忘憂之物

あってはならんことは“ある”

■2009/06/09 (火) あってはならんことは“ある”1

もう散々、あちこちで書かれていることだが、いわゆる「足利事件」の菅家さん。なんとも17年半も社会から隔離され、それがまた「冤罪だった」というではないか。「貴重な時間、一度しかない人生を奪われましたねぇ~~」と同情するマスコミは、その菅家さんの「貴重な時間」を使ってテレビにバンバン出しているようだが、まあ、本人も言いたいことがあろうし、ニヤついた弁護士も嬉しがっているし、それはそれで勝手にすればよろしい。

また、この件から「DNA鑑定」によって有罪判決、それも死刑判決が下され、更に執行している場合などの事件が飛び出してくると、もう、日本の検察や警察、また、始まったばかりの裁判員制度などもハゲタカマスコミの餌食となろう。とりあえず今、やり玉に挙げられているのは「自白」にまつわる「取調」であるらしい。擦り切れるほど言われてきたことだが、要するに「自白を強要される」ということからの冤罪誘因。また、人権無視の取り調べ法、あるいは犯罪的な「暴力的な取り調べ」などが問題とされる。

私も最寄りの所轄警察内の刑事課で「取り調べの音や声」は聞いたことがある。人権など吹き飛んでしまう怖さであった。デモ行進における虹の会・河内屋顧問の怒声に匹敵すると言っていい。「(拉致被害者を)返せっっ!!」と真横で聞いた私は、借りた覚えのない金を返しそうになったほどである。それほど、警察による「密室内」での自白強要とはエゲツないものであろうと思う。しかし、だ。

犯罪行為に走る者は誰でも「はい、私です。すいませんでした。」というわけにはいかない。安モンの刑事ドラマでも「やってねぇ~よ!おれじゃねぇ~よ!」という白々しいセリフがお決まりとなっている。すると、刑事は電気スタンドを被疑者の顔に近づけ、「おまえがやったんだろ!ネタはあがってるんだ!」などとやり、それでも吐かない犯人には年配の刑事が出てきて、「おまえさんにもお袋さんがいるだろ?いま、どこで、なにをしてらっしゃるんだ?」などと言う。かぁあ~~さんがぁ~~♪よなぁべぇ~~をしてぇ~~♪

胃ぶくぅぅろ~~♪「2」へ

■2009/06/09 (火) あってはならんことは“ある”2

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ちょっとだけ話を変える。

先日、NHKで「女性救急隊員」を取り上げ、なんかやっていた。詳しくは知らん。

内容はつまりこうだ。

・ある女性の救急隊員がいる。若くて茶髪であった(内容には関係ない)。
・ある日、119番で緊急出動。女児が息をしていないという通報。
・かけつけると、既に心肺停止。泣き叫ぶ母親の横で心臓マッサージ。
・病院に着くも、残念ながら女の子は死亡した。南無。
・女性隊員はトラウマになる。子供をみるとその女の子を思い出し、辛くなる。

※ここからおかしくなります。

・PTSDになる。忘れたいのに忘れられない。所内のメンタルケアを充実してほしいと講演する。助ける側が被害者になっている!!我々を救うべき!と名調子。

ね?なんか“ヘン”じゃん?

テレビドラマでなくとも、こういう場合って、

「あの子のためにも(亡くなった子供)もっとスムーズに現場に到着するには?」

とか、

「あの子のためにも、もっとAED(自動体外式除細動器)を普及させ、救命講習などを増やすべき!」

とか、やはりここは、

「辛い経験もしたけど、あの子のためにも私は強くならなければ!!」

という決意を新たにするわけでもなく、

「辛い経験をしたから忘れたい。そのためのメンタルケアを国がすべき。」

というのである。不思議だ。つまり、辞めればいいのだ。

んで、そのVTRをうけてテレビの中の人たちは言う。

「想像以上に精神的に負担なんでしょうね。。。」
「何とかしなければならないと思いますね。。。」

・・・・。

「3」へ

■2009/06/09 (火) あってはならんことは“ある”3

もちろん、そらそうなのだが、本より「そういう仕事」なのではなかろうか。「メンタルケア」も必要であるし、カウンセリングなどの施設を充実させるということに反論する気はないが、人の生死が繰り返される現場での仕事ならば、そこは避けては通れまい。

つまり、だ。

これは「超個人的な感情」を吐露しているに過ぎない。仮に「(悲惨な体験を)忘れたい、ではなく、忘れないで強くならねば!」という猛者がいるとすれば、その猛者も本音のところではメシが喰えない日が続くかもしれない、眠れぬ夜が何日も続いているかもしれない。だが、しかし、そこは「だからこそ踏ん張らねばならない」と己を奮い立たせているのではなかろうか。救えなかった命を胸に抱き、救える命を救おうと拳を固めるのではなかろうか。これは自衛隊や警察官、消防士や救急隊員など、およそ「公のために命をかける」可能性のある職種に通ずるものであると思うのだ。だからこそ、敬われねばならない。

他に仕事にしても、例えば、私は高所恐怖症であるから、電柱に昇って仕事をしている作業員さんなんかを見ると尊敬する。ああいう人がいないと、電線が切れたときに困る。私では直せないというか、昇れないのである。また、汗にまみれて荷物を運んでいる運送屋さんとかみると、羨ましくなるときもある。なんというか、労働の充実というか、一所懸命というか、ビールが美味いだろうなぁとか思うのだ。

「4」へ

■2009/06/09 (火) あってはならんことは“ある”4

話を少し戻すと、だ。

救急隊員が「命のやりとりに携わる仕事は精神的にキツイから・・・」と公に嘆くとき、なんかしらの不安を覚えるのは私だけではあるまい。電柱に昇っている作業員さんも「高いところが好きだから」昇っているわけでもあるまい。そこは、すべからく「誰かがやらねばならぬから」という“使命感”が存在する。それが誇りであり、プライドである。

先ほど、高所恐怖症と告白した私ですら、「ちっぽけな使命感」はある。あるとき管理する店舗の立体駐車場の電飾に不備があった。蛍光灯の交換をせねばならない。しかし、そこは地上から数メートルの高さである。なぜだか「業者を呼ぼう」という発想はなく、もうすでにアルバイトリーダーが巨大な脚立に足をかけようとしていた。それを下から見物していた同格の管理職を怒鳴り付け、アルバイトリーダーを下ろし、私自身が取り換えたことがある。理由は言うまでもなく「危険」だからである。時間給で働いているアルバイトリーダーにやらせる仕事ではないと判断した。

「安全に働ける職場」というものは前提である。そして、それは「下に行けば行くほど」軽微なものになるはずであり、影響は小さくなるはずなのである。いかなる場合においてもリスクとは「上に向って膨らんでいる」状態でなければ正常ではない。

どこぞの「生活第一」とかいう野党の幹事長が、国のビジョンとして「安全安心な国家」と威張っている。その人と代表を争った相手の「友愛」は話にもならんが、国家ビジョンとして「安心安全」など当たり前すぎて、わざわざ口にすることでもないのと同じことだ。

医者が「全力で病気や怪我に取り組みます!」というか?
警察が「犯罪を取り締まり、町の安全を護ります!」というか?

消防隊が「ええと、火とか消します!」
裁判所が「裁判するならこちら!」

八百屋さん「野菜売ります。」魚屋さん「魚あります。」肉屋さん「肉切ります。」

言わないのである。ちなみに、自衛隊が「武器を使ってでも国民の生命と財産を護ります!」と言ったら騒ぐ阿呆はいるとしてもだ(笑)。

「5」へ

■2009/06/09 (火) あってはならんことは“ある”5

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つまり、話を元に戻すと(何が言いたいかというと)、だ。

取り調べする検察官がだ。

「強い言葉や態度で取り調べすると冤罪だったとき困るから・・・・」

と言いだしたらどうすんだと言いたいのだ。

録画して記録するのはともかく、あまりやり過ぎると、だ。

検察官:「やったのはあなたですか?どうですか?」

被疑者:「やってねーよ!!」

検察官:「でも、見た人もいますし、物的証拠は、なんか、あの、まるで、あなたがやったみたいな感じになってるような気がしましてですね・・・」

被疑者:「やってねーつってんだろ!」

検察官:「・・・あの、はい、わかりました。やってないということで進めますね。」

~~裁判の日~~

検察官:「やってないかもしれませんが、やったかもしれません!!」
弁護士:「意義あり!やったかも?とは??」

裁判官:「意義を認めます。」

検察官:「やっていないと本人は言っております!!」
弁護士:「じゃあ、そうなんじゃないの?」
検察官:「ですね!!」

裁判官:「被告人に無罪を・・・」

-

警察官が住民の安全を護るために、致し方なく拳銃を発射すれば訴えられる国である。とうとう捕まえるのにも、起訴するにも、ややこしくなりそうだ。

無論、冤罪などあってよいとは言わない。

しかし、救急車が人を撥ねたら救急車はいらないか?医療ミスしたら医療はいらないのか?「やっているほう」は怖くてやってられないんじゃないか?

そういえば、イージス艦が漁船と衝突したらイージス艦はなくなったのか?つまり、コレ、「なくせ!」と言っている人達と「同じところ」から聞こえてこないか?
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