前回の監査要求の続きです。今回は福津市教育委員会が、「福津市学校施設等整備計画策定業務(以下整備計画策定業務と略します。)」の委託先選定に公募型プロポーザル方式を採用しましたが、その問題点を取り上げます。
【問題点】
1.福津市教育委員会は、整備計画策定業務の委託先選定のために、公示を市のホームページと建設・土木の業界紙2紙に掲載しましたが、その原稿や掲載記事を保存していませんでした。このことは、公文書取扱いの原則を規定した福津市公文書管理規定第3条第2項に違反していると考えます。
2.整備計画策定業務の公募期間が平成31年3月19日~4月21日の約1ヶ月間では、参加業者は内容ある企画提案書を作成できないと、1級建築士の専門家は断言しています。また公示の時に応募業者に開示された仕様書を次頁以降6頁にわたり添付します。とても約1ヶ月では完成できない内容と仕事量であることが、ご理解戴けると思います。
3.参加業者の企画提案書の評価は、福津市教育委員会の教育部の部員4名と小・中学校の校長各1名で行いました。しかし「学校施設再配置や新設校の基本計画」や「給食調理施設の基本計画」の評価は、建築の知識を持った専門家でなければ正当な評価ができないので、評価する人の選定に問題があります。
4.福津市教育委員会は整備計画策定業務の成果品で最も重要な福津市学校施設等整備計画書を㈱長大に福津市教育委員名で作成させ、それを受領し、そのまま公表しております。この内容には、本来福津市教育委員会が、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条注1)に基づいて策定しなければならない事項が多く含まれています。このことは福津市教育委員会の職務放棄にあたると考えます。
5.福津市は㈱長大に、上記計画書の添付なしに、整備計画策定業務の委託料(¥31,526,000)を支払っています。
上記の第4項目について、大嶋教育長に質問書で問い合わせたところ、令和4年2月4日付けの回答書で、「多岐にわたる専門的知識や経験が必要な業務であるため、委託業務を実施しているが、当然ながら最終的には策定するのは市であるので㈱長大からの成果品を基に、新設校の市の方針を反映し整え完成させる予定です。」と返事がありました。しかし、現実は第4項目で述べたように「福津市学校施設等整備計画(令和3年)」を既に公表しており、大嶋教育長の返事には明らかな嘘があります。
次回は㈱長大に支払った委託費¥31, 526,000.の妥当性について【検証】することにします。
注1)地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条(教育委員会の職務権限):
教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
①教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関(以下「学校その他の教育機関」という。)の設置、管理及び廃止に関すること。
⑦校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
⑪学校給食に関すること。
⑰教育に係わる調査及び基幹統計その他の統計に関すること。
⑲前各号に掲げるものおほか、当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること。