ハチの家文学館

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ろうを生きる 難聴を生きる

2020年01月13日 12時57分20秒 | ハチパパのひとり言

               福島県 願成寺 勢至菩薩

1月11日に放送された録画「ろうを生きる 難聴を生きる」を見る。

番組では難聴の愛媛大学医学部耳鼻科医師狩野拓也さんの、ろう学校の生徒たちに対する「聞こえない先輩の課外授業」が放送されていた。印象に残った言葉が、「耳が聞こえないけど持っているものはたくさんある」「予習して知識を増やすことにより、健常者が何を言っているか口の動きでより分かるようになる」「復唱する」だった。

狩野さんは生徒たちに障害があっても諦めないでほしいと伝え、医療現場でのカンファレンスでは、予習による知識のおかげで医療の内容をより正確に理解し、医師との会話や患者との問診でも、復唱して齟齬がないように努力しているという。

ろうで思い出すことがある。私には同じ年の聾唖のいとこがいた。大学病院の食堂で長年働き、油絵が好きで画家として個展を何度も開いたり、フランスなど海外にも出かけて絵を描いていた。ろう学校では野球部でピッチャーをやっていたし、障害があるにもかかわらず明るく快活な人物だった。

彼は10年前にがんで亡くなったが、「耳が聞こえないけど持っているものはたくさんある」を地で行った人物だったように思う。

奥さんもろうであるが子どもは二人とも健常者、孫も健常者で幸せに暮らしている。がん発症当時から彼の病状等について、奥さんと何度も交わした携帯メールが忘れられないでいる。

私も小学校当時の中耳炎を手術もしないで放置したことが原因で、右耳が難聴で今に至っている。日常会話に支障はないが、ろうのいとこを知っているからこそ、聞こえることのありがたさを切に感じている。



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