戸田進一議員と佐伯美保議員のお二人が、学校問題に加えて、「地域分別収集会場での自治会未加入者の資源ごみ投入拒否事件」を一般質問で取り上げました。初めて福津市のゴミ問題のブログを読まれる方は、福津市執行部の答弁が、まともに思われるかもしれません。しかし、おかしな答弁であることを後半の【解説】にて明らかにしていきたいと思います。それでは、2023年11月24日の佐伯議員と、福津市執行部(原崎市長及び市民協働部長(以下協働部長と略します。))の質疑応答のポイントを、次に示します。
佐伯議員:廃棄物処理法の自治体の役割をどのように認識しているか?
協働部長:一般廃棄物の収集・運搬・処分を行うことになっている。
佐伯議員:地域分別収集制度は制度疲労を起こしているのではないか?地域分別収集ステーションと自治会との認識はどうなっているのか?
協働部長:廃棄物処理の分別排出は市民の役割。市民は分別収集ステーションまで行って廃棄物を排出し、バックヤードでブルーシートをかけて保管するところまでと認識している。この部分は自治会加入・未加入にかかわらず担っていただくことになっている。
佐伯議員:この認識が間違っている。分別排出までが住民の役割です。他自治体では分別収集は業者に委託している。福津市においては自治会に加入しているか、未加入かで区別され、未加入者の権利が侵害されている。現在の廃棄物処理の方法を見直す時期にきていると思うが、如何か?
原崎市長:前半部分の認識が重要と思うので、この部分について認識を述べる。市の認識は住民の自主的活動を促し、廃棄物の収集・運搬・処分することである。容器包装リサイクル法も同じだ。この部分を噛合せする必要がある。(トラブルは)個別に一件一件対応する。
佐伯議員:自治会にお願いするのではなくて、業務委託すべきではないか?
原崎市長:業者に委託しない現在の体制でも、裁判所の判例を調査しているが、違法ではない。市の財務上の負担だけでなく、自治会経営にも・・・。(語尾不明)
佐伯議員:福津市は(SDGs未来都市宣言で)誰をも取り残さないことを宣言しているではないのか?
協働部長:地域分別収集ステーションでの問題は、個別に対応する。
時間切れで、佐伯議員の一般質問はここまででした。
【解説】
廃棄物処理法(正式名:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は昭和45年に制定され当初から一般廃棄物(家庭ごみ)の処理責任は市町村の固有事務(仕事)とされました。そして平成3年の改正で、第1条(目的)に廃棄物の抑制、分別及び再利用等が廃棄物の処理として明示されました。
今回の福津市議会で、市執行部と佐伯議員の話が噛み合わない原因のひとつは、「処理」のことばの解釈にあります。廃棄物処理法第1条では、「処理」とは分別、保管、収集、運搬、再生、処分等を含んで広義に定義されていまるのに対し、同法第6条の2で「処理」とは収集・運搬・処分と狭義に定義されています。これについて厚生省生活環境部は廃棄物処理法の解説の本のなかで、『広義の「処理」と狭義の「処理」が同一法律のなかで用いられるのは好ましくない』と記述しています。これは廃棄物処理法の欠陥です。福津市執行部は議論が噛み合わなくなることを判っていて、この欠陥を利用して追求を逃れたのです。
二つ目の原因は佐伯議員が「容器包装リサイクル法」をベースに質問しているにも関わらず、福津市執行部は「廃棄物処理法」の欠陥を利用して答弁したのです。原崎市長の「容器包装リサイクル法も同じだ」という答弁は間違いです。例えば「分別収集」のことばの定義が容器包装リサイクル法の第2条5項にあり、協働部長のような勝手な解釈はできません。環境省の公式パンフレットにも「分別収集は市町村の役割」と明示されています。(No.52-2をご参照ください。)このことにより、分別収集・保管・運搬・処分は市町村の役割であることが明らかです。
ところで、容器包装リサイクル法と廃棄物処理法との関係ですが、容器包装リサイクル法は廃棄物処理法の特別法です。地域分別ステーションで取り扱われている廃棄物は大部分が容器包装リサイクル法の対象物です。このような対象物を取り扱う場合、一般法の廃棄物処理法より特別法の容器包装リサイクル法が優先されるのです。
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