ダメダメな母、姑でいいじゃないか
そう思ったとき、
たぶん、それを一瞬肯定したとき、
まあ、なんという後光が射したことか!!
ひどい母でいいじゃないか
冷たい母でいいじゃないか
おばあさんは、親戚づきあいが苦手。
まあ、嫌われ者なのですね。
好かれようとしたり、
挽回しようと、リベンジしようと
あれこれ考えては、やってみては、
ことごとく 失敗なのでした
今の自分を 今のわたしが受け入れないで
誰が受け入れてくれるのか
駄目でいいじゃない?
そのままでいいよ
そう、この梅干しばあさんに声をかけたのは
まぎれもなく双子の梅干しばあさんでした。
ひとりのおばあさんは、
紙の表に住んでいます。
親戚づきあい、人づきあい、社会とのつきあい、
なにもかもうまくいきません。
性格も誉められたもんじゃありません。
妬むし、卑屈になるし、意地悪なこと考えるし。
こんな梅干しばあさんに、なぜか性別違いの梅干しじいさんが寄り添っていて、
梅干し爺さんも、出世とは縁がなく、人脈にも縁がなく、
それでも、ふたり細々と暮らしています。
車を手放してから、交通事故の心配も無くなり、
公共施設を大事に使っています。
バスを自分で買うなんてできないけれど、
バスを利用し、
車を自分で買うなんてできないけれど、
タクシーを利用し、
電車、飛行機もちろん自分で買えないけれど、
どちらも利用させてもらっています。
大事に利用させてもらっています。
図書館、美術館も同じです。
自分でこんなに大量の本、高価な絵画を買うことなどできません。
道路や駅も大事に利用させてもらっています。
自分で道路や駅を買うなんてできないからです。
わたしの道路ではなけれど、わたしたちの道路だから大事にしています。
もう一人の梅干しばあさんは
紙の裏に住んでいます。
姿、形はありません。
なにも所有していないけれど、全部あるのを知っています。
なにも無いけれど、全部あるのを知っています。
紙の表の梅干しばあさんには なにがなんだかわからないところに
紙の裏の梅干しばあさんは住んでいます。