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意地悪ニッポン “炎上”主犯は「高収入だけど満たされないオジサン」

2016-04-14 09:32:41 | ブログ
意地悪ニッポン “炎上”主犯は「高収入だけど満たされないオジサン」

「皆様に、ご不快な思いを感じさせる表現がありましたことを、深くお詫び申し上げます」

 3月末にオンエアされたばかりの日清カップヌードルのCMが、4月7日、急きょ放送中止に追い込まれた。タレントの矢口真里(33)が、不倫騒動以来初めて出演したと話題になったCMだが、視聴者から批判含みの“意見”が多数寄せられた末の決断だという。

 同CMは、ビートたけしが学長を務める架空の大学「OBAKA‘s大学」を舞台に、教授役として歌手の小林幸子、動物研究家の「ムツゴロウ」こと畑正憲、作曲家の新垣隆、そして矢口が出演。矢口はCM内で教壇に立ち「二兎追うものは、一兎をも得ず」と熱弁をふるう。それに対して生徒が「これ、実体験だよね?」と囁き合うという、不倫騒動をネタにした内容だ。

「非寛容的な意見が集まる世の中だが、勇気を持って挑戦することの大切さを若い世代に伝えたかった。挑戦を称賛するには、失敗を許容する態度を持つことも必要だというメッセージを込めた」(日清食品広報)

 だが、世間はこのCMを“許容”してくれなかった。メッセージは非寛容な批判で即座に押しつぶされた。

 4月1日には、映画情報を提供する「映画.com」が特設ページ上で、経歴詐称で表舞台から姿を消したショーンKをエープリルフールネタにしたことで炎上。「不愉快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございません」と公式に謝罪するとともに、ページを削除した。 少しでも気に入らないと、とにかく批判をぶつけ、謝罪と撤回を求める──。攻撃の連鎖を呼ぶ「炎上」は、ネット上にあふれかえる。炎上の火の子をかぶるのは著名人だけではない。

 都内在住の小林貴子さん(35)。2人の子どもを持つワーキングマザーだ。2月に注目を集めた匿名投稿「保育園落ちた日本死ね!!!」から始まった、待機児童問題に関する議論の中で、何気なく発した「安倍さんも頑張ってるのに、ここまで叩かれて可哀そう」というツイートがきっかけで、袋叩きにされた。

「こんな母親がいるからダメなんだ」と、ものの15分で100件を超える批判コメントが殺到。

「“バカ母親死ね”という言葉とともに、ツイートがどんどん拡散され、半日過ぎても収まらない。行き場のない怒りと恐怖で、アカウントごと削除しました」

 こうした炎上に参加するのは一体どんな人なのか。興味深いリポートがある。「高収入の男性ほど、炎上に参加する確率が高い」「ネット上で嫌な思いをしたことのある人ほど、炎上に参加しがち」など、その内容は意外性に富む。

 分析をした国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一助教は話す。

「約2万人を対象に行った調査の中で、炎上に参加したことがあると答えた人は1.1%。多くの人が参加しているように見える炎上は、ごく一部の人によって引き起こされていた。つまり、ネット上で罵声の嵐に見舞われても、過剰に反応する必要はないのです」 それでもマイナスイメージの拡散を恐れる企業や組織は過剰に反応する。NHKは3月、開設を予定していた「徴収」をもじった「受信料長州力」なる特設サイトを、「バカにしている」などと非難され、予告からわずか4日で中止。不動産会社の「センチュリー21」は1月、加盟店の社員が有名人の来店をツイートして炎上したことで謝罪したものの、「公式謝罪は、(来店が)本当だと証明したようなもの」と指摘され、さらに事態は火だるまに。

 リアルな社会でも、暴言は後を絶たない。

 おおさか維新の会の足立康史議員(50)は7日の衆院総務委員会で、民進党の安全保障関連法の対応をめぐり、「こんな政党は国会の恥だ。あほ、ばか、どうしようもない政党」などと連発。滋賀県の吉田清一県議(68・自民会派)が甲子園に出場する滋賀学園の選手らに対し、学校の送迎バスの止め方を非難して、「おまえらなんか1回戦負けしろ!」と罵ったのも、記憶に新しい。

 こうした状況について、メディアコンサルタントの境治さんは、「バランス感覚のない人が増えている。一つの組織内にとどまって、閉鎖的なコミュニティーの中で過ごしている人ほど、そうした感覚が弱くなる」と分析する。「相手の気持ちを想像して意見を発するという大前提を忘れてしまうのでしょう」

 なぜここまで、ネットもリアルも、イライラを募らせ、相手を容赦なく追いつめる空気が蔓延するのか。福島瑞穂参院議員と『「意地悪」化する日本』を著した思想家の内田樹さんは、「他人が何かを失うことが自分の得点にカウントされるという発想が、意地悪化の根底にある」と話す。「社会が豊かであるほど、意地悪な人が指導力を発揮し、優劣を競う構造になる。炎上させたがる“ネトウヨ”も9割以上が“満たされないオッサン”では。“昔はこうじゃなかった”と嘆くのは、そのころの日本が貧しかったからですよ」

 高度経済成長とともに、成果主義が加速し、優劣や格付けが偏重されていった。

「こうなると、互いの知的向上を妨害し合い、やる気をなくし合う方向に向かっていくほかない」(内田さん)

 そして経済成長が止まり、豊かさの幻想は消え、産業の国際競争力が低下する「後退局面」を迎えた。

「日本は、かつてない危機的状況にあると思います。だからこそ、先行きが見えない若者を中心に、“良い人化”が進んでいる。若者の田園回帰が見られるのも、その傾向の一つでは」と内田さんは行く末を見る。

「貧しくなると互いに助け合う相互支援的な関係が必要であるため、良い人化せざるを得ない。貧しさに起因することなので、必ずしも良いことだとは言えませんが、そうした局面にきていることは明らかです」

“意地悪ニッポン”はどこへ向かうのか。

「時代の空気を逆手に取り、激動期を生きる楽しさも見いだせるはずです」と内田さんは話す。発言しづらいからこそ、覚悟を決めて発した一言の価値は上がり、発信力は高まる。

 取り下げが決まった日清のCMで、ビートたけしはこう“放言”する。

「“おりこうさん”じゃ、時代なんか変えられねぇよ。諸君たち、“バカ”やろう!」

 正義を“伝家の宝刀”のごとく振りかざし、舞台から引きずり下ろそうとするのは、1.1%たちだ。その比にならない数の人が共感したはずだと信じたい。

※週刊朝日 2016年4月22日引用

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