ハチの家文学館

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仏師 松本明慶さん

2018年01月19日 11時47分07秒 | 慈しみと悲しみと

2006年にNHKテレビで放送された「ハイビジョン特集 仏心大器 平成の仏師・大仏に挑む」再放送をみる。

京都に工房を構える仏師・松本明慶(みょうけい)さんは、運慶・快慶の「慶派」の流れをくみ、平成の大仏師と言われている。

この番組で放送されたのは、仏が宿る木・白檀(びゃくだん)で作る丈六(およそ5メートル)の不動明王。制作依頼があったのは広島県宮島の古刹・大願寺で、護摩堂のご本尊不動明王が、明治初期の廃仏毀釈で失われ、現住職が何としても再興したいという100年の悲願に明慶さんが応えた。

明慶さんのところには、制作開始の40年も前に頼まれていたそうで、4年の歳月をかけて2006年(平成18年)完成、同年4月2日開眼式が盛大に執り行われた。番組で仏とは、仏像とは何か。仏師の技と心に迫る。

工房では40人ほどの弟子を従え、白壇の木を細かく分けて寄木造の工法で制作が進んでいく。緻密に計算されつくした木々を貼り合わせて、頭部、本体などに分けて彫られていく過程は、仏のいのちを吹き込む念力がすごい。不動明王の眼については、納得するまでノミを持たず、何日も対峙し続ける姿は恐ろしいほどである。

仏師といえば、私が尊敬する故西村公朝さんを思い出す。公朝さんは京都三十三間堂の千一体の観音菩薩のうち、約六百体を修理した方で、晩年は京都愛宕念仏寺の住職を務められた。

私が仏像写真を本格的に始めた頃、公朝さんの本を何度も読み漁った。4月に開催する仏像写真展の準備にあたり、今もリュックに入れて電車の中などで読んでいる。

日本の現代仏師として、西村公朝さん、松本明慶さん、ともにすばらしい方々である。

 

 

 

 

 



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