今の時期、本屋に行けば山積みで売っている。売れるから売っているのだろうし、世の中には忙しい人が多いらしい。私も何度か持ったことがある。買わないが、よくもらった。
しかし、マメに手帳に予定が書ける人は、予定を忘れたりしない。だから私の場合はホワイトボードに殴り書きだった。あとはセロハンテープでメモを貼る。これはもう癖のようなもので、自宅もそうだが、部屋の壁には新聞や雑誌の切り抜き、意味不明なメモやらがベタベタ貼ってある。当初、妻には「ノイローゼ」を疑われた。倅も真似をしているようで、最近、いちばんでかいホワイトボードをついに奪われた。リビングにあるボードにも、なにやら小難しい言葉が羅列しているときがある。実に不気味だ。
また、パソコンで使うのは「メモ帳」ではなく、エクセルの画面をそのまま使う。仕事でもなんでも、そこに「キーワード」だけをバラバラに書いて、全体を眺めながらモノを考えるようにしていた。これも誰から教わったでもなく、なぜだか昔からそうだった。
それによく考えると、スケジュール帳を持ち歩く人は「自分のスケジュールではない」ことが多い。要するにサポート役だ。芸能人ならマネージャー、社長なら秘書が持つ。あまり「自分のこと」を紙に書いてまで管理せねばならない状態というのは危ない(笑)。
つまり、休憩時間になると携帯電話を持って飛び出す人と同じく、スケジュール帳というモノは「持ちたい」わけであり「書きたい」わけだから売れる。「政治家の知り合いがいる」と言いたいがために議員手帳をもらう社長と同じく、大阪弁で言うところの「ええかっこしい」である。また、こういう御仁は欲しいモノを問われると「ゆっくり出来る時間」とか言い出す。毎日昼過ぎてから起きてくるバカに限ってこういうことが言いたいのだ。
一度、営業マンの手帳を見せてもらったことがある。「それって何書いてるの?」と聞いたら見せてくれたのだが、毎週火曜日のところには「会ギ」とあった。この会議の「議」をカタカナで書いているのは社長マンもそうだったから覚えているのだが、その理由を問うと「自分しか見ないから」と返ってきた。火曜日の朝は特別なことがない限り、営業会議が開かれるのだという。この人は「火曜日」を忘れるほど忙しいのだろうし、会議の「議」という漢字を書く暇がないほど忙しいのだろう、と思ったが昼間は「出会い系サイト」で未成年の女の子と遊ぶことに夢中だった。私はこの男性営業マンを出入り禁止にした。事務所で自慢げに未成年者と遊んだことを公然と話したからだ。犯罪者と仕事はできない。
と、まあ、偉そうに言う私だが、実際はよく会議を忘れたりもした。もちろん、初心忘れるべからず、ということで管理職になった当時は忘れたりしない。どころか、私は事前にいろいろと用意もしていた。プレゼンするテーマも次々にあったし、様々に問題を提起することも楽しかった。しかし、いつからか怠慢になった。出勤してから誰かに「今日会議ですよ?」と言われて、あ、そう?ということも珍しくなかった。酷いときは、忘れて外出しているときすらあった。理由はひとつ、興味がないからだった。
椅子に座っているだけなら猫のほうがいい。オーナーのご機嫌伺いするくらいなら、部下とのミーティングに時間を使いたい。立ち飲み屋でコミュニケーションも良い。そういうわけで、私はサラリーマンに向いていないのではないかと思った次第だ(笑)。
また、今の時期はちょうど忘年会シーズンで、人間交際薄い私もいくつか誘われている。もちろん、いちばん楽しみなのは「虹の会」の忘年会だ。今年は勤め先がないからツレの忘年会がちらほら、あとは介護学校の「くらすめいと」との忘年会が予定されている。私はいつものように「幹事を決める人」であるから何もしないが、過日、その教室で日程やら場所やらの発表があった。そのとき、何人かが手帳を取り出して、
「う~ん、その日は難しいけど、なんとかするね」
「いつまで?いつまでに言えばいいの?(参加不参加)」
「たぶん大丈夫・・・けど一応、△印にしておくね」
とかやりはじめる。念のために確認しておくが、私も含めて全員が無職状態である。
ンで、いちばん最初に「○」をつけた私は根性が腐っているので聞かずにおれない。
忙しいの?
20代半ばの「自分のことしか話さない」青年は答える。
「忘年会だらけでwww」
同じ日に重なったり?
「そうそうwwあるあるww」
凄い人気だけど、十件くらい?もっと・・?
「・・・いま、決まっているのはそのくらいかな・・?ま、あんまり興味ないしww」
そこらのマイナー演歌歌手よりも多忙である。私はそれよりもヒマで死んでいる吉本芸人も知っている。交通費支給と参加費無料、ギャラは1000円でいいから、是非とも余興で呼んであげて欲しい。2時間やれと言ったら、それくらいはやるだろう。まあ、しかし、年末にそれほどのスケジュールが入るほどの人脈がありながら、いま、なぜゆえに失業給付金のお世話になりながらの職探しなのか。いやはや律義な若者である。
で、私なりの感想だが、こういうのに限って「必ず来る」のである(笑)。要するに「値打ち」をこきたいのだ。私も何人かから携帯のアドレスなんぞを聞かれたりしたが、それもその人の「メモリー容量の足し」にされただけで、たかが職業訓練、よほどの付き合いでなければ個人的所用など発生するはずもない。呆れたのは中年をとっくに過ぎた主婦が、何の肩書も書いていない「手作り」の名刺を配っていたことだ。いったい何を期待して、そういうことをするのか。ちなみに、その人は「忘年会」と書かれたA4用紙に「△」を記入していた。それほど忙しいなら、それ以上、交友関係を広げることもあるまいw
また、私が愛用しているメモ帳は安モノだ。パチンコ屋が廃業したとき、相当数を失敬したからまだある(秘密)。そこにはスケジュールではなく、いまなら職場実習のことを書く。これの使い方もコツがあって、部下だった人らには惜しみなく教えたが、先ず、表紙側からは普通に使う。そして「確認せねばならない」ことや「不確定なこと」などを裏側から書く。そして裏側を確認して理解したら表面に書く。そして、これが大事、それをちゃんとでかいノートに書く。コレで忘れない。年収六百万円までなら、これでばっちりだ。
分厚い皮の表紙がついている「スケジュール帳」はたしかに格好がよろしい。そこには100円のボールペンは似合わない。数千円、いや、思い切って1万円ほどの万年筆なんかがよろしい。万年筆に何千円も使うのが嫌だ、という人はスケジュール帳もいらない。五十円のメモでよろしい。それに「本当に忙しい人」ほど時間を有効に使う。時間の大切さを身に染みて知っている。興味もなくて、参加するのが面倒な忘年会など、最初から数えない。
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久代千代太郎
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