春の天皇賞はフィエールマンの連覇で幕を閉じました。筆者の馬券的にはスティッフェリオも無くて、モズベッロもサッパリで、ガックリこの上なかったですが・・・
今回は伝統の天皇賞馬から、メジロブライトを取り上げようと思います。
[ライアンの息子]
父メジロライアン 母レールデュタン(母の父マルゼンスキー)
栗東・浅見国一厩舎 → 浅見秀一厩舎
牡 鹿毛
メジロブライトは新馬戦(函館芝1800m)を快勝し、すずらん賞(函館芝1800m)を2着、続くデイリー杯3歳S(京都芝1400m)で快速牝馬シーキングザパールの2着となり、距離を伸ばしたラジオたんぱ杯3歳S(阪神芝2000m)を勝ってクラシック候補として名乗りを挙げます。
1996年は、メジロライアンの初年度産駒のデビュー年でした。サンデーサイレンスやブライアンズタイム、トニービンを中心に、外国から輸入された種牡馬の子が活躍する中で、「父内国産馬」の星として注目されたのがライアン産駒のメジロブライトと、牝馬のメジロドーベルでした。(ついでにエアガッツという馬もライアン産駒で朝日杯3着など活躍)
年が明けてブライトは共同通信杯も快勝。皐月賞トライアルのスプリングSでは1.4倍の断然人気に押されますが、先行したビッグサンデーを捉えられず2着に敗れてしまいます。
この頃のメジロブライトは追い込み一辺倒という脚質。ちょっと基礎スピードが足りなくて確実に追い込んで来るものの、基礎スピードを持ち合わせているサンデーやブライアンズタイムを捉えきれない、という悲しさがありました。
父メジロライアンは皐月賞3着、ダービー2着、菊花賞3着と、クラシックに手が届きそうで届かなかった馬でした。
息子メジロブライトは皐月賞4着、ダービー3着、菊花賞でも3着と、まさに足跡をたどるかのような成績となってしまいます。
春の2冠を制したのはサニーブライアン。逃げ切りの2冠制覇は見事の一言ですが、皐月賞はメジロブライトとランニングゲイル、ダービーはここにシルクジャスティス、エリモダンディーといった追い込み脚質の人気馬の存在があったことは少なからず影響していたんじゃないかな、と思います。
菊花賞でもスローからの高速上がり勝負で、中距離で実績のあったマチカネフクキタルが勝利。1番人気シルクジャスティス、2番人気メジロブライトという中で生まれたスローだったのかも知れません。
[天皇賞のメジロ]
3歳クラシックで無冠に終わったメジロブライトは、古馬G1には向かわず、河内騎手との新コンビでステイヤーズSに出走しました。
ここで2着に1.8秒もの大差を付けて圧勝すると、年明けのアメリカジョッキークラブカップも2馬身半差の完勝。
阪神大賞典で同世代のライバルで、有馬記念を制してG1ホースとなっていたシルクジャスティスとの再戦を迎えます。
直線はブライアンVSトップガンを彷彿とさせるマッチレースになりました。これ、今見てもめちゃくちゃいいレースやなあ・・・
実況杉本さん・解説大坪さん・レポーター石巻さんのフォーメーション最強ですねw
さて、こうしてメジロブライトは春の天皇賞に主役として臨むことになりました。メジロといえば、メジロアサマ-メジロティターン-メジロマックイーンの父子3代3200mの天皇賞制覇で有名で、やはり春の盾がよく似合います。
阪神大賞典はシルクジャスティスが休み明け、さらに斤量も1kg重かったということもあり、本番で再び名勝負が見られるか、と期待が高まりました。
結果は2強のマッチレースとはならず、ステイゴールド、ローゼンカバリーが割って入りましたが、メジロブライトは早めから動いて完勝。杉本清さんはゴールの瞬間「メジロ牧場に春!羊蹄山の麓に春!」という名調子で華を添えました。
シルクジャスティスは阪神大賞典で外枠で動いてしまう形になり、最後わずかに差されたことから、内でジッと溜めて最高の競馬に見えましたが、切れ味で見劣った形だったでしょうか。あるいは馬場の悪い内を通る形になったのは不本意だったのでしょうか。
[受けて立つ立場へ]
晴れてG1ホースとなったメジロブライトは宝塚記念へと駒を進めましたが、ゲートで暴れて外枠発走となり、レースでもスムーズさを欠いて11着と大敗してしまいます。
夏を越して始動戦となった京都大賞典では年下のクラシックホース・セイウンスカイに逃げ切りを許して2着。秋の天皇賞ではサイレンススズカの事故があり、4コーナーで外を回す形で5着となってしまいます。
不運もあってまた勝ち切れない日々が続いたメジロブライトは、満を持して有馬記念に出走します。
1番人気は2冠馬セイウンスカイ、引退レースとなるエアグルーヴが2番人気、その後にメジロブライトが続き、4番人気はデビューから4連勝の後、復帰後2戦は5、6着としていたグラスワンダーでした。
出遅れ気味から後方を進んだメジロブライトは、素晴らしい脚を繰り出し京都大賞典で後塵を拝したセイウンスカイ等を交わし去りますが、グラスワンダーの伸びに及ばず2着。敗れはしたものの、健在振りを示しました。
翌年は日経新春杯を快勝して、阪神大賞典、天皇賞・春と2戦続けてスペシャルウィークとの対決となりました。
阪神大賞典ではねじ伏せられるような形でスペシャルウィークに敗れ、日経賞を勝ってきたセイウンスカイとの「3強対決か」という下馬評になりました。
結果は、道中スペシャルウィークが掛かり気味に先行し、早めにセイウンスカイを射程圏に入れつつ進める展開に。直線ではメジロブライトの末脚も完封して勝利。スペシャルウィークが充実ぶりを示す内容となりました。
メジロブライトは連覇こそ逃しましたが、次々と現れる年下のライバル馬達に対して、常に力を示し続ける姿は立派でした。
いぶし銀・河内騎手とのコンビがピッタリなメジロブライトでした。
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