ハチの家文学館

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土門拳さん

2020年09月06日 15時43分58秒 | ハチパパのひとり言

土門拳さんの「古寺巡礼」文庫本を開いて思い出す。お寺や仏像写真については、他にも入江泰吉さんの本も時々読み返しているが、土門さんのド迫力には圧倒される。

16年前、仏像写真家を目指してお寺巡りした頃は、土門さんの写真集「古寺巡礼」の作品に刺激されて、素人ながら仏像の顔だけとか、手だけとか、お腹だけなどと、仏像の持つ力感を土門流と勝手に解釈して撮らせていただいた。

弟子を従えてライティングとか構図を決め、大型カメラのシャッターを「エイヤ!」と切るプロの写真家にかなうはずがないが、私の場合は行く先々でご住職のお話しを聞き、撮影前に本堂で般若心経を唱えて心を整えてから撮影に入るようにしていた。時々、ご住職から仏像の写真を撮る人はたくさんいるが、お経をあげるのはあなただけだと言われた記憶がある。

土門さんのような雲の上の写真家の真似など、烏滸がましいのひと言に尽きるが、あのギョロッとした眼力で仏と対峙して撮影した仏像写真はすごいとしか言いようがない。しかし、銀座や浜松、横浜で仏像写真展を開催したときは、たくさんの人から「すばらしい」などと感動していただいたことは、記憶に深く刻まれている。

16年前から約2年、カミサンと愛犬ハチと車中泊で、仏像写真撮影目的に全国行脚したこともあらためて思い出す。記録のノートを開いたら、平成17年10月30日午後1時に秋田県酒田市の土門拳記念館を訪れている。後年、仏像写真展を開いたとき、「あなたも土門拳さんのように大きい写真をドカーンと展示しなさいよ」と、カミサンにハッパをかけられたことがあった。

いま、家族に残せるものは何もないに等しいが、仏像写真家目指して全国を廻り、大きな写真展も開き、NHKテレビや朝日・読売・神奈川・中日・静岡の新聞各紙に掲載していただき、また、地元タウン誌の人物風土記、郷里浜松の歴史ある月刊誌グラビアにも掲載していただいたおかげで、手製の仏像写真集とともに、父親の足跡を残せたのかなと思っている。



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