おっと、ここで書きたかったのは具体的な指導方法だった、ということで
どんなふうに計算を教えたか、の実例を挙げなければなりませんね。
前述のM君の場合は、何しろ声に出すということからでしたから「数唱」にも苦労があったわけです。
「イチ」「ニ」「サン」「シ」
プリントの○の数を声に出して言う練習や、おはじきを並べて「いくつ?」と尋ねて答えさせる練習を
ずいぶんしました。8歳にはなっていましたが幼児指導と同じです。
おはじきを2つ置き、「ニ」と答えさせた後、もう一つ追加して初めから数えさせて「サン」。
そうそう、よくできたね。
幼児入会の場合「10までは数えられる」と言われる保護者がいます。
確かに数唱はできるのですが、実際の数量との対応ができていない事もよくあります。
M君には「まず数唱」なんていうことはやっていられなかったので
時にマーブルチョコレート、あるいはチロルチョコなどを並べて
右に2個、左に3個を数えさせ、次には一緒に並べて端から数えさせるというようなことも
しばしばやりました。
学習遅滞があるとはいえ、ある部分では3歳児よりも育っているところもあるわけで
いったんやり方がわかってくると100までの数字盤もじきにやれるようになりました。
発音しにくい数字があっても、足し算カードも3歳児よりは進みは速かったものです。
繰り上がりのある計算では
公文式では25+7= などの練習をしてから筆算に入りますが、それよりも縦書きの筆算を優先しました。
繰り上がる数字に○をつけ、○のついている字は一つ多い数として考えるというやり方です。
75+7= であれば 5+7の時点で⑦5として、答えは 縦に並べて82と書けばよいということです。
小学校では小さく10と書かせたりする手法をとるようですが
公文式だと極力そうしたチョイ書きはさせずに練習回数を増やして覚えさせますよね。
でも視力もあまりよくないM君に細かいチョイ書きはそもそも無理ですし
かといって何もマークをつけずに、短期記憶の強化を進めるというのも時間ばかりかかりそうなので
繰り上がりには〇、繰り下がりには/で教えました。
これは発達遅滞があるとかないとかにかかわらず、何歳のどの子にも有効なので
うちの教室ではずっとこのやり方です。
一口に発達遅滞あるいはADHD、LD、と言われても、できる事とできない事の個人差は様々で
また当人の関心の度合いにも大きく左右されます。
一年生での入会だったK君はひらがなの読み書きはもちろん数字にも興味ゼロ。
あてっこ遊びで「できたらご褒美」のやり方で一桁の足し算を覚えさせました。