くもん教室の頃でしたから、もう20年以上前のことになります。
癲癇の発作が起きることがある、という生徒が在籍していたことがあります。
学習障害もあり、保護者の方は
「学校の授業についていく事は期待していないが、読み書き計算位はできるようにしあげたい」とのご要望でした。
癲癇という病気があることは知っていましたし、オトナが倒れたのを見たことが一度だけあります。
でも、意識障害を起こすということぐらいしか知らなかったので、あれこれ調べました。
脳は微細な電気によってデータをやり取りしている、癲癇というのはそれがショートするに近い、
現代では種々の薬が開発・提供されており発作を抑えることができるようになってきていると
いうようなことがわかりました。
うちの教室では幼児や、何かしらの問題を抱えている子は基本的に同伴学習でお願いしています。
教室での学習のさせ方を保護者の方にも覚えてもらいご家庭でも実践してほしいからです。
その為、この癲癇の子の保護者ともお話しする機会が多く
年齢や適応症状にあわせて薬は変えていく必要があるなどということを教えてもらいました。
で、ある日のこと。
前回の教室学習をお休みしていたので一週間ぶりに顔を合わせたのですが
前回の時にはほとんどできるようになっていた一桁の足し算が「+3ぐらいがやっと」になっていました。
どうしたの?と訊けば「先日発作を起こした」とのことでした。
「アタマの中のショートってこういうことか」と実例を目の当たりにした思いでした。
教えても覚えても、発作が起これば記憶から飛んでしまうというのでは親の方もやる気が萎えます。
でも、一度覚えたことだから思い出せるかもしれないし、覚えなおすのは時間が短くて済む、と
励ましあって、1+1 から再開しました。
2年ほどの在籍期間に、2桁+2桁の計算まではできるようになっていましたが
その後ちょっと遠い特殊学校に行くことになったので、その後の事はわかりません。
癲癇の発作といっても、ちょっとぼんやりする程度のことから手足の痙攣その他の激しい症状の出る場合まで、
同じ人でも様々です。
あの頃から比べれば医薬の面ではかなりの進歩があったようで
現在では癲癇の発作を見かけることはほとんどないのでは、と思っています。
それでも罹患しているコドモはいないと言えません。
なにかで、最近やったことを忘れていると気づいた時には、大きく戻して再開することをお勧めします。