行くしかあるまい。

また、初めての海外旅行で、初めての台湾なのに、ひとりで飲み歩く私に感心してくれていた。北京語も英語もダメダメながら、身振り手振りとスマイル&スマイルで5件飲み歩いた。「鈴木京香」がタクシーを止めて行き先を告げてくれた。私の携帯電話の待ち受け画面になっている妻の写真を見て「かわいい!」とも言ってくれた。謝々である。

ホテルに戻ると、朝だった。やってることは日本と同じである(笑)。

さて、少し寝たら、とうとう李登輝元総統閣下とご対面である。緊張してきた。

――――――――つづく

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