ごめり語。

ごめり・りんご・「   」

幽霊の正体見たり枯れ尾花

2011年04月02日 | 音楽
THE BLUE HEARTSのシングルふたつです。「ブルーハーツのテーマ」と「旅人/台風」。どちらも貴重品だと思います。「ブルーハーツのテーマ」の方には、カップリングで「チェルノブイリ」が入っています。若い方は知らないと思うので説明します。記事の情報源はウィキペディアです。

当時(1988年)、ブルーハーツが所属していたレコード会社の親会社が、原子力発電の事業を展開している三菱電機であったために今作に収録されている「チェルノブイリ」の発売許可がおりず、所属事務所の自主レーベルから発売されることになった。

同じようなことが、以前紹介(「サマータイムブルース」)したRCサクセションでもありました。

1988年、反戦・反核をテーマにしたカバーアルバム「COVERS(カバーズ)」とシングル「ラブ・ミー・テンダー」を制作するも、発売元の 東芝EMIの親会社・東芝が原子力関連企業でもあったため、歌詞が問題視され急遽発売中止になる。東芝EMIは全国紙 (毎日新聞、朝日新聞、読売新聞) で「素晴らしすぎて発売できません」との広告を打つ。

チェルノブイリの事故って、我々の年代の原発認識の原点でした。そして、ブルーハーツやRCサクセションの言葉よりむしろ、大企業が、たかがロックの音楽を封じ込めようとしたことにこそ、その恐ろしさを垣間見ました。それは今でも思います。原発そのものより、<企業の論理>の方が恐い。そういう現状は昔も今も変わっていないどころか、むしろひどくなってさえいます。自主規制。言葉狩りならまだいいのです。おばけの正体がわかります。でも、自主規制では、おばけの正体がわかりません。オバケのQ太郎。絶版が残念。詳しくは安藤健二さんの「封印作品の謎2」をどうぞ。原発とは関係ないけど・・・。

ドイツでは、今回の日本の原発事故を受けて、即座に一部の原発の稼働を止めました。そして今、25万人規模のデモが起きているといいます。例えば、ヨーロッパ圏の一般的な市民レベルの考え方だと、今でも原発が稼働している日本の状況は、「クレイジー」っていう感じなのでしょうか。どうなのでしょう。北朝鮮を笑えないような気もします。少なくともドイツは、戦後の痛みを忘れていない、ということなのでしょうか。日本は、広島と長崎の痛みを忘れてしまった、ということなのでしょうか。単なる国民気質の違いなのでしょうか。わかりません。私にはわかりません。

今の電力会社のエゴってのは、あまりにも節電されてしまうと、売り上げが減ってしまい、困るってことだと思います。そういう<企業の論理>がミエミエですよね。蓄電が難しい以上、せめて発電した分だけは、消費して欲しいというエゴ。それが計画停電という名のエゴのエコ。だから、先ずは、それについて「No」と言いたいです。徹底的に節電したい気分です。徹底的に浪費したい気分です。いずれ、税金を投入することになるでしょう。先ずは被災地のことを考えるのが最優先です。仕方がありません。でも、複雑な気持ちです。悔しいです。

手元に山川健一さんの「セイヴ・ミー(ぼく達の未来)」という本があります。「敦賀の原子力発電所をめぐる旅」という文章が収められています。1990年の本です。原発のことがたくさん書いてあります。福島第2原発のことも少し書いてあります。たったひとりで取材に行く、というスタンスが素晴らしいと思います。対して、私は何もしていませんでした。「ごめり語。」に少しだって原発のことを書いたことがありますでしょうか。偉そうなことは何も言えません。何をいまさらということばかりです。でも、キヨシローやヒロト&マーシー、山川さんやランディさんは違いました。こだわり続けていました。それが凄い。

♪ 旅人よ計画通りにいかないことがたくさんある
  プルトニウムの風に吹かれてゆこう ♪

「旅人」作詞・作曲 甲本ヒロト

今回改めて驚いたのは、「台風」の方でした。おそらくこのシングルは、いわゆる両A面シングルだと思うのですが、

♪ 台風が来る ものすごいやつ
  台風が来る 記録破りだ
  泥棒よりも速い逃げ足
  強盗よりも強引なやつ

  情報やデマが飛び交う
  声のでかい奴が笑う ♪

「台風」作詞・作曲 真島昌利

<台風>を<津波>に置き換えてみて下さい。つまり、この2曲はセットなのですね。偶然であり、確信的であり、いずれにせよ、凄いとしか言いようがありません。末恐ろしい。ヒロト&マーシーのスタンスはこの20年変わっていないと思います。具体的ではなくなりました。わかりやすくなくなりました。でも、より本質的になってきているのです。例えば「俺軍、暁の出撃」。<ひとりでもやる、ひとりでもやめる>by小田実。そんな感じだと思うのです。たぶん。


↑これも貴重品だと思います。たぶん。

THE BLUE HEARTSのラストアルバムは「PAN」ですが、実質的なラストアルバムは「STICK OUT」と「DUG OUT」という2枚のアルバムだと思います。この2枚はセットです。「旅人」「台風」と同じようにセットです。このCDケースはそれを証明しているような気がします。

コメント    この記事についてブログを書く
« エイプリルフール | トップ | ごめりのひとりごと »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事