北岸にて 〜 シドニーの北郊・ノースショアから想う日本のこと、世界のこと。

〜シドニーの北郊・ノースショアから想う日本のこと、世界のこと。

English Breakfast Tea

2020-10-10 11:41:53 | 日々のこと
右手に缶コーラ、左手には白いサンダル~♪で始まるのは、1982年の「渚のバルコニー」という曲で、松田聖子さんの中でも好きな曲の一つです。

子供の頃はコーラとかスプライトなどが大好きでした。家には置いてありませんでしたが、隣町に住む祖父母が当時小さなビジネスホテルを経営していまして、調理場には大きな冷蔵庫が置いてあり、そこにいつもそういった売り物のジュース類が入っていた訳です。そして家のルールで、おじいちゃんおばあちゃんの家に行った時は、コーラを飲んでいいということになっていました。祖父母も孫がコーラを夢中になって飲むのを、目を細めて見てくれていたように記憶しています。当時はガラスの瓶に入っていて、栓抜きで蓋を開けると炭酸の蒸気が煙のように瓶の口から立ち昇ります。もう魔法の水のような魅力がありました、懐かしいですね。

大学生の頃になるとこういう炭酸飲料がペットボトルで売られるようになりましたが、その時期と前後してソフトドリンクがあまり美味しく感じなくなったように思います。大人になると味覚が少し変化するのでしょう。そして30代も半ばにもなると、糖分を控えたいというのもあってソフトドリンクはまったく飲まなくなりました。ある日同僚3人でランチに出かけた時に、自分の注文だけが漏れていて、ウェイターが「すみまんでした、これサービスです」といって料理と一緒に缶のスプライトを持ってきてくれたことがありました。それで数年ぶりにそのスプライトを飲んでみて、昔はなぜこれを美味いと感じていたのかなーと不思議にさえ思ったことを覚えています。

抗がん剤を使い始めてからも、このような味覚の変化がありましたが、一番困ったのはコーヒーが飲めなくなったことです。コーヒーをおいしく感じないのですね。そして飲んだ後で胃がむかむかしてしまいます。美味しさを味わえないのも困りますが、自分の場合カフェで仕事をしたり本を読んだりして過ごすことが多いので、カフェで何をオーダーしたらいいか途方に暮れました。いろいろ試したのですが、ストレートに入れた紅茶や抹茶ラテなどは飲めることが分かりました。こちらでは紅茶はEnglish Breakfast Teaと呼ばれ、ティーポットに入って出てきます。コーヒーより値段は若干高めですが、カップに2-3杯は飲めるので、長居するには都合が良いというのはあります。クールジャパンの影響か、カフェによっては和風の急須に入れてサーブしてくれるところもあります。しかし世の中には、なってみないと分からないことが沢山ありますね。




オーストラリア料理

2020-10-03 11:03:04 | 日々のこと
抗がん剤を使用していると、食欲が落ちるという話は以前しました。

自分も10キロほど体重が落ちてしまい、体重をどう増やすか工夫していますが、こういう時は日本食が恋しくなります。こちらに来た当初は若かったこともあるのでしょう、フィッシュ・アンド・チップスだとかローストビーフだとかを喜んで食べてたんですね。今考えるとオーストラリアの白い砂浜で青空の下、伝統的なオーストラリア料理を食べている、というような雰囲気も手伝っていたのでしょう。ただ15年近くもやっているとさすがに単純な味に飽きてきたということなのでしょうね。今何が食べたいかと言われたら、タコの酢の物だとかさんまの塩焼き、手作りの豆腐で作った冷奴などですね。こちらでは甘いものはいくらでもありますが、しょっぱい味付けというのはまずありません。最近はシドニーでも、日本食レストランで寿司やラーメン(一風堂)、弁当(bento boxと呼ばれています)はかなりレベルの高いものを食べれるようになりましたので、その辺りがまだ救いです。

もともとオーストラリア料理というのは、イギリス系の移民が持ち込んだ料理が基本です。そしてこのイギリス料理というのは他国からはあまり評判が良くないのは有名です。一説によればイギリスが世界の多くの国を植民地にできたのは、他国のほうが天候が良く、食事もおいしかったので、喜んで海外にでていけたからだという人もいるくらいです。最近、海外ドラマでアガサ・クリスティーの名探偵ポワロ(デイビッド・スーシェ主演)のシリーズを観ているのですが、ベルギー人のポワロもドラマ中で「イギリス料理はまずい」と言ってイギリス人の友人のヘイスティングスを困らせていました。実際、シドニーのフードコートに行くとマクドナルドやサブウェイ以外では、日本食やタイ料理、マレーシアンなどほとんどアジア系が占めていますね。