私達は、福間小学校・福間南小学校の過密解消のために、福津市が小学校を新設することには賛成です。しかし、宮司2~3区(宮司字川口)への学校新設は、子供たち及び地域住民のため断固反対です。その理由は次の通りです。
①自然災害危険地域:宮司2~3区は(a)手光今川洪水浸水想定区域(b)高潮・洪水浸水想定区域(c)ため池崩壊による浸水想定区域(d)西山断層によるM8.2の大地震が引き起こす津波が到達する可能性もあり、数々の自然災害が想定される危険地域に位置しております。文科省が「小学校施設整備指針」で学校用地に相応しくない環境の地域であり、学童の安全確保ができません。また、地域住民の避難場所としても不適格です。
②莫大な追加造成費用:安全確保のため、別途、嵩上げ、調整池等の余分な費用(7~10億円?)が追加で必要となります。莫大な追加造成費がかさみ市民の税負担が重くなります。
③将来の学童数予測:福津市の中心部から離れているため、開校時(2029年度)840名の学童数は、僅か15年後には290名程度に激減(減少率65%)することが想定されています。これは非効率的な市の公費支出になります。
私達は、宮司2~3区に小学校を新設することが、学童や地域住民をはじめとする市民にとって何の利益にならないことを知っていただくため、2023年(令和5年)6月13日に住民監査請求を榎本博・灘谷和徳の両監査委員に提出しました。
その内容は要約すると次の通りです。
「学校用地に相応しい中央公民館敷地や手光の田園地帯(教育委員会が「福津市学校施設等整備計画」自ら選定した候補地)が在りながら、原崎市長と教育委員会は学校用地に相応しくない宮司2~3区を選定しました。そのため学校施設に課されている安全性確保を果たすためとして、用地嵩上げや調整池の造成のために支出する莫大な費用は、当初の中央公民館敷地等の候補地であれば不要の費用です。よってこれらの費用支出は不当な行為で、無駄な公金支出です。」
ところが、榎本博・灘谷和徳の両監査委員は、2023年7月26日付けの通知書で「本件請求に財務会計上の行為が認められないため、地方自治法242条に規定する住民監査請求の要件を具備していない。」として却下しました。
私達は、監査委員の却下理由が腑に堕ちませんでしたので、松本英昭著「逐次地方自治法」、「現代行政法講座(Ⅳ)自治体争訟・情報公開争訟」、田中孝雄著「住民監査請求制度」等の本を中心に「財務会計上における行為」について調べました。
現代行政法講座(Ⅳ)には「住民監査請求の対象を、地方公共団体の長、委員会、委員、職員の違法若しくは不当な①公金の支出②財産の取得、管理若しくは処分③契約の締結若しくは履行④債務、その他の義務負担⑤公金の負荷若しくは徴収の懈怠注)⑥財産管理の懈怠とし、①~④を財務会計行為の作為⑤~⑥を不作為に分類し、これ等の事項は法定受託事務と自治事務のいずれに該当するにかかわらず、地方公共団体が行う事務のすべてに及ぶことになる。」と解説されています。
また、田中孝雄著 住民監査請求制度の「住民監査請求制度の要点2-3請求対象(2)財務会計行為に先立つ行為の違法性・不当性の行為」では「自治体では、あらゆる種類の政策あるいは事務事業の執行に予算などの財務会計行為を伴う。」と解説しております。
以上の両著の解説及び松本英昭著 逐次地方自治法 地方自治法第242条の解説から私達の住民監査請求の内容は財務会計上の行為であると考えます。監査委員は本件について監査を行うべきと考えております。
注)懈怠(かいたい):「けたい」とも読み、一般的に、しなければならないことを怠ること。 (有斐閣 法律用語辞典から)