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忘憂之物

コンカツとトンカツはどちらがアレか




「婚活」というのは聞いたことがあるが、最近はその前の段階、つまり「恋愛活動=恋活」というのがあるらしい。職場の独身女性何人かが冷やかし半分、という全力の本気で参加してきたのだとか。私などは3000円だか4000円だかの参加費用で、独身の男女を引き合わせるだけでビジネスになるのか、とそちらのほうが気になった。

聞けば適当なレンタルルームに「ほれ」と放り込むだけではないのだという。ちゃんとパーティ会場もあって、一緒になにか作ったり、ゲームをしたりして「親密さを増していただきます」というお膳立てもある。そこには20代から40代の男女が入り混じり、会話をしてフィーリングが合えば、そのあと、よろしくどうぞとなる。

過去、テレビ番組でも同じようなモノがあったが、いわゆる「告白タイム」のようなものはないとのこと。とくに「恋人」をつくる場でもなく、単純に「異性の知り合いが増える」という理由で参加する人もいるそうだ。根性がねじ曲がった私などは、そんなの結婚詐欺師とかデート商法の釣り場じゃないの?と心配になったりする。

まあ、いずれにしても「男余り」の日本。会場はさぞかし、むさ苦しい野郎どもが溢れていたと察して問うと、参加者の過半が女性だという。能動的に「異性を探す」のは女性のほうだというわけだが、私なんかはちょっと安心した。日本男児は死んでいなかった。

そういえば最近、ショックなことがあった。虹の会の忘年会で河内屋の親父から「ちよさん、なんか、可愛くなったなぁ」と言われた。たしかに髪が伸びた。年末に床屋に行くチャンスはあったのだが、なんとなく邪魔臭かったり、寝てしまったりして切れてなかった。私は整髪料やらはもちろん、ドライヤーとか櫛を使わないで人生やってきた。つまり、風呂上がりはそのまま「自然乾燥」で過ごしてきた。男一匹、軟弱な倅じゃあるまいし鏡の前で四の五のしない。私は頭の毛も脇の毛も同じ。生えているんだから仕方がない、というスタンスだ。すなわち、生えていない虹の会長と価値観を共有する。

すると、私の髪の毛は細くて柔らかいから、下に降りてくる。しかも若干の天パーだ。なんとなく「おぼっちゃん」みたいな感じになる。ショックだったのは河内屋の親父に言われて怖かったから、ではなく、職場のオバちゃん連中にも同じように言われていたからだった。41歳の肉食獣の雄を自覚する私に対する「可愛い」は、私に対する全否定と同じになる。私は可愛くない。断じて可愛くないのである。

しかし、これが嬉しい、という男子が増えた。職場にも髪の長いイケメン男性職員がいるが、それがお風呂介助のときなど髪の毛を結ぶ。あの、なんとかいうやつだ、ゴムの「しゅしゅしゅ」とかいうアレか。それで髪を縛っていると、女性職員らはもう、じっとりと見つめて「可愛い(はぁとまーく)」みたいになっている。実に不気味だ。

本人に言ってみた。貴様、オカマ介護か。丸坊主ヘルパーに魅力を感じないのか。

すると「髪が長いのが好きなんです」ときた。

違う。私が問うているのはそのゴムだ。男一匹、髪を結えるならば大銀杏しかない。たぶん、私は違和感なく似合うはずだ。そもそも漢というモノはだな、と説教すると逃げられた。ったく、軟弱ぅなのである。

それに比べて、だ。我らが河内屋の親父はどうだ。私は駅前にオヤジを見つけたとき、どこかの組でガサ入れでもあるのか、と案じたほどシブイ。完全に「マル暴」の刑事(デカ)だ。あの顔面をしてフルネームで名を呼ばれ、ちょっと、そこまで付き合えや、と言われたら観念してしまうかもしれない。冷たい取調室が目に浮かぶ。というか、そもそもあの「鉋で削った」如き角刈りのどこに「しゅしゅしゅ」をつけるというのか。載せるのか。


ま、話を戻すと、だ。そんな「恋活」かトンカツか知らんが、そのような場でデレデレもじもじ、伸び切った鼻の下を隠しながら、ごにょごにょしている男子が少ないと聞いて安心した。これを「草食系」として意気地がない、と批判するのは違う。そんな場は「恥ずかしくて行けない」というのが正常な男子、日本男児のとるべき態度なのである。

そもそも「口説く」と「媚びる」は圧倒的に違う。最近はこれを混同している輩が目立つ。女性はたぶん、媚びてほしいのではなく、ちゃんと口説いて欲しいのである。「出会いの場が」という言い抜けも聞こえてくる。それも違う。その兆しを掴めない、逃してしまうのである。それに「場数」だけでどうにかなるものでもあるまい。肝要なのは「逃さない」という周到な準備、それから「これでいいや」という妥協である。決断力である。

他にも原因はいくつかある。認めたくはないが「草食系」もそうだろう。明らかに「その気」がある女性がいても、強引にモノにできない軟弱ぅもいるにはいる。また、それを甚だ勘違いしたまま、強引を躊躇わずにストーカー紛いのアレになったり、酷いのになれば性犯罪紛いの馬鹿もいる。要するにコミュニケーションできていない。

また、往々にして「モテナイクン」は拒絶に弱い。「相手の嫌がることはしない」というチンパンジーみたいなことを言う。軟弱男子は拒絶されるとダメージが深い。つまり、振られるのが怖い。しかし、だ。よぉく周囲の「モテルクン」をみてみよ。成功の数だけ失敗があると気付くはずだ。「モテルクン」とは、実のところ振られまくりである。

ただ、ノーダメージなのだ。振られても「次のチャンスが来た」くらいにしか思っていない。男子はこうじゃなければ生きていけない。野生動物でもそう。一度の求愛行動が拒否されて終わりなら、多くの種は絶滅の危機に瀕する。振られたら、あ、そう、で次を探す。このくらいの図太さがあれば、雄としての自信が表面化して、放っておいても雌は群がる。

職場の女性らが言う。その「恋活」の場で「男子同士」で話している割合の高さ、に呆れ果てていた。明らかに馬鹿にしていた。「女性を探しに来た」はずの場で雄同士が群がる。それならそれで「ハッテンバ」とかあるだろうとなる。私なら雄は相手にしない。「どうだった?」とか「イイ子いた?」などの情報交換すら拒む。だって敵である。ライバルである。トイレに連れ込んで脅すことはあっても、互いに協力して、とかあり得ない。譲り合いとかない。

今度は職場の男性職員に問う。夜の盛り場に行ったことがない、とか言う。情けない限りだ。「キャバクラ・・・とか高くてとても」みたいに言う。嘆かわしい限りだ。そんなの「勉強代」と言っても理解不能。スロットで摩るなら可愛いお姉ちゃんと遊べる店に行けよ、と言うも、なんと、こちらがオッサン扱いの憂い目に遭う。そして言う。「ボクは、普通の子がいいんです」。

馬鹿な。クラブやキャバクラで働いている子は普通の女性だ。それもダイレクトに美醜を評価され、あるいはその愛嬌を評価されて高収入を得ているハイレベルだ。もちろん、それを維持する努力は並大抵ではない。使う金も莫大。ライバルも強力、ポジション争いは熾烈を極める。「虐め」も強烈。それこそ普通の職場とは比べるべくもない人権無視が繰り広げられている。そういう真剣勝負の場で勝ち抜いた女性と接して得るモノがないわけない。

先ず、その3000円で「女の子と知り合おう」というチンケさがダメなのだ。とりあえず、ゼロを足せと言いたい。酒も飲まずに一緒に「ケーキを作りました」だ?30代や40代のオッサンが?そんなの、モテルわけなかろう。気持ち悪い。



親元に暮らしているという30代半ば。真面目な男だが面白くない。「彼女が欲しい」が口癖だが、見た目はそれほど悪くない。結婚願望もある。だから、その「恋活」に興味深々だったから慌てて引き止める。

貯金はあるの?

「100万円と少し・・・」

親元にいて?車もないのに?貯まってないなぁ・・・と呆れる。

それなら、先ず10万円で服を買う。それ着込んでから30万円持って祇園に行く。ひとりだからキャバクラの梯子して、最後はクラブ一軒、どこか行く。足してでも使い切る。

「えぇ~~・・・・・そんなん無理です~~」

キミね、先ずね、情報とか勉強って無料じゃない。それなりに価値のあるのはカネがかかるのが常識。それに例えば家買うとき、適当に買わないでしょ。結婚するかもしれない相手なら「家」みたいなもんだ。買うならよく調べて、知ってる人に聞いて、それから学んで決断するのが普通でしょ。それと同じ。普段から文化住宅とかアパート、良くてもワンルームマンションしか知らないのに、どうやって一生住むかもしれない持家を選ぶわけ?

買い物するとき、普通は「良いモノ」から選ぶでしょ。「良いモノ」知らないと、何が良くて何がダメなのか、さっぱり見当もつかないでしょ?

つまりね「彼女が欲しい」なんて言ってるだけ。モチベーションが低いンだね。周囲には風呂なし、共同トイレの4畳半ひと間ばっかり。これでは「家なんていらないかも」となっても仕方がない。そんなのに寄ってくるのは「貧困ビジネス」。ホームレスに又貸しして儲ける連中だけ。あっと、もちろん「恋活」がそうだとは言わない。キレイな新築ワンルームくらいはあるかもしれない。でもね、行くとこ行けば土地付きの高級住宅がずらり。もちろん、それを買うのが目的じゃない。でも、見たら欲しくなる。これが良いとわかるようになる。それから研究もする。勉強もする。これを昔は「男を磨く」と言った。

高級ホテルに一生住むわけでもない。でも、泊まったことがなければ部屋の様子もわからない。ベッドの寝心地も知らない。知っていれば「同じような価値」は理解できる。1週間ならともかく、一生過ごすとなれば「見る箇所」も変わってくる。それが「見る目」。

それとも「わからないまま妥協して」から、十数年後、家に帰って嫁を見て、なんでこんなのと・・・とか後悔したい?仕事場で嫁の悪口三昧、適当な安アパートと不倫して修羅場、そんな将来は楽しみ?それでも結婚したい?彼女欲しい?

それがいまなら、たった四十万円。金利手数料はキミが負担。もし不安なら付き合ってやるけど。もちろん、費用は全額、キミ持ちでね。焼肉スタートね。


コメント一覧

久代千代太郎
あけましておめでとうございます
>親爺どの

職場にはまだまだ、チュウハイなら5~6杯飲んで喜ぶくせに、ビールや焼酎、日本酒はうげーという30代40代がいるんです。あんなのなにがおいしいの?とか真面目に聞かれましたよ。

要するに「本物」をクリアしないまま、年取っちゃうんですかね。中年のおっさんが「ピーマン嫌い。ハンバーグ好き」は気持ち悪いだろと。

あと、平気でおっさんがカルアミルク、カシスオレンジ。ああ、もう、です。

無粋なんですよね。野暮なんです。だからコートと靴で20万円とか、金があるなしじゃなく、そういうことがわからない中年子供が増えているように思います。大人になっていない、というか。

「しまむら」があるじゃない?「ユニクロ」でいいじゃない?なんですよね。それはそれであるし、いいんですが、そうじゃない場合もあるだろ、がわからない。

年上や先輩、上司や格上の人に対する憧れもない。背伸びしないから失敗もない。無理しないから涙も出ない。苦労を避けるから努力の価値が分からない。

ま、世の中、かっこいい大人が減ったのかもしれませんね。そういう意味でオヤジは貴重。これからもシブくいてください。今年もよろしくどうぞ。


あ、今度ね、からすさんと伏見で鳥喰いますから、是非。
親爺
新年 明けましておめでとうございます。

年初から快調に飛ばしてますなあ。

>私は駅前にオヤジを見つけたとき、どこかの組でガサ入れでもあるのか、
>と案じたほどシブイ。完全に「マル暴」の刑事(デカ)だ。

誰が西部警察の渡哲也やねん?
などというベタなツッコミはおいといて・・・・・

『100万円の貯金があるなら、10万円でスーツを仕立て、懐に30万ほども突っ込んで』のくだりに同意。
(一言だけアドヴァイスすれば、コートと靴にも気を遣って欲しい。アクアスキュータムを羽織り、足下をテストーニ辺りで極めればなお良し・・・・尤もこの2点で20万は吹っ飛ぶだろう。)

当節は30万じゃ碌なクラブ活動も出来ないが、まあそこそこは遊べる。新地でも祇園でもどこでも宜しい。束の間の遊興で理不尽にボッタくられ、空になった己が財布を見つめ、押し寄せる悲嘆と虚無に涙がチョチョ切れる......要はそういう経験が男には大事なのだと。

若い頃に可愛がってくれた鳶の親方がしみじみと言ってたよ。
「なんぼ札束突っ込んでも、住之江とセンタープールと女のあそこは埋まらんかった。」
遅かった結婚を機にあらゆる賭け事から手を引き、40でゴルフをやめ、50を前にクラブ活動も引退した私は、とてもその域に達することは達することは出来なかった。
今からその道を究めようにも、もはや手遅れ。
嗚呼、日暮れて道遠し。

近いうちにまた飲もう。

今年も宜しく。
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