ハチの家文学館

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回想

2014年12月14日 05時24分08秒 | ハチパパのひとり言

若者は希望に生き、年寄りは回想に生きる。いつかどこかで見たような聞いたような言葉である。

年寄りの私は、身の回りの片付けをしているうちに、またもや数十年も前にタイムスリップしたように回想を始めた。特に母の遺品、小学校時代の息子の「学校便り」などを見ていて、数々の想い出がよみがえる。

「1977年睦月1今月の指針」というタイトルの月捲りカレンダーが出てきた。20日から下が切り取られて「一時に徹底する、万事に通ずる途が」の文字が読み取れる。その裏白に母の字が並んでいる。

大正4年生まれの母が亡くなって17年、息子二人の面倒を20年も見てもらった母のことを思うと、思わず眼が潤んでくる。母との回想は尽きることなくよみがえる。

命短く此の世は長い                                                                                              変る昭和に身をまかせ                                                                                            生きる手足に杖をつき                                                                                             かれて つかれて                                                                                             かれて つかれて                                                                                    散りはてるまで

新年の計 上西老人会 (17年を母と息子と過ごした浜松市上西町老人会)                                                       幸せのもと 十二ケ条                                                                                       一.長生きするには 歩くこと                                                                                        一.くよくよとりこし 苦勞しないこと                                                                     一.人をうらむな うらやむな                                                                                        一.口をひかえて 腹らたてず                                                                                            一.どん欲くおこすと 大けがのもと                                                                                                一.落ちたなら けがは大きいいほど                                                                                     一.親切正直 成功のもと                                                                                                                   一.よく働いて 施しをせよ                                                                                           一.不平不満 ぐち言ふな                                                                                                                          一.先祖をまつれ 親をがめ                                                                                                         一.天地に感謝 社會に奉仕せよ                                                                                                                               一.ままにならぬと なげいてみても 蒔いた種なら 生えてくる 

 

 

昭和43年9月26日の消印があるはがき。東京世田谷野沢の銀行独身寮にいたころ、浜松市の貸間で独り暮らしをしていた母へ出したもので、その年の11月結婚を控えていた私に母がお祝いをくれたお礼はがきである。たった3行のぶっきらぼうな文字が並んでいる。

当時私の両親は夫婦喧嘩が絶えず、母は別居中で私の結婚式には父の反対で出席できなかった。結婚してから横浜の私たち新居に泊まりに来るのが楽しみであった。

その3年後まさかの妻の死により、母が幼き孫二人の面倒を見ることになったのは運命的なことであったかもしれない。母には孫育てで苦労かけたれど、ひとりさびしい貸間住まいをしていたことを思えば、普通の家庭のように三世代で生きてきた20年は幸せだったかもしれない。 



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