忘憂之物

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             渋沢栄一

「禁酒令は人権侵害」福岡市職員、日弁連に申し立て(朝日新聞)>2012.6.30

2012年06月30日 | 過去記事

    




「禁酒令は人権侵害」福岡市職員、日弁連に申し立て(朝日新聞) - goo ニュース

<福岡市の高島宗一郎市長が全職員に要請した1カ月間の自宅外禁酒について、同市の男性職員が日本弁護士連合会に人権救済の申し立てをしていたことがわかった。申立書で、禁酒要請について「人事権を背景とした実質的な強制で、自由な意志を不当に束縛する人権侵害にあたる」と指摘。「違法であることを明らかにし、市長から全職員に謝罪するよう要請してほしい」としている。

 市は禁酒について、公務外の職員の行動を規制できる法的根拠がないとして、職務命令ではなく、市長からの強い要請という形をとった。朝日新聞の取材に、男性職員は「自宅外で飲んだことが発覚したら自身の人事を握る所属長から指導を受ける。実質的な命令だ」と主張。「法的に問題がないか問いただしたい。激しく怒る職員がいることも、市長には知ってほしい」と話している。

 日弁連は申し立てに対して、調査で人権侵害があると認めた場合には、警告や勧告などをする>








職場の親睦会。幹事は私だった。一応、取り仕切るわけだが、施設の長が挨拶をしているというのに、沖縄県の成人式じゃあるまいし、酷い雑談が収まらない。ずっと携帯を見つめているのもいた。若い層だけではない。世間的には「中高年」と呼んで差し支えない、立派な大人がソレだった。もちろん、天下りのジジイの話なんぞ誰が聞きたいものか、には賛同するが、これはあまりにもいただけない。

その横に座るのは私。施設長は誰も聞いてくれていないから、隣に座る私に向かって話し出した。施設としての今後を少し話した後、話すことが無くなったのか、この御仁は消費増税の話をしていた。高いモノは早く買いましょう、大きな買いモノは済ませましょう、とかテレビと同じことを言っていた。これでは誰も聞いてくれないのも仕方がないが、次の瞬間だった。話が賞与に及んだ。会場は静かになり、それから拍手が起こった。「例年通り、支給されますので」ということだった。それから近隣施設ではトップクラスです、と自慢もし始めていた。私はなんとも、そういうことかと興醒めした。

時間にして数分、人の話を黙って聞くことが出来ない。そんな連中は「金をくれてやる」という声には反応する。民主党がバラマキを言うはずだ。どこのだれも「日本国としての将来」とか「日本国としての安全保障」には興味もない。自分の財布に影響するかどうか、でなければ経済政策にも反応しない。2009年の夏もそんなものだった。

それに遅刻も酷かった。職場の仲間の飲み会と変わらない。なんと、無断での欠席もあった。明らかに常識が壊れている。幹事である私が到着したのは20分ほど前、料亭の女将さんに挨拶し、それから入り口で待つこと30分。誰も来なかった。私は不安そうな女将さんに「どっきりですかね」と冗談を言った。開始時間は既に15分過ぎていた。それから、ようやく、ぱらぱらと集まり始める。最初の到着組から30分経過。誰ともなく「もういいだろ?」ということでビールが回り出す。私はこんないい加減な社内行事を知らない。

しかし、さすがに飲酒運転の馬鹿はいない。どうしても酒が飲みたい、というのは私だけだったし、一応、送迎バスも用意した。普段は知らぬが、その酒席ではハンドルを握る人らは全員、ノンアルコールドリンクだった。私は確認したから間違いない。

つまり、世間のレベルはそこまでだ。これで堂々と「オレはオレだ」として酒飲んで運転して帰れば、人を轢こうが轢くまいが、事故を起こそうが起こすまいが、その人間は「世間レベル以下」の人間として扱われる。いまは懐かしい「社長マン」がそうだった。いや、私が勤めていたグループの幹部連中がそうだった。幹部会議の後、クソ高い店で酒を飲むが、そのときの総務部長の挨拶は「飲酒運転は止めましょう」ではなく「飲酒検問には気をつけましょう」だった。私が内部不正を暴くと、そういう連中は芋づる式に去って行った。要すればそういうことだった。そういうレベルの人間が巧みに紛れ込んでいた。

話の質を少しだけ落とすと、私は「社内恋愛」については認めていた。私も職場で現在の妻をみつけたし、部下の中には社内恋愛の末、結婚したのも少なくない。しかし、建前上は「よろしくない」とした。先ず、ダメなのは不倫だ。それから職場で醜聞を撒き散らすこと。いちゃいちゃするのも見苦しいが、喧嘩でもされたら周囲はたまらない。それに上司、部下の関係だと指揮命令系統に乱れも出る。それでも隠れて、こっそりとやるぶんには仕方がない。ダメだと言っても通じない。だからせめて「わからないようにしなさい」と言って来た。遠くに行けと。近場の居酒屋でメシ喰って、最寄駅周辺のラブホテルに行くなと。それだけの金と時間を用意できる立場になってからやりなさいと。それが無理なら、どちらかが辞めなさいと。

これに対して「恋愛は自由」と言ってきた馬鹿は記憶にない。いや、たぶん、いるにはいたと思うのだが、とくに記憶にも残っていない。つまり、その程度の馬鹿だった。私はそういう「曖昧な決まり事」を策定する際、すべて「上長判断による」としてきた。爪の長さとかアクセサリーの類、髪の色や髪形など、およそ「これはいいんですか?」とか「アレは良くてこれはダメなんですか?」という馬鹿対策だった。しゃらくさい、直属の上司がダメと言ったらダメ、これが決まりだとした。もちろん、意見を表明する自由はあるから、文句があれば私の部屋に来て意見を述べよ、とした。誰も来なかった。



ともあれ、この記事の件は福岡市長が悪い。相手は小役人だ。ならば<人事権を背景とした実質的な強制で、自由な意志を不当に束縛する人権侵害にあたる>くらい言い出す馬鹿も想定していなければならない。それと、やはり「やり方」も中途半端だ。外で飲むな、ではなく「飲酒運転は即時解雇」でよろしい。これに対して「厳し過ぎる」と公言する馬鹿もいたではないか。この馬鹿の主張を見よ。

<自宅外で飲んだことが発覚したら自身の人事を握る所属長から指導を受ける。実質的な命令だ>

「強い要請」だからこそ「指導で済む」とは思わない。つまり、この馬鹿は市場にある企業なら「命令違反」は解雇されると知らない。権利権利で育ったらこういう馬鹿になるという見本だ。福岡市長に提案がある。この馬鹿は<市長から全職員に謝罪するよう要請してほしい>と言っている。ならば謝罪すればいい。先ず、こいつ個人に、だ。それから「キミだけは外で飲んでもよろしい」として許せばいい。キミの権利を侵害する気は毛頭ない、と謝ってやればいい。それから残りの職員に問う。「キミらはどうかね?」と。

オレもオレも、ならば、そいつら全部「外で飲んでもいい」としてやればいい。ただし、前言撤回はよくない。いままで通り「自宅以外での飲酒は一カ月禁止」という「強い要請」は出し続ければいい。「要請もするな」という餓鬼がいれば面白い。命令はするな、要請もやめろとは何様のつもりか、問い質してやればいい。外で飲んだかどうか、よりもわかりやすいリトマス試験紙になる。




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