急増!カフェイン中毒 相次ぐ救急搬送 いま何が
今、カフェインの摂取が原因で救急搬送される若者が急増している。日本中毒学会の調べでは、5年間で101人が病院に運ばれ、うち3人が死亡していた。平均年齢は25歳で、95%がカフェイン入りの錠剤を大量に口にしたことだった。若者の間で何が起きているのか?中毒になった若者を取材すると、カフェインが安易に手に入る環境の中、その危険性を知らずに依存し、知らぬ間に中毒になっていく実態が浮かび上がった。一方、エナジードリンクに代表されるカフェインを含んだ飲料は、若者に大人気の成長市場でもある。カフェインの大量摂取をどうしたら防げるのか考える。
カフェインで集中力アップ エナジードリンク人気
自動販売機やコンビニに、次々に新商品が並ぶエナジードリンク。おしゃれなイメージに加え、中に入っているカフェインで眠気を防ぎ、元気になれると大人気です。なんと、エナジードリンクをこよなく愛する大学生たちのサークルまで登場。飲み比べてみたり、ほかの飲み物と混ぜて、おいしい飲み方を研究したりしているんだそうです。
大学生 「受験会場で缶のごみ箱を見たら、エナジードリンクばっかりだった。怪しげな力みたいな。魔力みたいな。」
市場の拡大に期待して、エナジードリンクの販売に乗り出す企業も。去年(2016年)の売り上げは、505億円。飲料全体から見ると、まだ僅かですが、2年間で15%増の右肩上がり。この企業では、飲食店向けにエナジードリンクを使った新たなメニューを提案。クランベリージュースで割ったカラフルなドリンクでインスタ映えを狙います。
エナジードリンク販売会社 「市場を大きく変えていける暴れ方ができるところじゃないか。」
さらに、エナジードリンクだけではありません。カフェインを効果的に摂取出来る錠剤が、薬局やネットで簡単に手に入るといいます。
錠剤の愛用者 「睡眠時間がちょっと足りない感じが毎朝して。必需品かもしれません。」
コーヒーやお茶でもなじみが深いカフェイン。一体何が起きているのでしょうか。
私たちの周りには、カフェインが入った、さまざまな商品があふれています。コーヒーにお茶、そして眠気防止の錠剤、栄養ドリンク、そして、特に成長が著しいのがエナジードリンクです。一般的にはカフェインを多く含む飲料を指します。私たちが確認しただけでも、日本で40種類以上が売られています。多いものでは、1缶でカフェイン160ミリグラムと、コーヒーおよそ2杯分の分量が入っているんです。
真中さんは、今も派遣の仕事を複数掛け持ちしています。この日は、チラシ配り。ふんばりが必要になると、ついもう1本飲み干してしまいます。
真中玲さん(仮名・28) 「そんなに疲れなくなります、これを飲むと。歩いても歩いても。まだいけるなって感じがします。」
夜も真中さんの仕事は終わりません。ビルのメンテナンスに向かいます。仕事は深夜にまで及びます。疲れが抜けないと、翌朝また飲んでしまうといいます。
真中玲さん(仮名・28) 「やめたいって思うんですけど、できないことができるようになるような、そんな薬じゃないけど、そんな感じがする。」
エナジードリンクに入っているカフェイン。脳の神経細胞を刺激し、眠気を防いだり、集中力を高めたりする効果があるとされています。その一方、依存性があり、短時間に過剰に摂取すると重大な健康被害をもたらすことがあります。
ドリンクから“錠剤”へ “カフェイン中毒”の実態
より強い効果を求めてカフェインを大量摂取し、病院に搬送された人がいます。大学生の片瀬望さん、20歳です。摂取したのは、市販のカフェイン入りの錠剤。1粒に、エナジードリンクおよそ2本分のカフェインが入っています。もともとは、エナジードリンクのヘビーユーザーだったという片瀬さん。大学受験の勉強中、眠気が取れ、集中できたといいます。しかし…。
片瀬望さん(仮名・20) 「エナジードリンクは、だんだん効かなくなってきている感じはしていました。」
そんなとき先輩に勧められたのが、カフェインの成分を錠剤に固めた薬でした。インターネット上にさまざまな種類が出回っていて、しかも海外製は安く入手できました。パッケージには3、4時間空けて1日3錠までと服用の限度が記されていましたが、英語で、しかも小さかったため、片瀬さんは気付かなかったといいます。