忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

ラサール石井、岸田首相の「海の日」メッセージに憤り「このタイミングでか何をお気楽な」

2023年07月19日 | 随感随筆




チンギス・ハンはアジアから東ヨーロッパまでを制して帝国を作った。13世紀だ。その孫のフビライは北京を都とし、国号を「元」にすると、そのまま朝鮮半島に攻め入り高麗を征服。大帝国を築き上げ、まさにイケイケであったが、そこから更に東方、海を越えたところにまだ独立している国があるという。

とりあえず、高麗の使者を先導させて「征服するぞ。殺されたくないなら服属しろ」と凄んでみると、鎌倉幕府は全然ビビらず「この無礼者が」として使者を斬り殺した。そのときの執権は北条時宗。17歳だった。岸田政権でなくてほっとする。

文永十一年、怒ったフビライは4万以上の兵を900隻の船に乗せて来襲。対馬、壱岐を占領し、その住民を虐殺した。それから博多に上陸するも、船首に島の住民だった女子供を吊るして鎌倉武士を仰天させた。おそらく、当時の鎌倉武士が本当に恐怖したのは「てつはう」やら「毒矢」ではなく、この残虐非道、悪逆無残な大陸文化だった。

一時は太宰府まで追い込まれるも、元軍の被害も大きく、船に戻ったところで玄界灘の暴風雨に沈められて撤退。思いもよらず痛い思いをしたフビライはその翌年、また、懲りずに使者を送ってくるも、日本は岸田政権でもなく、林も茂木もいないから、服属なんかするか、とした鎌倉幕府はまた使者を斬り殺す。

怒り狂ったフビライ。今回は本気出す、ということで高麗の兵を加えた14万人を4400隻の船に乗せて攻めてきたが、鎌倉武士も前回で学んでいたから、博多湾に石の堤防を作り上陸を阻み夜襲をかける。正々堂々とか戦の流儀など通じない相手に、いわゆる「一騎駆け」もしない。ちゃんと組織的、計画的に戦闘行為を行った。

元軍は軍勢7割以上を損失。敗退したところをまた神風、暴風雨が襲っている。世に言う元寇。文永、弘安の「蒙古襲来」だが、福岡県の東区志賀町に「蒙古軍供養塔」がある。日本人は日本を征服しようとして襲来、つまり、軍事力をもって現状を変更しようと侵略行為を行い、一般住民含む日本人を大量に殺害し、民家を略奪し、婦女子を強姦し、日本人の女子供を虫の息で船首に吊るして鎌倉武士の長弓を躊躇わせる卑怯千万すら、殺してしまったら、死んでしまったら仏として供養する。実に慈悲深い民族である。

これはどうしようもない日本人的マインドであるが、この民族的、且つ、歴史的文化を共有できないのがSNSなどでも散見される。日本人の民度が下がったのか、そもそも日本人ではないのか知らないが、日本人っぽい顔で日本語を使いながら、日本人と思しき名称を使い、日本社会で暮らしながら、あまり日本的な感覚を共有できないのがちらほらいる。

べつに珍しいわけでもないし、とくに思うところもなく、控えめに言っても大した影響もないし、普段ならとくに取り上げたりもしないと思うが、今回は目に余るというか、明らかに一線を越えていると思うので、ここに書き記しておきたいと思った。ラサール石井だ。

目に余るのは「この記事」ではなく、次のツイートである。








石井はわからないかもしれないが、この件、多くの人が「一線を越えた」と判断しているのは遺族、つまり、夫を殺されて残された妻にも向けられている悪罵だからである。

石井は安倍元総理の命日となる8日、明治会館で行われた「安倍晋三元総理の志を継承する集い」を紹介する記事を引用している。その中であった昭恵夫人の挨拶を揶揄するツイートをしているのである。こんな下劣に左も右もなく、イデオロギーも関係ない。私の個人的主観による、と一応、断っておくが、マトモな人間ならしない。金やる、と言われてもやれない。

昨日「れいわ」の議員が、ジャーナリストの山口敬之氏との名誉棄損裁判で敗訴し、22万円の賠償命令が出された。負けた本人は敗訴しながらも「95%は認められた」とか意味不明だが、それでも個人を誹謗中傷するレベルのことだ。これにいろいろと言うのはいい。山口氏を貶める言説はネットを探さなくても目に入る。我々はそれらを見て、だから「れいわはないわ」とか言っていてもいい。もちろん、山口氏に対する批判もあるだろうし、言葉が過ぎたり、事実無根を喧伝したりするなら、また、訴えられて賠償金でも支払えばいい。

しかし、この石井のツイートは違う。訴えるとか訴えないでもない。本当の意味で心根の問題だ。この件について憤っている人は少なくないが、もはや、怒りを通り越して別の感情、例えば「かなしい」とか「むなしい」という意見もあった。私もその一人だ。

それから不思議になった。

というのも、石井もたぶん、家族や友人がいると思う。左巻きの中にもいるかもしれない。一緒に自民党や安倍さんの悪口も楽しいだろう。仲間には「死んだ人を叩く」ことに抵抗がない、日本人マインドに縁のない人も少なくないだろう。しかし、本当に誰一人として「それはダメ」を言ってくれる人はいないのだろうか。詳しくは知らないが、妻も子もいるかもしれない。親兄弟、親類縁者はいるだろう。コント時代の芸人仲間はどうか。

それなら、それらの人は、本当に誰も何も言ってくれないのだろうか。

私なら友人や妻から軽蔑されると思う。私がこのブログに「ラサール的」なことを書いて悦に入っていたら、亡くなった左巻きの知識人や政治家を玩具にして誹謗中傷すれば、現実的に人が離れていく可能性はある。石井はそうじゃないのだろうか。

本当に気を許した友人にならぶん殴られるかもしれない。お前には愛想が尽きた、とか言われて絶縁されるかもしれない。控えめに言っても「そのレベル」のことではないかと思う。

記事でもまだ「処理水」を「汚染水」とか言いたいのは勝手にすればいい。韓国の野党議員と一緒になって騒ぐ日本の野党議員もいる。なにはなくとも日本は嫌い、という自由が日本にはある。それにつけても日本は悪い、という自由も日本にはある。べつに捕まらない。訴えられもしない。

親を小馬鹿にしながら親の保護下で生きている餓鬼が許されるように、日本を腐しながら、日本の恩恵にて暮らしていくこともできる。後ろめたいなら「これは権利」「それは国の義務」と言っておればいい。ただ、やっぱり、それでもラサール石井は外道だと思う。



まあ、それでも――――良識ある日本人は石井が死んでも「お悔やみ申し上げます」くらいは言ってくれる。よかったな。





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