小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

本 / 『銀のみち一条』 上・下巻 玉岡かおる著

2012年07月10日 | 
内容(「BOOK」データベースより)
 但馬国と播磨国を分ける山の分水嶺に位置し、千二百年もの間、日本に銀をもたらし富を与えた生野銀山。明治半ば、その町に生まれ合わせた女たち、男たち。東京帰りのハイカラ女学生・咲耶子。町いちばんの美貌の芸妓・芳野。そしてまっすぐな心ばえの女中・志真。彼女たちの瞳の先にいたのは、雷太という数奇な生いたちの、銀山一の坑夫だった―。明治の女たちの葛藤や哀しみを圧倒的な筆致で描き出す恋愛長篇。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 玉岡/かおる
1956(昭和31)年、兵庫県生れ。神戸女学院大学文学部卒。87年『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で神戸文学賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


  

内容(「BOOK」データベースより)
 常に死と隣り合わせの暗く冷たい銀山の地底で、恵まれた体躯を元手に鉱山一の稼ぎをあげてきた雷太を襲った忌まわしい暴力。旧制度を守ろうとする部屋主たちと職人肌の坑夫たちの対立。幼馴染みの芳野の気高い想いと、ひたむきな志真の求めたささやかな幸せ。そして…すべてを失った雷太が、真っ暗闇の中から見つけ出したひとすじの道は―。古い体制の中で懸命にあがきながら生きた明治の人々を描く傑作長篇。





 1年ちょっと前に『お家さん』でいっぺんにフアンになった玉岡かおるさんの、『銀のみち一条』 上・下巻をやっと読み終えた。お家さんさんが、身近のモデルやテーマだったのに対し、二度ほど行ったことのある兵庫県の史跡生野銀山が舞台のこの本は、はじめがなかなか入って行けなかったけど、中程からはもう夢中(笑)。

 雷太という少年、幾つだったか子供の頃にはもう坑内で働いていて不運な落盤事故に遭う。少年は小さな抗にでも入れるので有利なのだそうだが、この事故で彼以外の坑夫が全員亡くなったにも関わらず生き残り会話も出来ない状態に陥る。そんな彼が祖父の教育のせいで漢詩のようなものも読める。また成長すると相撲も強くなり、やがてどれだけ掘ったかで稼ぎも決まるぴか一の抗夫になる。

 純朴そのものの雷太がなぜか、芸妓・芳野に女中・志真そして、東京帰りのハイカラ女学生・咲耶子にまでもてまくるから痛快だ。この時代はフランスからの技術者や機械も相当導入されたようで、フランス人の身の周りの世話をした女性との間に子供も出来、残された母子の生野銀山での後の人生の荒波もある。

 気づかない歴史もたくさん詰め込まれているが、全体はラブストーリーなのかな?(笑)。子供が産めなくなる話あり、母親を取るか生まれてくる子供をとるかのテーマでは強く惹きつけられた。出産はとても神聖なことだとあらためて感じる。

 著者の玉岡かおるさん、どうもお近くにお住まいのようだ。知らなかった!東京帰りのハイカラ女学生・咲耶子はどうも玉岡さんの半生とダブってしまう(笑)。
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2 コメント

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Unknown (ree)
2012-07-11 01:26:32
読んでますね~。
父ちゃんがスカウトキャンプ中、娘が一緒に寝てるんで、全く読書が出来ません(就寝前が私の読書タイム)。
私は大好きなサスペンスシリーズを日本で仕入れて来ました。
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reeさんへ (小父さん)
2012-07-11 17:48:02
いやいや、そんなに読んでいないです。
自分の活字離れとブログオンリーからなんとか抜けだしたく思って、
コミュニティーセンター文庫の読み易い本を探してきています。

>娘が一緒に寝てるんで、全く読書が出来ません

ははは
私も一時期は寝床で読んでいましたが、今、
本を持って横になるとすぐに寝てしまいますね。

>私は大好きなサスペンスシリーズを日本で仕入れて来ました

それは楽しみですね。
コミュニティーセンターでもサスペンスは人気です。
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