毎日コーヒーを3杯飲む人は長生きするという調査結果(英・米研究)
英語には「一日にリンゴ1個で医者要らず」ということわざがあるが、「一日に3杯のコーヒーを飲む人は長生きする」かもしれないという研究結果が報告された。
以前からコーヒーによる健康効果は報告されていたが、ヨーロッパとアメリカでお互いに独立して行われていた新たなる研究で、一日に3杯のコーヒーを消費することが早死のリスクを下げるという結果が出たのだ。【
2本の論文が同時に『Annals of Internal Medicine』誌に掲載された。肝疾患、循環器の問題、消化器関連の疾患におけるリスクの低下とコーヒーの関係についての発見について記されている。
科学者たちの考えでは、この効果はカフェインではなく、コーヒーに含まれる抗酸化化合物によるものだ。カフェインレスコーヒーを飲む人々も同じ恩恵に与っていた。
肝臓の機能を高め、炎症を抑え、免疫システムを増強する効能が、コーヒーにはあるようだ。
ヨーロッパの調査結果
ヨーロッパでの研究は、インペリアル・カレッジ・ロンドンと国際ガン研究機関(IARC)によって行われた。年齢35歳以上の人52万人を、10カ国において平均16年間にわたり追跡したものである。
調査結果は、一日3杯のコーヒーを飲む男性は、全く飲まない男性と比較して、(調査期間中に)死亡する割合が18%低い、3杯コーヒーを飲む女性の場合は、同じく8%低かったという。
【アメリカの調査結果】
アメリカでの研究は、南カリフォルニア大学が18万6千人を調査したものだ。先住民、日系人、ラテン系など、白人以外も調査の対象に含まれているのが、過去の研究と異なる点だ。ヨーロッパでの研究と同じく調査対象者を16年間追跡し、同じような結果を得た。
一日1杯コーヒーを飲むアメリカ人は、飲まない人より、12%死亡率が低かった。また、2~4杯飲む人の死亡率は、18%低かったのだ。これは、白人中心であった過去の調査結果とも矛盾しない。
【研究者の見解】
「我々は、コーヒーの消費量の高さと、あらゆる要因による死、特に循環器疾患と消化器疾患による死のリスクの低さが関係していることを発見しました」と、ヨーロッパの研究チームのリーダー、IARCのマーク・ガンター博士。「重要なのは、この結果がヨーロッパの10カ国で似通っていたことです。それぞれの国ごとに、コーヒーの飲み方についての習慣は多様なのですから」
また、コーヒーを飲む人は総じて、飲まない人より健康な肝臓を持ち、より良いグルコースの制御ができていることが判明した。
コーヒーには、カフェインをはじめ、ジテルペン、抗酸化物質など、身体に影響を与える化合物がいくつも含まれている。これらのいくつかが、身体を守る影響を与えているのだろうと科学者たちは考えている。具体的にどの物質の効果であるかはまだ判明していないが、ガンター博士はさらに研究を深めるつもりがあるとのことだ。
アメリカの研究チームのリーダー、南カリフォルニア大学ケック医学校のヴェロニカ・セティアワン博士はこういう。「コーヒーには、ガンの予防に重要な役割を果たす、抗酸化物質とフェノール類がたくさん含まれています」
【ただし過剰な期待は禁物?】
しかし、研究者たちはまだ、人々にコーヒーをもっと飲め、あるいは飲むなと勧める段階には到達していないという。
この研究結果が示すのは、「ほとんどの人にとって、一日3杯程度までの、コーヒーの適度な消費は長期的には有害ではない」「食生活にコーヒーを加えることは健康にもいいかもしれない」ということだけなのだ。
今回の調査が行われた欧米のように、コーヒーを飲むことが当たり前の地域では「コーヒーを飲まない人は、元々健康に問題があるのでコーヒーを避けている」ということも考えられる。因果が逆の可能性もあるのだ。
また、喫煙は寿命を縮めるが、喫煙者同士で比較した場合には、コーヒーを飲む人の方が長生きしている。しかし、だからといって「コーヒーを飲めば喫煙の悪影響が打ち消される」といったことはない。
【コーヒー知識】
世界中で22億5千万杯、イギリスでは5千5百万杯のコーヒーが毎日飲まれている
コーヒーの利用の歴史は、11世紀のエチオピアに遡ると考えられている。コーヒーの実を食べた後に山羊が活発になることに山羊飼いが気づいたのだとか。
現在、カフェインは世界中で最も普及しているドラッグであり、人類の90%が毎日使っている。
カフェインは中枢神経系を刺激し、疲労度を下げ、覚醒度を高める。
コーヒーは子宮ガン、肝臓ガンから身体を守り、パーキンソン病、多発性硬化症、心臓病、2型糖尿病、アルツハイマー病のリスクを下げるといわれている。
しかし、一日に0.4グラム以上のカフェイン摂取は、不安症、不眠、不整脈と関連する。
via: Daily Mail / CNN など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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