チョコレートだろうと思っていたら、なんと、万年筆が入っていた。
私は文章をパソコンで書いているが、やっぱり、ここは万年筆が欲しいのだと、そういえば言っていた。それに「どうせ買うなら」という性格の妻だから、こういうときには安モノを買わない。なんともまあ、もったいなくも「PARKER」の高級品ではないか。
妻は鼻息荒く「ショーケースに入ってたで!店員さんが手袋して取りだしたんヤで!」と自慢していた。値段は知らないほうがいいと思った。聞くのが怖い。
「PARKER」といえば、誰でも知ってるイギリスの有名メーカーだ。1888年にジョージ・S・パーカーが「インクの漏れない万年筆」として売り出したのが最初だ。コレがもっと早く開発されていれば、シャーロック・ホームズも「唇のねじれた男」で、封筒の「インクの滲み」をみつけて「この真っ黒の部分はインクが自然乾燥した部分、残りは吸収紙で吸い取っていますね。もし一気に書かれていたのなら、このように部分的な滲みは考えられません。つまり、コレを書いた人物は名前を先ず書いた。そして、住所を書こうとしたとき手が止まった。書き慣れていない住所だからです」と見破り、便箋に書いたメッセージと封筒に書かれた宛名が別人であると見抜くことが出来なかったし、ワトソンの妻となるメアリーの「耳についた青インク」をみつけて嫌われることもなかった(かもしれないw)。
あまりの嬉しさに、私は今、この文章をその万年筆で書いているとウソを書いてみる(笑)。
「万年筆の話」のついでに書くと、だ。この歴史は結構すごくて、西暦でいうと953年のエジプトに遡る。“万年”とまでは言わなくとも“千年”は昔の話だが、当時のエジプトには万年筆の元のような筆記具は既にあったらしい。最近、ようやく辞任したムバラク大統領も、暫定的に政権移行される軍も、最高評議会の席で署名する万年筆は「エジプト発祥」だというのも皮肉なものだが、30年続いた圧政が引っくり返ったのは、万年筆の力ではなく、民衆の蜂起だったというのがもっと皮肉だ。また、他の独裁国家の悪政も何年続くか知らないが、とりあえず、首のあたりが寒くなっていることだろう。良い万年筆を用意しておくことだ。
ンで、おそらく、私よりもたくさんの(私は1本だけだがw)「高級品の万年筆」を持っていると思われる、鳩山さんちの由紀夫クンがまた、馬鹿にされている。沖縄タイムスだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-02-13_14499/
<鳩山氏「抑止力は方便」本紙インタビュー>
<鳩山由紀夫前首相は12日までに沖縄タイムス社のインタビューに応じ、米軍普天間飛行場の移設をめぐる政権時の取り組みや対米交渉の全容を語った。移設先を名護市辺野古と決めた理由に挙げた在沖海兵隊の抑止力について「辺野古に戻らざるを得ない苦しい中で理屈付けしなければならず、考えあぐねて『抑止力』という言葉を使った。方便と言われれば方便だった」と弁明し、抑止力論は「後付け」の説明だったことを明らかにした。
さらに「海兵隊自身に抑止力があるわけではない。(陸海空を含めた)四軍がそろって抑止力を持つ。そういう広い意味では(辺野古移設の理由に)使えるなと思った」と語った。前首相が抑止力を後付けとする理屈を挙げたことで、あらためて日米合意の是非に関して論議を呼びそうだ>
私は民主党が大嫌いだが、さすがに同情する。シャーロック・ホームズは「7倍に薄めたヘロイン」を注射して「海に牡蠣が大量に発生しないのはなぜだ!」とわけのわからんことを言ってワトソンを困らせるが、麻薬もせずに馬鹿なことを言って回る元総理など、コレはもっと困る。
また、一昨年の夏に「最低でも県外!」と言ったことについては<民主党の沖縄ビジョンに書かれていることを言った。順序立てた見通しがあったというより『しなければならない』という使命感だった>と言ってけろっとしている。つまり、見通しがないのに言った、と認めてしまっているのだが、この意味が由紀夫クンにはわからない。この子は63歳になっても、大人の人が「最低でも」とお外で言ったら、それは普通「最低でもやらなければならない」ということがわからないのに道を歩いている。
また、琉球新報はブチ切れて容赦ない。社説だ。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-173465-storytopic-11.html
<「抑止力」は方便/政治音痴の素人首相 政治不信と混迷を増幅>
タイトルもすごいが、中身はもっとすごい。産経新聞が可愛くみえる。
記念に全文貼っておく(笑)。
<政治音痴の素人政治家に、国政を委ね、安保・外交政策を左右されることの怖さに、身震いした。
全てが浅はかな思い付きと行き当たりばったりの政権公約、理念と信念なき政策運営だったことが、あらためて明らかになった。
鳩山由紀夫前首相が、本紙などのインタビューに答え、明らかにした普天間撤去・移設問題の“真相”のことだ。
政治家の言葉の軽さ、政党の約束の無意味さ。そして、この国を動かす主体は首相や閣僚、政治家ではなく「官僚」であることを、前首相は明確に証言した。
万死に値する大罪
この国の民主主義の底の薄さ、基盤の危うさを知った今、国民は日本を真の民主主義国家とするために早急に政治・行政改革に取り組む必要がある。
鳩山民主党代表が普天間問題で、普天間飛行場の移設先は「国外、最低でも県外」と公約したのは紛れもない事実だ。
だが、総選挙で大勝し、政権交代を実現するやわずか8カ月で「国外、県外はやはり無理」と、県内・辺野古案に回帰し、県民の怒りを買い、政治不信を招いた。
辺野古回帰の理由を問われ「学べば学ぶほど(海兵隊や各部隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった」と語った。
「海兵隊抑止論」が、沖縄に海兵隊の継続駐留を認め、普天間基地の辺野古移設を正当化する論拠とされた。
だが、それから8カ月後、鳩山氏は「辺野古移設しか残らなくなった時に理屈付けしなければならず、『抑止力』という言葉を使った。方便と言われれば方便だ」と、あっさりと認めた。
これほど言葉の軽い政治家を見たことがない。そして、自らの言葉に無責任な人も。政治音痴の素人政治家が国を動かし、国民を翻弄(ほんろう)し、政治不信を高める。万死に値する大罪だ。
鳩山氏が論拠に挙げた「抑止力」は「ユクシ(うそ=沖縄方言)力」であると、沖縄県民の多くが指摘し、やゆしてきた。
米国防長官すら「海兵隊の機能」を疑問視し、米軍幹部ですら「有事の米国民救出」を第一の機能と明言し、米議会は「海外駐留削減と海外基地閉鎖」の論議を始めていることを、県民は知っているからだ。
知らないのは鳩山氏と民主党政権の閣僚、そして米国追従が国是と自己保身的に信じる防衛、外務省を中心とする官僚らだ。
首相を辞め、正直に語れるようになった鳩山氏は「抑止力」は方便で、県内回帰のための後付けの説明と認め、謝罪した。
鳩山氏は公約実現に否定的な北沢俊美防衛相、「県外」公約自体を否定する岡田克也外相(現幹事長)、くい打ち工法(QIP)で辺野古移設を進言する岡本行夫・元首相補佐官の存在なども、辺野古回帰の要因と語っている。
官僚主導政権の限界
官僚については「防衛省も外務省も沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている」と指摘している。
そして首相でありながら官僚、閣僚すらリードできなかった自らの力量不足を敗因と認めている。
事は謝罪で済む話ではない。辺野古回帰の論拠の「抑止力」は方便で、本当の理由は「閣内不一致」と「官僚の壁」、自身の「力量不足」と証言したからだ。
指導力を欠き、官僚に翻弄され、身内の閣僚からも見放される。明らかに首相になってはいけない人が、この国を担う。民主党政権の限界も露呈している。
普天間問題の解決策は「オバマ大統領との直接対話」と指摘した鳩山氏だが、それすら官僚の壁に阻害され、不発に終わっている。
民意に沿おうとする首相が、沖縄への基地の過重負担を当然視し、対米追従を是とする官僚に牛耳られ、辞任に追い込まれる。これが、日本の議会制民主主義の現実。官僚主導政権の実相である。
米国の論理に洗脳された官僚たちの言い分を検証もせず、辺野古移設を主張する菅直人首相の不作為の罪はより重罪だ。
辺野古移設の根拠となった「抑止論」のうそが明らかになった今、菅首相はこの国の政治を「官」主導から「菅」主導に転換し、普天間の県外撤去のみならず、在沖米軍、在日米軍の駐留見直しに着手すべきだ>
元総理に「万死に値する」というのは産経も書いたが、小見出しまでに書いたのは素晴らしい。しかし、私は友愛の精神から「馬鹿は死んでも治らない」とも書いておきたい。
まあ、しかし、日本国民も「学べば学ぶほど」先の政権交代が失敗だったと気付いたことだろう。「誰がやっても一緒」だと出来たのは、黒かろうが赤かろうが、せめて「政治の素人」ではない人らが政権与党にいたからだと自明である。会社で嫌な上司を辞めさせたら、その後、無能な上司が交代して引っかき回されているようなもので、少なくとも「国家運営」という重責を担うわけだから、飛行機ならば墜落しない、客船ならば沈没しない、会社ならば倒産させない、というのは大前提であるも、たった1年半で、まあ見事に危険水域に突入している。政府与党の内部でも、野党時代と変わらぬ無責任が横行し、ウソと屁理屈と言い抜けで国会を空転させている。付き合わされる野党の政治家は御苦労様である。仕事とはいえ、馬鹿と議論するほど疲れることもあるまい。
ンで、鳩山由紀夫クン本人は、その同じ琉球新報のインタビューで病状を悪化させている。これも長いが面白いので貼っておく。
<インタビューでは「県外」への強い思いを語る一方、「残念ながら沖縄の皆さんに理解してもらえる案になっておらず申し訳なく思っている」と県民に陳謝した。
政権交代前の衆院選から「最低でも県外」と繰り返してきたことには「県民の期待感もそこに非常に集約されていたし、県民のことを考えればどうしてもやりたいという強い気持ちがあった」と沖縄県民を意識したように力を込めて語る。
日米合意以降ずっと物議を醸してきた「抑止力」。当時この言葉を耳にした県民の意外感や、裏切られたような印象があったことを問われると鳩山前首相は「そうでしょうなあ」と、質問を予測していたというように一呼吸置いてゆっくりと答えた。
時折、冗談も交えながら記者の質問に答える前首相。政権運営のさまざまな場面について「何か不幸があった気がする」「むしろ非常に勉強になった」などと当時の心境を振り返ったが、評論家が論評するようで、当事者意識を感じさせない口調だった。
ただ、辺野古移設の説明で来県した際に反対市民の抗議を車内から見ていた印象については「(最初の来県時は)皆さん喜んでいる感じで、(2回目の来県時は)また違う異なる印象を感じた。1度目は沿道から多くの人が手を振って歓迎する人もたくさんいた。2度目の時は反対が強かった。声を出さない人にもいろんな考え方があるのではと複雑な思いだった」と答えた>
先ほどの「シャーロック・ホームズ・唇のねじれた男」に出てくる便箋にはこう書かれていた。
愛しい人よ 心配しないで 大丈夫 大きな間違いがあって すぐには終わらないかもしれない 辛抱強く待つように
ネヴィル
まるで、日本国民を励ましているようだ(笑)。