ある小さな永遠の序奏のために
永遠というさだかな 想いを
いつも 心の波間に 浮かべることのできる
そんな 小っぽけな 詩が
たった一つでいい 書けたならば
私の人生は ただ それだけのために
どんな 孤独を 味わおうと かまやしないんだ
ひとの世なんて だけど
そんな幼い祈りに似た 決意だけが
意味のない 永遠を 心に感じさせるんだ
だからこそ 書けもせず うたえもせずに
こうして 今宵も 暗い想いの上に 漂流って
生きながらえて いるのじゃないか
「ほら そこに
白雲が
とんでいるよ
この星の夜空に
白い花びら
みたいにね」
こんな 何の変哲もない 自分の ことばを
はるかに くりかえし 凝視めながら
小さく微笑んで 生きてゆくのが
はてしない 永遠の道なんだ
「ねえ、君、
黙って 生きてゆこうよ」
この本の中で、一番大好きな詩です。著者21才のときの作品。とくに最後の部分「ねえ、君、黙って 生きてゆこうよ」は私の人生に大きな影響を与えた言葉です。
大宅歩は昭和7年評論家大宅荘一の長男として生まれ、昭和41年、高校時代のラグビーの怪我の後遺症で、33才という若さで生涯を閉じた。
あの川端康成が父親大宅荘一に言ったといわれる「君の息子は秀才なんだってね」に象徴されるように、日比谷高校から東大に進み、若い時から文学、評論に才能を発揮した人物である。この本は、彼が亡くなったあと残された大学ノートの遺稿をまとめたもので、正直、凡人の私には到底足元にも及ばない感性の持ち主である。
当時、私の脳内に強烈なインパクトを与えたこの本の詩や箴言が、その後の私の生き方に多少の影響を及ぼしたであろう言葉の数々・・・。しかし、この年になって読み返すと、年をとったせいか、あの青春真っ盛りに受けた衝動はもうない。
この本の裏表紙に、私の住所の履歴が書かれている。
東京都世田谷区野沢3-21-6(銀行独身寮)
横浜市港北区元石川町申田2494-2松和荘(新婚時代のアパート)
横浜市戸塚区岡津町897-13(のち横浜市泉区の持家)
浜松市佐藤町294(生家)
浜松市上西町32-11(借家)
横浜市泉区白百合2-16-18(現住所)
いつでもどこでも この本を失くしたときに、この本が手元に戻るように願って書いたのかもしれません。生涯の愛読書のひとつです。
ハチが私の部屋をノックしています。雷鳴に慄いて、私の足元で蹲っています。「ハチ お父さんも お母さんも そばにいるから大丈夫だよ」 そう言っていつもハチを慰めています。
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