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大飯3号機発電開始、早ければ9日にもフル稼働(読売新聞) >2012.7.5

2012年07月05日 | 過去記事

    




大飯3号機発電開始、早ければ9日にもフル稼働(読売新聞) - goo ニュース

<関西電力は5日、大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町、出力118万キロ・ワット)で発電と送電を再開した。

 東京電力福島第一原発の事故後、定期検査を終えた原発が発電するのは初めてで、原発の稼働は5月5日に北海道電力泊原発3号機が定期検査入りで停止して以来約2か月ぶりとなる。

 大飯原発3号機は早ければ9日にもフル稼働の状態となる見通しで、政府と関電は関電管内の今夏の節電目標を現在の「一昨年夏比15%以上」から「10%以上」に引き下げる。ただ、国内の原発は大飯3、4号機以外では再稼働のメドが立っていないため、電力需給は厳しい状態が続く。

 関電は午前7時頃、3号機のタービンと発電機と送電系統をつないで発電を開始した。関電管内全体の電力需給を管理する中央給電指令所(大阪市)では、発電所の稼働状況を示す電光パネルで、「大飯3」の欄に出力が始まったことが表示された。5日午後2時までに大飯3号機の出力を35万キロ・ワットまで引き上げる計画で、発電した電力は管内の大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の2府4県を中心に送られる>









アメリカのテレビドラマ「LOST」。シーズン1だったか、島の中に巨大な奴隷船が出てくる。その中には大量のダイナマイトが箱詰めされていて、コレがストーリ上、何度か出てきて何人かが爆死する。導火線に点火する、のではなく、リュックに入れたそれを投げ落したり、普通に持ち運んでいて揺れたりして爆発する。

原料となるニトログリセリンは、他の映画やドラマにもよく登場する。どれも慎重に扱わないと、ちょっとした刺激ですぐに爆発する危険物として扱われる。この物質は難儀なモノで、私が全巻揃えている漫画「バキ・シリーズ」にも登場する。「死刑囚偏」だ。徳川のじいさんが「世界中の科学者が結晶化させようとしたが、どうやっても結晶化しなかった。だからこれを運ぶ貨物船は爆発事故が後を絶たなかった」とか説明してから「これがあるとき、一斉に結晶化したのじゃ」とかやる。「シンクロニシティじゃ」ということだが、これはまったくのデマ。結晶化に手間がかかるのは「グリセリン」だ。ニトログリセリンはずっと前から8℃で凍結、14℃で溶ける。

しかし、危険な物質というのは本当だった。1846年にこれを発見したイタリア人科学者、アスカニオ・ソブレロは「一滴」のニトログリセリンがガラスのビーカーを吹き飛ばすのを見て「威力があり過ぎるから爆薬には応用できない」とした。ただ、舐めると頭が痛くなった。血管が膨張した。だから「狭心症の薬」にはなった。

これを珪藻土に染み込ませたのがアルフレッド・ノーベルになる。小学校の時の担任だった西川先生の「ダイナマイトの発明をしたのはダイナマイト博士」は「ロシアには泥棒がいない」と同じウソだった。日本人は珪藻土を物騒なダイナマイトではなく、輪島塗に使ったり、七輪を作ったりしたが、実はコレを食べてもいた。アイヌは普通に「チ・エ・トイ(我らの食べる土)」として料理に使っていたし、大東亜戦争中は乾パンなどの増量にも使っていた。小林照幸が書いた「床山と横綱」に「ダイナマイトは羊羹の味」と出てくるが、これは甘みのあるニトログリセリンと「喰える土」である珪藻土だったからだ。

ともかく、人類はダイナマイトを手に入れた。不安定で危険だったニトログリセリンを安定させ、爆発事故も起きないことになった。もちろん、これは人を殺すことも出来るが、それは包丁やら自動車と同じことで、普通はトンネルを掘ったり、ダムを作ったり、ビルの解体作業に使ったりする。発見して工夫して障害を取り除いて使用する。

これは人類がずっとやってきたことだ。運送業の死亡率は存外高いが、それでも人類が開発した自動車とは安全性が研究されて、徐々にではあるが交通事故死は減少する。ダイナマイトで爆死するのは映画やドラマだけのことになった。「危ないから止めよ」ではコーリング・クラークが言った「第一次産業」はやってられない。いまでも林業も漁業も農業も鉱業も危険と隣合わせだ。

大飯原発の3号機が発電を開始した。それだけで節電目標が「一昨年夏比15%以上」から「10%以上」に引き下がった。「原子力発電は危険」は「戦争は悲惨」と同じくらい当たり前のことだ。ロシアからガスを買いたい連中、化石燃料に依存したい理由がある連中、孫正義に儲けてほしい連中はともかく、これからますます暑くなる。体温調節の難しい年寄りや衰弱している病人、体力が無い幼児に心当たりのある人は、馬鹿を言っていないで「安心して冷房を使える環境」を整える方途を探そう。電気代が気になるなら「クーラーの1.7倍」もの電力を消費するテレビを消そう。日中はテレビを消し、夕飯の後、クーラーを入れて大画面で映画でも観よう。




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