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いのち 瀬戸内寂聴さん 

2015年11月26日 11時13分43秒 | ハチパパのひとり言

今朝のラジオニュースで、昭和の大女優原節子さんが9月5日に亡くなっていたことを知る。42歳の若さで突然引退したあと、「伝説の女優」といわれていた。

報道では、今年の夏体調を崩して入院していたらしいが、私的なことは享年95歳、横浜市出身とだけで、出演した映画のことが多かった。

家族に看取られていたのか気になったが、死ぬときはひとりという瀬戸内寂聴さんのことばをすぐに思い出して、4日前に放映されたNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」の録画をもう一度観た。

2011年の東日本大震災の直後、寂聴さんが住職を務める岩手県二戸市の天台寺での法話の中で話されていたことばで、当たり前のようでも寂聴さんだから説得力がある。

「結局は人間はひとりなんですよ」 

「ひとりで生まれて やがてひとりで死んでいくんですね」

「ひとりは寂しいけれども 一緒に死ぬことはできないね」

昨年5月、92歳の寂聴さんが腰椎圧迫骨折で入院してからの密着500日、このときの「生きてるのが不思議」というご本人のことばから、死ぬ思いをしたようだ。

食欲も失せ、精神状態も不安定になったらしく、「こんな先生は初めて見た」と担当ディレクターが言っていた。昨年9月11日の寂聴さんからのメールが映し出され、「今朝あんまり痛くて声をあげて泣きました。何でもいい早く帰りたい」。

やがて追い打ちをかけるように、胆嚢にガンが見つかった。寂聴さんは、高齢者には危険な全身麻酔を承知で手術を選んだ。まだまだ書きたいことがあるという、小説家としての強い思いがそう決断させたのだろう。

京都の自宅「寂庵」で最後の長編小説に挑む姿は、とても御年93歳とは思えない集中力だ。寂聴さんの本は400冊以上にもなるというが、若いときのようにペンは進まないようで、思い悩む姿も映し出されていたが、死ぬ思いをした体験を参考に書き上げたいと執筆をつづける本のタイトルが「いのち」に決まった。

 



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