忘憂之物

「アンケート」

「アンケート」

外でメシ喰っていると、店員さんが紙とボールペンを持ってきて「よろしかったらアンケート書いてください」とか言う店がある。項目は「接客態度はどうでしたか?」とか「商品提供までの時間は?」とか、あとは味や値段、清掃状況などなど、まあ、いろいろとあるものだ。また、これは飲食店だけではなく、他の業種でもみられる。

また、パチンコ屋などでも流行ったが「接客NO1スタッフ」とかで「客に投票させる」やり方だ。あ、そうそうイオンにもある(笑)。「お客様の声」とかあったはずだ。今度行ったらごっそりと持ち帰って「偽装サザエさん」というタイトルをつけて「3本立て」でお送りしてやろうかと思うが止めた。どうせ読まないしねw

ま、もちろん、この「アンケート」を本気で活かして業務改善を図る企業もあることだろうが、これがなかなか、いわゆる「ガス抜き効果」としてしか機能していないところも多かろうと思う。パチンコ屋でも勇気ある所はやっていたが、やはり、その中身は「しね」とか「ばか」とか「金返せ」とかになる。中には専門的な知識を振りかざして「業務改善要求」みたいなのもある。何曜日と何曜日は割数をこのくらいにしろ、とかだ。ならば、あんたが店長してくれと思ったモノだ(笑)。ま、あとは「警察に届けねばならないレベル」だったりもする。いわゆる「通報しますた」である。

また、客席に無造作っぽく置いてある店もある。実に「どーでもいい感じ」が伝わるアレだ。鉛筆も削ってないから書く気にもなれない。ボールペンがぶら下がっていても、貧乏市役所みたいにインクが乾いて書けないのもあったりする。これは「お客様の声を聞かせてください」と言いながら、机に肘をついて鼻くそほじりながら「はい、どーぞ」と言っているのと同じで、こういう店のアンケートには「ばか。うんこ。仙谷」とでも書いておけばよろしい。

その点、我が妻はさすがである。一所懸命に「おサルさん」のイラストを描き、おいしかったです、また来ますネ~♪とかやる。惚れ直すのである。その理由がまた泣かせる。「だって、もらったら嬉しいヤン♪」である。その天使のような優しさに惚れ惚れするのである。しかしながら「ココイチ」に行ったときには毎回、サルの泣き顔と共に「カレーうどんがないです(泣)」とかやる。「ココイチ」はいい加減に「カレーうどん」をレギュラーメニューにせよ。冬の「カレーきしめん」はわかったから夏もやりなさい。




ンで、だ。

せっかくのアンケートであるが、これがまた、私を含めて客の過半は書かないと思われる。ましてや「その他、何かお気づきのことがあればお書き下さい」などとして、中途半端な空白を用意しているモノもあるが、何が悲しくてメシ喰いに来たり買い物しに来たりして、あんたらの会社にモノ申さねばならんのか。気に入らんならば「もう来ない」んだし、その「その他」に真っ黒に書き込むほどのクレームなど、私は恐ろしくて読む気にならんw

そして、私などの「書かない理由」も明白だ。要するに「書いても一緒」だと思っている。企業のアリバイ作りに付き合う気はないのだ。どうしても本当に「意見してください」というなら、先ず、今日の代金を半額にして、店の責任者が頭を下げに来い、と言いたい。

また、アンケート用紙の最後にはたいてい「お客様の貴重なご意見ありがとうございました」などと書いてあるが、あんたら本気で「貴重なご意見」だと思ってくれているのか?ということだ。そんな「パソコン検定初級」みたいなワードで作成された紙からは何も伝わって来ないのである。

それに、だ。大きな勘違いをしている可能性がそこにある。

例えば「懸賞」を付けたりするところもある。「アンケートに協力してくれたお客様の中から抽選で100名の方に2000円分のサービスチケットを進呈します!」みたいなアレだ。ヒマな客が2000円欲しさに心地良い言葉を書いてくれることだろう。まさに何の意味もない。

「クレーム」というものは「苦情」ではなく「要求」のことだ。これも会社にいるときには口にタコが出来るほど言っていたことだが、要するに「網を投げて集まったモノ」ではなく、貴重なご意見とやらは一本釣りだ。高級レストランで食事をする客が「ちょっとキミ、この料理を作ったシェフを呼んでくれたまえ」ということだ。膨大に集まった「ゴミのような意見」から、きらりと光る「貴重なご意見」を探し当てるのは至難の業、そもそも本当に「貴重なご意見」ならば、そんな山の中に放り込んだりもしない。

大切なことは「膨大なご意見」を集めることではなく、本当に「貴重なご意見」を見逃さぬアンテナだ。世界に山ほどいる成功者はすべからく、自分の足を使って客のところまで行き、自分の耳を使って情報を収集し、自分の頭を使って思考錯誤している。紙を配ってそこに書け、とはやらないのだ。書いたらサービス券やるよ、とも言わないのである。

これをやっているのは、例えば世論調査だ。テキトーなことをするから、この度も管政権の支持率がなんと上昇している(笑)。店内はガラガラ、客は「不味い!」と怒り出すようなレストランが「アンケート調査では客が増えてます」と言っているようなもんだ。

そして「どうせこんなアンケートに何か書いてもいっしょ、何も変わらんよ」というのは投票に似ている。「この店は客の言うことなど聞いていない」という顧客判断とは、その店との信頼関係が成り立っていないことを証明する。つまるところ、商売としては失敗だ。

また、世論調査もそうだが、これらの調査はすべて「選択」をさせる。5択程度の設問形式である。「大変満足・やや満足・普通・やや不満・大いに不満」などとされているアレだ。総理大臣の評価などは「何を求めますか?」と問うておいてから「リーダーシップ」やら「発言力」やら「クリーンさ」やら「人柄」などというものまで並べる。しかし、例えばその選択肢の中に「愛国心」がないから、そういう人は「その他」と答えるしかない。つまり、本当に「貴重なご意見」など求めていないという証左だ。

店舗を構える企業ならば、例えば「禁煙」があった。パチンコ屋でも「全面禁煙」にして、慌てて元に戻したホールもあったが、アレも「アンケート」に振り回された結果だ。「禁煙にした方がよいですか?」の設問を用意するのは勝手だが、その前に「あなたは喫煙者ですか?」がなかったためにそうなる。また、その他多くの同業種も「アンケート」を集計して分析したりもした。しかし、その数字を見た企業幹部は「ふ~ん、ま、そういうことね」で終わらせる他ないのも事実だった。世論調査で「総理大臣にはリーダーシップが求められる」と明々白々な結果が出ても、民主党政権は「ふ~ん、ま、そうだろうね」で済ませているのと同じだ。どうしようもないのである。

店舗でいえば、アンケートに「トイレが汚い」とか「店員の教育がなっていない」と書かれるレベルの店は、それこそ呑気に「アンケート調査」などをしている場合ではない。店員の態度が悪いことを、あるいはトイレが汚れているということを「客に指摘されねば気付かない」ような素人が店を出しても潰すだけと知れている。

政治もそうだ。総理大臣に「リーダーシップを求める」こと自体が異常なのだ。日本国における行政のトップに「リーダーシップがない」など本末転倒、総理大臣とは国家のリーダーのことではないか。政治家に対して「クリーンさを求める」などもおかしな話だ。政治家とは坊主ではない。どんなに薄汚いことをしてようとも、結果的に「日本のため」になることをするのが肝要なのだ。それらはすべて「私利私欲ではない」という前提での話であるが、ま、こんなくだらない「アンケート的な」政治が蔓延したからこそ、外交や安全保障においても「友愛」などという気の毒な阿呆が出てくる。「日本の国益が第一」なはずの政治家の仕事から「国民の生活が第一」などという、ポピュリズム政治の権化のような小恥ずかしいフレーズが湧いて出る。

小汚い客席に置かれたアンケート用紙だから、この国の有権者は「誰がやってもいっしょ」だとして経営者を、この国のリーダー達を小馬鹿にし始めた。そして昨年の夏、アンケート用紙にサービス券を付けると書いてあったから、みんな浮かれポンチになってアンケートには「民主党」と書いた。いま、それが全部ウソだったから、書いた人も怒っている。どっちもどっちなのだ。

そして、それが企業ならば、だ。圧倒的な顧客からのクレームが殺到すれば、その経営陣は責任を取らされて退陣する。管理責任者の首も飛ぶ。しかし、民主党は昨年の夏の「ウソだらけのアンケート用紙」を持ち続け、みんなが選んだんだ、我々は選ばれたのだ、として一向に辞める気配がない。これが企業ならば、とっくに市場経済のリアルに巻き込まれて跡形もなく吹き飛んでいるはずだが、この国を支え続けた「従業者」のパワーは偉大なモノで、まだ、なんとか、持ち堪えてはいる。

しかし、それでも市場はシビアだ。そろそろ限界ラインが見えてきた。
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