けんいちの読みもの

好きなものについて書きたいことを書きます

棋士レヴュー①

2020-03-12 17:00:00 | 将棋
けんいちの独断と偏見に基づいた棋士のレヴューをしたいと思います。
抜けがないように、順位戦(第78期)の上位棋士から順に見ていこうと思います。



豊島将之(竜王・名人)
 愛称・「とよぴー」「きゅん」など。早くから若手の有望株と見られ、若くしてタイトル戦にも度々登場。なかなか奪取まで至らなかったが、近年立て続けにタイトルを獲得し、現在は棋界の最高峰である竜王・名人の二冠を保持。電王戦の勝利の後、コンピュータから学んで一気に頂点まで登り詰める。「豊島?強いよね」の人。それがきっかけで序盤・中盤・終盤隙が無い、と評される。

渡辺明三冠(棋王・王将・棋聖)
 愛称・「なべ」など。史上4人目の中学生棋士。竜王戦9連覇をはじめタイトル通算23期を誇る、「羽生世代」の次の世代の第一人者。歯に衣着せぬ物言いで、解説も明解。米長さんに「魔太郎」と呼ばれる。圧倒的強さゆえ「魔王」と呼ばれる要因となった可能性も?競馬好き。

広瀬章人八段
 タイトル通算2期。かつては「振り穴王子」と呼ばれた振り飛車党だったが、近年では居飛車にモデルチェンジし、タイトル戦の常連に。抜群の終盤力に定評がある。「羽生に魂を抜かれた人」とか言われても、常に穏やかでいい人。

佐藤康光九段
 タイトル13期。A級在籍23期。日本将棋連盟の会長。愛称・「モテ光」など(先崎九段がつけたらしいw)。誰にも真似できない、と思われるような独特の序盤戦から、「剛腕」と称される中終盤の指し回しが特徴。会長の激務をこなしながらバリバリのA級棋士として活躍する姿はカッコいい。チャリティーイベントで会長に出してもらった座布団に座れたのは誇りですw

佐藤天彦九段
 愛称・「貴族」。後手横歩取りを原動力に名人3期を獲得。中終盤の粘り強い受けで相手に決定打を与えない。常にオシャレでスーツや和服スタイルにも細かいポイントがある。リップクリームを塗ってから投了する、という新手は将棋ファンを唸らせた。わたくしは感想戦や解説のはっきりとした語り口が好きです。音楽も貴族らしくクラシックが好き。

羽生善治九段
 「将棋=羽生さん」。愛称はこれといったものが無いが、愛着を込めて「ブーハー」「うさぎおじさん」など。あまりの強さから「将棋星人」「鬼畜メガネ」などと呼ばれることも。加藤一二三大先生が考えたニックネームは、「よっちゃん」w
 タイトル通算99期、NHK杯優勝11回、七冠独占、永世七冠などの記録はどれもこれも前人未到。基本的に居飛車党だが振り飛車も華麗に指しこなすオールラウンドプレーヤー。相手の得意戦法に飛び込んで、結果勝つ。「羽生にらみ」「羽生マジック」など伝説多数。終盤、勝ちを読み切って正気に返ると指し手が震える。震え具合によって「ハブニチュード」の数値が変動。

糸谷哲郎八段
 愛称・「ダニー」。早見え早指し。ノータイムでバンバン指すが、26歳で竜王を獲得してトップ棋士の仲間入り。得意戦法は角換わりで、中終盤の乱戦に強く、逆転術にも足ける。普及に熱心で、様々なイベントに出演。スイーツ好きで、タイトル戦等で出されるおやつの時間帯で大活躍。大阪大学・大学院を修了。「詰将棋カラオケ」のダニーは凶悪wwwしかしあれは棋士の天才ぶりが分かる。

三浦弘行九段
 愛称・「みうみう」。孤高の研究家。羽生七冠の牙城を崩し、棋聖を獲得した。タイトル獲得こそ1期のみだが、A級在位18期を誇る。ソフト使用による不正を疑われたが、潔白が証明された。騒動で研究に割く時間が削られたこともあり復帰後は勝率が落ちたが、見事に復活し、各棋戦で活躍。

稲葉陽八段
 豊島、糸谷らとともに関西所属の若手棋士として大活躍。A級入りから名人挑戦までたどり着いたが、佐藤天彦に敗退し、初のタイトル獲得はならなかった。NHK杯で、粘る藤井聡太を完封した将棋がかっこよかった。動画のコメントでは将棋民に「やっぱりイナバ」とよく書かれているw

木村一基王位
 愛称・「(将棋の強い)おじさん」「千駄ヶ谷の受け師」。昨年念願の初タイトルを獲得。46歳での初タイトルは最年長記録。受けの棋風で座右の銘は「百折不撓」。7度目のタイトル戦登場、最年長での初獲得はまさに百折不撓。解説は丁寧、ジョーク、毒舌のオールラウンダー。チャリティーイベントでもらった揮毫は宝物です!

久保利明九段
 「捌きのアーティスト」の異名を持つ。生粋の振り飛車党として堂々たるタイトル通算7期、A級在籍13期。鮮やかな捌きだけではなく、「もう一つの顔」として終盤の粘りにも定評があり、数々の逆転勝ちを収めた。叡王戦ではまさかの対局時間を勘違いして不戦敗。後日行われた豊島七段(当時)とのエキシビションマッチでは見事勝利。左利き。



以上となります!
棋士の皆さんは知的でありながら親しみを持てる方が多く、興味を持ってもらえたら、と思います。
(木村王位と久保九段は今期の結果残念ながら降級。かわって菅井竜也八段、斎藤慎太郎八段が昇級を決めています。)



将棋 基礎知識

2020-03-05 22:00:00 | 将棋
今日は需要など無視して(ここ重要)、将棋界の基礎知識を書きたいと思います。


〇棋戦
まずは日本将棋連盟が主催する棋戦について書きます。

・タイトル戦
プロ棋士の「タイトル」は全部で8つあります。
棋戦を勝ち抜いた挑戦者とタイトル保持者の番勝負は年に一度行われます。

    (2020.03.05現在の保持者)
竜王戦 豊島将之
名人戦 豊島将之
叡王戦 永瀬拓矢
王位戦 木村一基
王座戦 永瀬拓矢
棋王戦 渡辺明
王将戦 渡辺明
棋聖戦 渡辺明

このタイトルの並びは賞金順で、そのままタイトルの格となっています。
かつては7大タイトルでしたが、2017年から叡王戦がタイトル棋戦として設定され、2018年の7番勝負で高見泰地六段(当時)がタイトルとしての初代叡王となりました。
数あるタイトルのなかでも、特に竜王と名人はやや抜けた感じがあります。そのことが感じられるのは、タイトルを複数所持している場合。
例えば叡王、棋王を所持していれば「〇〇二冠」と呼ばれますが、名人が加わって三冠となった場合「〇〇名人」と呼ばれることが普通です(竜王も同様)。竜王と名人を同時に持つと「〇〇竜王・名人」となります。
今、とよぴーこと豊島さんが史上4人目の竜王名人となっています。

まとめると3/5現在のタイトル保持者は
豊島将之竜王名人、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、渡辺明三冠の4名となります。


・最年少タイトル獲得

藤井聡太七段の活躍が話題となっていますが、これまでのタイトル獲得の最年少記録は屋敷伸之九段の「18歳6ヵ月14日 」挑戦は同じく屋敷九段の「17歳10ヵ月24日 」となっています。実は藤井七段はもう17歳。今年の7月で18歳になります。
「最年少タイトル挑戦」の可能性が残されているのは現在決勝トーナメントが進行中の棋聖戦のみとなります。(しかし普通に決勝トーナメントに残っていて、しかも挑戦まであと3勝まで来ているってすげえw)
「獲得」まで広げると棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦の4棋戦となります。(てか王位戦は挑戦者決定リーグ入りして白星スタートしてるってこれもすげえw)


・最年少名人

名人戦はリーグが分かれていて、最上位のA級で1位となった棋士が名人に挑戦するという方式です。プロデビューはC級2組からですので、C1、B2、B1、A級とストレートで昇級しても最短で5年かかることになります。
最年少名人の記録を持つのは谷川浩司九段で、なんと21歳。中学生でプロ棋士となり、初年度こそ昇級を逃したものの、あとは全てストレートで名人まで登り詰めています。
藤井七段は昨期1敗して昇級を逃し、今期は全勝で昇級を決めて来期B級2組です。ここからますます相手が上位となるなか、負けられない戦いになっていきます。


・通算獲得数

羽生善治 99
大山康晴 80
中原誠  64
谷川浩司 27
渡辺明  23

一つ獲得することでもとてつもなく大変なタイトルを、99期も獲得している人がwww
ほとんどの棋士が「0期」で終わるなか、この人たちはまさに天才中の天才と言えるでしょう。
羽生さんは通算100期という大記録が掛かっていますが、達成できる保証は全くありません。今の将棋界の拮抗した状況や、コンピュータでの研究を含めた情報の勝負であることを思えば、その棋戦でただ一人の挑戦者になることは本当に難しいことなのです。
それにしてもこれまで、どんだけ抜けて強かったんや、という感想に尽きますね・・・w




将棋の魅力

2020-02-19 17:30:00 | 将棋
藤井聡太くんの登場で、将棋はかつてないほどのブームとなっています。わたくしも将棋が大好きでして、今回はその魅力について書きたいと思います。

わたしが将棋と出会ったのは子どもの頃で、将棋好きの父に教わってルールを覚えました。父は毎週NHK杯の将棋トーナメントを見ていて、NHK杯を見ると「日曜日の朝だなあ」と感じます。
小学生の頃は将棋大会にも出たことがあります。ヘボだったのでなかなか強くならず、続けなかったのはちょっともったいなかったな、と思うこともあります。

そして、年を重ねて将棋に戻ってきたのでした。
きっかけはYouTubeで「羽生善治 伝説」と検索して動画を見漁ったことです。

まずはあまりにも有名な「伝説の5二銀」。
これは、まだ10代だった羽生五段が「ひふみん」こと、加藤一二三(当時バリバリのトップ)を、解説者も唸る(というか叫んでいますがw)程の手で一撃のうちに倒してしまうものです。解説者の米長邦雄は5二銀を見た瞬間「おぉ~、やった!」と叫んでいて、その狙いを瞬時に解説。プロ棋士の読みの凄さを感じるとともに、トッププロをも驚かせる青年・羽生善治って凄い、と思ったわけです。

羽生さんはこのトーナメントでひふみん、大山康晴、谷川浩司、中原誠(全員名人経験者!)を破って優勝します。まさに今の藤井くんの活躍のような状態です。
決勝戦の中原誠との対局は、大山康晴さんが解説をしているのですが、この解説が凄まじい。一目で10数手先の変化を見極めて、スラスラと読み筋を披露していくおじいちゃん・・・wそして全て読み通りの展開になって羽生さんが勝ち切る。羽生さんは凄いけどこのおじいちゃんもとんでもなく強いやん・・・

そして、「プロ棋士はいったいどんな世界を見ているのか」ということが知りたくて、もう一度将棋を勉強してみたい、と思うようになったのです。

さらにこのタイミングで興味深いものを見つけました。
プロ棋士とコンピュータソフトが真剣勝負をする「電王戦」です。
第1回電王戦は、米長邦雄永世棋聖VSボンクラーズで、このとき既に終わっていました。
米長邦雄といえば「おぉ~、やった!」と叫んだ人で、子どもの頃から名前を知っている数少ない棋士です。これがどうやらコンピュータに負けたというのです。ただし、米長邦雄は既にプロを引退していました。

そこでいよいよ今度は現役のプロ棋士がコンピュータと戦う、となったのが第2回電王戦です。
それも今度は団体戦。
プロ棋士チームは阿部光瑠四段、佐藤慎一四段、船江恒平五段、塚田泰明九段、三浦弘行八段の5名(段位は全て当時)。
若手の棋士が中心の構成ですが、つかぽん(塚田九段)はタイトル経験者、みうみう(三浦八段)は現役のトップ10といえるA級棋士の一人です。結果はというと、
〇阿部 - 習甦
 佐藤 - ponanza〇
 船江 - ツツカナ〇
 塚田 - Puella α 持将棋(引き分け)
 三浦 - GPS将棋〇

「プロ棋士の1勝3敗1分け」という衝撃の結末に。
第2局の佐藤慎一-ponanza戦は「現役のプロ棋士が初めてソフトに敗れる」という歴史的な出来事と捉えらえました。
ちなみに、このときにニコ生で聞き手を務めていたのが女流棋士の山口恵梨子さん。プロ棋士の敗戦に涙していた姿を見て、彼女が将棋にどれだけ真剣に取り組んでいるかが伝わり、ファンになりました。
また、第4局の塚田泰明-Puella α戦は塚田九段側がほとんど壊滅させられた状態からコンピュータのプログラム範囲外である相入玉(お互いの玉が相手陣に入り込む状態。多くの場合は勝負がつかなくなる)の形に持ち込んで、引き分け。プロ棋士のプライドから終局後、塚田九段は涙を流しました。
第5局ではバリバリのトップ棋士が完敗するという衝撃的な結果となり、テクノロジーの進歩の瞬間を見た気がしましたが、やはり人間に頑張ってほしい、という気持ちが強く、「タイトル保持者だったら」「羽生さんだったら」という思いを持たずにはいられませんでした。

こうして棋士の「真剣勝負」の世界に魅力を感じるようになった、というわけです。

そこに現れたのが藤井聡太。
はい、昨日の王位戦挑決リーグでは激戦の末、羽生九段に勝利。これで公式戦は藤井くんの3連勝となりました。

次々と上位棋士を破る彼の姿は若き日の羽生さんのようであり、電王戦のコンピュータソフトのようでもある。

「脅威」ですねw


羽生ヲタとしては、二人のタイトル戦が見たいのですが・・・ここのところ羽生さんは少し結果が出ていませんので、また復活して藤井くんに勝ってもらいたいです。

では、今日はこの辺で。