2024年(令和6年)11月22日(木曜日)午前9:30から山本祐平議員が「福津市の財政状況」について一般質問をしたので、福津市議会を傍聴にいきました。
山本議員の質問に対して、ふくみ損の事実を隠蔽したい原崎市長と花田経営企画部長の答弁は、非常に分かりづらい内容でした。福津市会計課への聞き取り調査も含めて、私が理解できた福津市の債券運用の状況は次の通りです。
福津市議会12月定例会のインターネット録画配信は12月16日から開始されています。
市民の皆さまは、この山本祐平議員の一般質問を、是非ご覧ください。
1.債券運用に失敗、ふくみ損が23億円に膨らんでいる。
福津市の貯金として約100億円の基金を保有している。基金の内訳は73%が債券、27%が預金である。債券は30年国債(76億円)と40年国債(2億円)と社債(㈱光通信)である。国債は令和元年~令和2年にかけて集中して額面100円以上の高額で購入している。現時点で国債の額面は100円より30%以上下落し、令和6年10月時点の福津市のふくみ損は23億円になっている。年間の運用益は約6,500万円である。注1)
注1:令和元年~2年の30/40年国債購入時の金利は0.4%であった。
2.原崎市長の方針で、財政運営を債券運用重視に変更した。
平成28年度以前は、75%が定期預金、25%が債券運用であったが、日銀のマイナス金利政策を受け、令和2年に原崎市長の方針で、72億円かけて債券を購入、一気に債券運用をメインとする方向に舵をきった。令和2~3年度にかけ、利益を上げたが、令和4年度から債券の単価が急落し、平成29年度~令和5年度までの債券運用益8億7000万円を全部吐き出しても赤字の23億円のふくみ損を抱えることになった。福津市では資金管理運用会議で債券運用の実務が行われているが、市長は執行権者であり、ふくみ損の責任から免れない。
3.原崎市長の答弁とその態度
債券は運用益の範囲で、売却する。資金が不足すれば、地方債を発行する。手元に25億円あれば良い。また、5~6年経てば債券の単価は上向いていく。市長選挙前に、福津市の財務状況を説明会で市民に公表するつもりはない。
山本議員の質問に、原崎市長はニヤニヤしてまるで他人事の態度で、山本議員から叱責される始末でした。
コメント:
福津市の決算書は現金主義で、金銭(預金を含む)のやり取りのみで、債券のふくみ損は表面には出てきません。企業会計は発生主義で、金銭のやり取りの有無に関係なく損失が出た時点で計上します。企業会計と同じ発生主義で決算書を作成すれば、福津市の決算書は赤字決算になります。実質的に赤字です。
〇 なにが問題か?:福津市は人口の増加に伴い税収は伸びているものの、社会保障の経費の増大・市行政の無駄遣い・債券運用で大きな損を出したことで、ただでさえ厳しい市の財政は圧迫され、ますます硬直化が進んでいます。新設小学校や数年以内に予定される古賀清掃工場の建替えに多額の資金が必要となり、財政調整基金を使い果たすことになれば、市の財政は破綻します。結果的に福津市民にツケが廻ってきて、増税されることは、目に見えています。
〇 5・6年で国債の単価は上向き、ふくみ損はなくなるか?:筆者の個人的見解では、日本国債の単価の下落は簡単には上向くことはないと思います。何故ならば、日本国債の発行残高は日本のGDPの2倍以上に増大し、その利子の支払い等を考えると簡単には上向きに単価が変わるとは、思えないからです。原崎市長の「5~6年経てば、国債の単価が上向く」との発言は、根拠のない無責任な見解だと思います。
〇 国債は元本保証されているのでは?:満期まで国債を保有していれば、額面の100円は現金100円で戻ってきます。しかし、30年国債の満期は、令和2年に購入したと仮定すれば、令和31年になります。あと25年間待つ必要があります。25年後の将来まで、日本円の価値がキープできるでしょうか?何故なら日本政府による「デフレからの脱却」というインフレ政策により日本円の価値は確実に下っていきます。平成30年頃から、金の価格が急騰しているのは、見方を変えれば日本円の価値が下落している証拠です。「金の価値は何時の時代でも一定」と高校時代に、政治経済で習った記憶があります。満期まで待って現金化することは、必ずしも有利にはなりません。
〇 福津市の債券運用はどこでされているか?:資金管理運用会議で行われています。副市長をトップとして、経営企画部長、財政調整課長、財政調整係長、会計管理者,会計係長の6人がメンバーです。債券運用の専門家は1人も居ません。素人ばかりで、公金を運用するのであれば、証券会社の口車に乗ってハイリスクハイリターンの債券に手を出すべきでは、ありません。
〇 これから福津市が採り得る政策とは?:本ブログのNo.233,No.236,No.248で公開しましたように福間小学校の児童・生徒数は今後、1500人台で推移し、教育委員会が推計する令和10年度に1874人にはなりません。このため宮司地区の小学校新設は必要ありません。直ちにこの事業をストップすることが、市の財政破綻を逃れられる確実な政策です。
追伸:
山本議員に債権金額を再度確認いたしました。30年国債の総額は52億円、40年国債が2億円、社債が20億円で、合計して債権総額は74億円でした。訂正させていただきます。