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島根県立少年自然の家スタッフブログ^-^

恩師 肥後守

2021年10月09日 | スタッフの小話

恩師 肥後守(ひごのかみ)

 

 少年自然の家には普段子どもたちができない体験活動がたくさん用意されています。その中の創作活動も大きな魅力があります。創作活動は、小学校の授業で言えば図画工作の位置づけになります。具体的には、野山に自生する木や葉または紙などを使っての作品づくりが主なものです。一昔前の創作活動と大きく異なるのは、刃物を使うずに仕上げる工作が多くなったことです。その理由は、子どもたちの遊び(室内外を問わず)が大きく変化したことを挙げることがきます。ほとんどの子どもたちは、今は刃物を使ってものを作る遊びをしません。大人の側にもケガを恐れる意識が多分にあるのかもしれません。学校の先生にも、子どもには危ないものに触れさせたくないという考えをお持ちの方がおられるかもしれません。そのような事情や時代背景を考えれば、当所の活動プログラムが変わっていくのは自然な成り行きかもしれません。手指をケガせずに簡単に切り貼りしてできる工作を否定しているわけではないのですが、やや寂しい気持ちがします。

 翻って私が小さい頃は、肥後守が生活必需品(遊びの必需品)でした。折りたたみ式のこのナイフは持ち運びにも便利な代物です。そのため鉛筆を削るのはもちろん、竹や木を削って遊び道具を作るときにも欠かせません。私にとって、肥後守は刃物の魅力を教えてもらうと共に手指の器用さを養わせてもらった先生です。刃物は、ひとつ使い方を間違えれば大きなケガにつながります。そのため、子どもの頃から遊びを通して自然に集中力や注意力を磨くことができたのは大きな収穫です。失敗からも多くのことを学んだように思います。肥後守さまさまです。

 私たちは、快適な生活を送るために安心安全や便利さと引き替えに多くのものを失ったように思います。子どもたちから刃物を遠ざければ器用さが低下します。包丁や肥後守を使って野菜の皮むきや鉛筆を削ることが苦手な子どもがいます。そうした子どもを放置せずに、手をさしのべるのが大人の責任ではないでしょうか。一旦快適な生活をするとなかなか不便な生活に戻れないのはよくわかるのですが。

 最後に当所の所長の言葉を紹介します。「ここ少年自然の家は、子どもたちに多少の『避便・避快・避自由』を経験する場に適し、生きる力を育む研修施設なのです」この考えは、極度に危険を回避する風潮に一抹の不安を抱く私の思いともつながります。失敗や危険を恐れない、強く逞しい子どもたちが育つようにスタッフ一丸となって非日常の空間を提供していきたいものです。  by Mr.Young

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