
前号で,親子での体験の共有が子供の自尊感情を高めることに触れました。
とすると,キャンプというのは,自然体験と生活体験が一度にできる点で,いわば「体験の共有」の宝庫であり,子供の自尊感情を高めるのに大変効果的な活動であると言えるのではないかと思います。
当所では,今年度初めて「家族ではじめよう!キャンプ講座」という事業を実施(同じ内容のもので4回)しました。内容は,ダッチオーブンを使った料理(ローストチキン,パン作り)です。
炭火を起こしたり,具材を切ったり,パン生地を作ったりと,大人だけでは到底できず,当然子供たちの力も必要になります。
参加したご家族の中には,未就学の小さな子供さんもいましたが,「自分にできることをやろう」と,「自分も力になりたい」と,多少おぼつかない手つきながらも一生懸命取り組んでいました。
また,つい口出しや手出しをしたい気持ちをぐっと抑え,ハラハラしながらもその様子を見守る保護者の皆さんの様子も印象的でした。
キャンプ体験といっても,今回は場や道具等の環境が整った上でのことです。
しかし,それでも本事業でのご家族の様子を見て,キャンプ体験はなるほど子供に「自分でできる」という自信を与えたり,「自分も人の役に立てる」という自己有用感をもたせたりすることができるんだなあと,そして,それを大人(親)に認めてもらうことでさらに高めていくのだなあと,改めて感じました。
過酷な(困難や不便さを伴った)自然環境の中でのキャンプとなると,それは一段と大きなものになることでしょう。
コロナ禍にあって外出自粛やステイホームを余儀なくされたことで,「お家キャンプ」に関心を持つ家庭が増えたようです。このことについては,子供のよりよい成長を促すうえで良いことだなあと思っています。
これをきっかけに野外キャンプへと発展していくことを期待しています。