Go To Nature !!  ~ 江津☆自然 ~

島根県立少年自然の家スタッフブログ^-^

割れたかわら

2021年02月07日 | スタッフの小話

 自然の家はかわらの街、江津にあります。そのため、キャンドルのつどいで使うろうそくの台はかわらを使っています。見た目がかわいいのでけっこう気に入っているのですが、出雲のある小学校が泊まりにこられたときに次のようなできごとがあったので紹介します。
 夕方、事務室で仕事をしていると、若い女性の先生に連れられて1人の男の子が事務室にやってきました。手には割れたキャンドル用のかわらが・・・。
 先生が男の子に自分で話をするように促し、そのあと待っておられます。私も同じようにしばらく待ちました。すると男の子は勇気を出して話そうとしたのですが・・はじめは小さな声で聞きとれませんでした。そこで「大丈夫だから落ち着いて大きな声で話してごらん。」と私が言うと、男の子がキャンドルの準備中に足下に置いてあったかわらに気づかずに踏んで壊してしまったことを少し涙目になりながらもきちんと話をしてくれました。
「泣かなくてもいいよ。わざと壊したわけじゃないんじゃろ?けがはなかった?」と聞くとますます涙がでてしまいましたが、そのあと「すみませんでした。」ときちんと自分であやまることもできました。
 そのようすを先生が後ろから静かに、あたたかく見守ってくれています。
 「大丈夫。起こったことをきちんと話し、謝ることのできた君は立派だよ。ごまかしたりしたわけでなく、自分できちんと言いに来ることができたんだから。もう泣かないでいいから気持ちを切り替えてキャンドルのつどいを楽しみんさい。」と言ってその男の子を送り出しました。
 先生は、一言だけ「ありがとうございました。」と言ってその男の子と帰って行かれたのですが、私はその2人の後ろ姿をすがすがしい、あたたかい気持ちで見送りました。
 なぜそんな気持ちになれたのかと言うと、理由は2つあります。
 1つは、男の子の素直な気持ちにふれることができたからです。最近は起きたことを最後までごまかし続け、認めることも素直に謝ることもできない大人を目にすることが多かったので余計にうれしかったのです。今回のことが1つのきっかけになり、彼がおとなになってもこの素直な気持ちを大切にしながら「自分できちんと後始末のできるおとな」になってほしいなと思います。
 2つめは若い女性の先生が「待つ姿勢を大切にしてくれたこと」がうれしかったのです。子どもが壊したのに代わりに先生だけが事務室に謝りに来られるというケースがあります。しかし、今回のように子どもは自分の力で謝ることができます。普段の学校生活ではできなくてもここではできた・・なんていうこともあると思います。自然の家で勤務をしていると「子どもができることを大人がとってしまっているのではないか?」というケースを目にすることがあり、「もったいない」と思うことがあります。今回、事前に先生と打合せ等をしたわけではありません。しかし、待っている先生の様子から「何を大切にしたいと思っておられるのか」がわかりました。この先生の思い、そしてがんばろうとしている男の子の勇気を大切にしたいと思い、私も待つことができました。先生と同じ気持ちで子どものことを考え、そして子どもの成長を一緒に喜べること・・・これはこの施設で私がやりがいを感じられる瞬間でもあります。
 自然の家での出会いは「一期一会」です。今回、思い出に残るすてきな出会いがあったので紹介させてもらいました。すてきな出会いをありがとうございました!

                                               いわし

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