袖ダキ(大崩山・1643m)
(憧れの山「大崩山」へ初入山)
2013年(平成25年) 9月10日(火) 晴のち曇り (文字サイズは「中」が最適)
(アクセス) 自宅(発5:00)→竹田→三重(6:00)→林道・竜子~下祝子線→大崩山登山口(着7:15)
(行程) 大崩山登山口(発7:30)→大崩山荘(着8:10~発8:20)→湧塚尾根/三里河原分岐→
祝子川渡渉点(左岸入8:55~右岸出9:15)→最後の水場・巨岩のテ-プル(発10:15)→
尾根展望台に立ち寄る(着11:10)→袖ダキ頂上(着11:45~発13:10)→
小積谷岩屋(着14:55)→祝子川渡渉点(右岸入15:10~左岸出15:20)→
大崩山荘(着15:55)→大崩山登山口(着16:30)
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* 「大崩山登山口」 Googleマップ ←(クリック)
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10年前を最後に10数回登られている徹爺さんのリ-ドで、憧れの大崩山への第一歩を
踏むこととなった。
日毎に日が短くなって行くのを感じる今日この頃、暗い朝の5時に阿蘇を出て竹田~三重を
経て林道竜子~下祝子線に入る。
林道とは思えない国道並みの立派な舗装道路を高度を上げながら走る。
黒滝トンネルを抜け、林道が下り坂に差し掛かると前方遠くに大崩岩峰群の景観が雄大と
現れる。
眺望広場に車を止め、天を突くように白く輝く岩峰を魅入る。眼下には祝子ダムも見え、
初めて対面する大崩山に未知の魅力を覚えた。
眺望広場から峠道を下り、延岡市内から伸びてきている207号線と出合う。
祝子ダムの上流側に走り「美人の湯」を左に見て、大崩山登山口(上祝子登山口)に着く。
[林道・竜子~下祝子線の黒滝トンネルを抜けると大崩山を一望できる広場と出合う]
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▼登山口付近は駐車禁止の道路標識が立っていたので、さらに200m位「町道祝子川線」を
遡上するが駐車場らしき場所が無いので祝子川にかかる大崩橋でUタ-ンして登山口に戻
り、先着一台の車に見習い路肩に駐車した。
[大崩山登山口(上祝子登山口)に在る案内板]
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▼路肩斜面の樹林帯に取り付き、崖斜面を暫らくは登るが、その後の登路は祝子川の沢音
を聞きながら左岸沿いの山裾斜面につけられた登山道を水平移動気味で二つ位の沢を渉
り、照葉樹林帯の中を快適に歩く。
途中で祝子川を覗くロケ-ションに立ち寄り、
川床に立ち並ぶ風情のある巨岩を眺めて、登路に戻り先へと進む。
[林道路肩に駐車して雑木林の斜面に取り付く] [登路脇から眼下の祝子川を望む]
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▼登路沿いに建つ大崩山荘に立ち寄る。
山荘に入ると一人の好青年が居て雑巾がけをしていた。
国外(出身地は長崎)から来てこの山荘に三泊したとの事であった。
▼山荘を離れ、登路は段々と高度を稼ぎ厳しくなる。
崖ぶちの岩場は岩壁に付けられた麻ロ-プを掴み、足元は滑りこけそうな一枚岩盤を踏み
越えて「湧塚尾根/三里河原分岐」の道標に従い祝子川渡渉点となる河原に着く。
[大崩山荘(無人)に立ち寄る] [急斜面の岩崖を太いロ-プに掴まり岩盤を踏み進む]
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▼河原から仰ぐ景観はまさに素晴らしく、河床を彩る花崗岩と沢音響く清流、そして
原生林の奥に切り立つ岩峰には湧き上がる雲がかかり、
中国の山水画を彷彿させるような絶景であつた。
▼祝子川にかかる鉄橋(湧塚橋)は痕跡を残して流されている。
私達を追い越して行った二人組の青年は渡渉点探しで右往左往していたが
橋の痕跡より下流側を渡渉して彼らは過ぎ去った。
二人の行動を見ていた私達は、下流側より上流側がベタ-と判断して谷川に散乱する大石
を石伝いに滑り降りしながら左岸に辿り着いた。(やはり上流側の方が正解?の様であった)
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[「湧塚尾根/三里河原分岐」を左に曲がり湧塚尾根へ] [祝子川渡渉点:登山口より約1時間]
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▼河川敷から上がると踏み跡は明確に伸びていて、従来(流された橋)からの登路と合わさり
樹林帯の中を緩やかに登って行く。
登路沿いの大きな岩屋に何故か「突つ支い棒」の木が立ててある・・・。何を意味しているの
か面白い不思議さを覚える。
その後も二つ目の大きな岩屋と出合う。ガイドブックには「若狭の岩屋」なる名称の岩屋があ
るが果たしてどちらの岩屋を指すのか・・・・?
▼小積谷の原生林の中を歩く登路は、展望は無いが樹林の癒しを受けて沢沿いを何度か渡
渉しながら歩く。
沢と石の上を踏み歩く事が多いので踏み跡が無く、ケルンや目印のテ-プを注意深く見定
めないと迷い易い道であった。
[大きな岩屋・不思議な「突っ支い棒」の小枝は??] [小積谷の快適な谷道を歩く]
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▼登路足下で見る最後の小渓流には小さな滝壺をつくり、苔むした石の間から流れ落ちる沢
水と沢音。澄み切った水は透明にして渓床の花崗岩の小石を白く映している。
滝壺に流下する所の水は、薄いエメラルドのような色の佇みで
その色合いは極上の美しさを醸していた。
そんな渓美に癒しの境地をしばらく味わっていると渓魚(イワナか?もしくはエノハ=ヤマメ)
の泳ぐ姿が見え隠れした。さらに確認するとその数は5~6引きは居たようである。
泳ぐ魚体の美しさは渓流の景観と合わさって見応えがあるものであった。
[小渓流の滝壺に泳ぐ渓魚] [ズ-ムで魚体を撮る]
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▼印象に残ったこのこの渓流を離れ、二つの巨岩の隙間を通り抜けて「最後の水場」に着く。
道標には「上祝子登山口へ2550m/袖ダキへ840m/上湧塚へ2500m」と標記してある。
長方形の平たい巨石に座り、一息入れて今回のコ゜-ルとなる「袖ダキ」を目指した。
(祝子川を渡渉してここまで約1時間)
[巨岩の隙間を抜けて最後の水場へ向かう] [最後の水場 :テ-ブル状の平な巨岩の前の道標]
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▼「ここから急な登りでハシゴがある・・・・」との徹爺さんの声のとおり涸れ谷状の急こう配の
のガレ場を四つん這いで登る。
突き当たりの崖にはアルミの梯子が見える。
岩崖に吊るした梯子は安定感が無い、慎重に登り上げ、湧塚岩峰群への尾根の肩に着く。
更に、樹林帯の中の岩ゴロゴロの登山道を10分位登ると前方に立ち塞がる山のような巨岩
と色鮮やかな木肌のヒメシャラの林立ちと出合う。
登路は巨岩基部の左側を歩く事となるが、
直ぐにまた登路は2方向(直進と左方向)に分岐していた。
左に進路を取ると約3分で展望台らしき場所に至り、
小積谷から屹立する小積ダキが望まれた。
スズメバチが一匹、二匹と飛び交って来るので、直ぐに分岐に引き返して直進した。
[アルミ梯子、直下のガレ場の急勾配を登る] [連なる巨岩と色鮮やかなヒメシヤラ]
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▼急斜面の谷筋を直線気味に登って行くと、道標が在り直進は「大崩山」、左方向に「袖ダ
キ」と表示されていて、太い麻ロ-プが道標の脇まで、左上から伸びて来ている。
ロ-プを手繰り、ナメ状の花崗岩の一枚岩盤の露頭を踏み、両脇にスズタケを見て急勾配
を30m位登り詰め、地べたを歩くと一気に坊主頭のような花崗岩が私の視野全体に迫った。
▼坊主頭の岩頭に上がると「立つ位置」の左側(東)は、二つの岩頭が見え、下積谷に切れ
落ちている。
右側(西)は、谷からそそり立つ大小の岩峰を従がわせて、その奥には枝ぶりの良い五葉松
を前景にして、天を突くような湧塚岩峰群の雄姿を仰ぐ。
対岸には、小積谷からそそり立つ小積ダキの岩峰と対峙する。岩壁の下部には崩落した花
崗岩が白色を帯びた瓦礫となっているのが視えた。
▼この景観も小積谷から吹き上がる雲の気流で見え隠れする。
湧き立つ気流は小積ダキの岩肌を洗い、谷を覆い、天空の湧塚岩峰を包み、
そして消えてゆく・・・・。
そのさまの変化は、連続して繰り返され見飽きる事の無いひと時で、
まさに深山幽谷の世界を堪能した。
昼食をしながら付きまとうススメバチにも気を遣いこの絶景を楽しむこと1時間30分・・・・。
[太い麻ロ-プが2段階に張られた袖ダキへの最後の急登][袖ダキから下湧塚の岩峰を望む]
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[小積谷に切れ落ちる千尋の谷][「大崩之神」の祠」:展望台から西に上がった稜線に鎮座]
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[対岸の小積ダキを望む] [小積ダキの岩壁を洗う気流]
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[展望台から西に上がった稜線から下湧塚を望む] [袖ダキ頂上にて]
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[ツルリンドウ] [祝子川渡渉点・対岸(左岸・大崩山荘側)に渉る]
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今回の山行は、ここ止まりであるが徹爺さんのご指導にて「初めての大崩」へ第一歩を踏み
この山岳の懐の深さを身をもって知ることが出来た。
今後の「大崩詣で」への期待感が膨らみ、来たるべき「袖ダキ」以降の歩きが楽しみである。
同行をお願いした徹爺さんに感謝・感謝の御礼です。
(考察) 「ダキ」または「タキ」とは、
「宮崎の岩場ル-ト整備協議会」のHP(←クリック)では、宮崎県北部山間地域の方言で
「岩場」の意と記されている。
また、
「昭文社・山と高原地図」では「崖」
「山と渓谷社・分県登山ガイド」では「岩壁」と解されている。
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(2013/10/23日 加筆)
祖母・傾の次には大崩へ登ることが私の願望でした。
初めての山は単独行を躊躇してしまうのが私のクセです。(苦笑)
徹爺さんのおかげで今回、大崩を体験することが出来て感謝しております。
歩きながら色々説明された大崩山の概要等、私の身となり有難うございました。
今日の目標は袖ダキまでとの前提でしたので十分に満足しております。
袖ダキ以降のル-トはガイドブックを勉強して更なる挑戦をしたいと思っています。
徹爺さんが言われている「赤信号」は、徹爺さんの「山への闘魂」が勝り、直ぐに青に変わる事はおおかた間違い無いでしょう(笑)・・・。
今後とも「山への誘い」よろしくお願い致します。
その体力はもちろんのこと、経験に裏打ちされた「直感」さえも錆びついてきたことを先の筒ガ岳、そして今回の大崩でいやというほど思い知らされました。
案内するなんて思い上がりもほどほどしとけよ・・・ということでした。一昨年からの膝痛での二年間の休養が黄色い信号をとおりこして一気に赤信号になっていたことを実感させられました。ほんとうにご迷惑をおかけしました。
今後は年齢相応のトレッキング中心に切り替えて楽しみたいとおもいます・・・・がはてさてできるかなあ?。
好貴高齢 徹爺