公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

くもんの高進度

2009-06-25 | 読者からのコメント・おたより
幼児からの学習、進度上位ということに熱心なお教室のブログを見て、
感想を聞かせて欲しいというコメントがありました。

人それぞれですから、何を是とするかは
批評とか、批判とかする気はありません。
ただ、私の考え方とは違うようですね、ということだけです。

昔、私が公文教室をやっていた頃、
やはり幼児教育、小学生で最終教材云々のすばらしさを局員に言われ
高進度生を輩出するようにと薦められたことがありました。
私も、幼児期の親の対応ということはとても大切だと思っておりますので
現在もうちの教室では幼児入会は親同伴です、それはさておき。

高進度ということについて、ですが、
私はその際、
「では、幼児期あるいは小学生で全国で上位になっていた人たちの
その後のことを教えてほしい」と頼みました。
「どんな大人になっているのか知りたい」と。
結果・・・・・「プライバシーの侵害になる」
     「追跡調査は行われていない」・・・・・ふーん・・・・


うちの教室には、親が公文での学習経験があるという家庭がいくつかあります。
ある父親は
《小学校四年生頃までくもんをやっていて、中学生の内容がやれていた》そうです。
現在、外科医として病院にお勤めです。
で、お子さんにも三歳の頃から学習を、ということで
当時公文教室だったうちの教室へ入会されました。
お母様も熱心に対応してくださり、順調に学習は進みましたが・・・・・
あるとき、「離婚するので」というお話。
「賭け事で、家計費を渡してもらえない、女性関係でゴタゴタ続き、
何か言うと暴力を揮う・・・・」思いもよらないことでした。
一年近い別居、調停等を繰り返して
その間、母親は子ども達とアパート暮らしをして働きに出ていました。
学資が続かないので、その間教室はお休みしていました。
結局、調停などが功を奏し、離婚ということにはならずにすみ、別居解消で
現在は母親も専業主婦に戻って明るいお顔をしています。
公文教室でなくても、と、うちの教室で子ども達は学習再開です。

で、最近、
「主人が、自分が子どもの頃はもっと何時間もプリントをやっていた。
宿題をもっと貰ってきたらどうだ、って言うんです」とのこと。
二年生の子どもには、二教科で30分で終る程度のプリントを渡しています。
既に四年生内容を終ろうとしている子ですけれど。
「時間があるときには、俺が見てやってもいい、って・・・・」
「おや、父親としての責任に目覚めたのかな、素晴らしいですね、でも。
もしご主人にお時間があるのでしたら、キャッチボールの相手でも、サイクリングでも、虫取りでも、
そういうことにお付き合いいただいたほうがいいと思います、どうですか?」と提案。
「ああ、そうですね、そう言ってみます、プリントは今のペースで充分ですものね」
「ええ、私はそう思いますよ」
ご主人はそれで納得されたとのことでした。


幼児期、小学生の頃に大量のプリントを頑張れるというのは
素晴らしいことだと思います。
お勉強ができるということは、《いいこと》です、
頑張れるということは、とっても大事な資質だと思います。
うちの教室でも、現在も、
そういう力を身につけさせようと日々努力をしています。
だけど、それだけでは・・・・・

「旅行に行くので・・・・」
「水族館へ家族で出かけるので・・・・」
そんな時には
「じゃあ、宿題は無しにしようね、めいっぱい遊んでおいで」というと
子ども達も、親も、みんなニッコリします。
うちの教室はそういう教室です。


幼児期から大量のプリントをやり、作業能力も高くなり考える力も付いて
社会人として、親として充実した人生を送る糧になったと言われる、
元高進度生もたくさんいらっしゃるのであろうと思います。
小さい頃にそういうことをさせてくれた親に感謝しているという方々も
きっと大勢いらっしゃるのでしょうね。
であれば、
これからもわが子をそうして育てようと、幼児入会は増えていくことでしょう。
よろしいのではないでしょうか?

ただ、私は、
家庭でのプリント学習は、幼児期・小学校低学年なら20~30分程度で充分とおもっています。
で、そのためのサポートが必要という方に、ご入会いただいています。
親の競争心などあおってはろくなことにならないと思っているので
教室だよりにも子どもの進度などは一切載せません。
でも、子ども達は
「小学校のうちに中学内容に進めれば、きれいなキーホルダーもらえるんだね」と
一応の目標は持っています。
学力貯金は必要と考えているので、その程度のニンジンは用意しています、
でも、その程度です、それで充分。

というのが、私の、
既に社会人でそれぞれの家庭を営んでいる子どもを持つ母親としての
またたくさんの子ども達やその家族と5年~10年付き合ってきた《先生》としての
教育・学習ということの考え方です。










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