藤田まことさんの訃報に愕然

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　剣客商売　藤田まこと(右)

自宅近くの喫茶店「ウルウルフォー」に立ち寄る。いつもイベントのハガキをいただきながら、来られないことが多くて「勿体ないから送らなくていいですよ」と言うのだが、ずっと送り続けてくれている。
何年も前に、フルートやトランペット、トロンボーン、ピアノなどのアマチュアバンドの演奏会が毎月1回開かれているのを知って通い始めた店である。しかし、全日空生活になってからは、時々昼食や珈琲を飲みに立ち寄るようになった。

マスターが配達されたばかりの夕刊を持ってきてくれた。開けてビックリ!藤田まこと死去のニュースが載っているではないか。マスターもママも知らなかったらしく、すぐにテレビをつけてくれたところ、丁度同じニュースをやっていた。

「てなもんや三度笠」で一世を風靡し、「必殺仕事人」「はぐれ刑事」は大好きな番組でよく見ていたが、これからあの渋い役者ぶりを見られなくなると思うと寂しい。そういえば、つい最近ビデオに撮って見た「剣客商売」の藤田まこと演じる老剣客、秋山小兵衛がよかった。ビデオは消してしまったが、こんなことになるなら残しておけばよかったと後悔している。

一昨年５月に食道がんの手術を受け、その年の１０月、「必殺仕事人２００９」で仕事復帰。そして１２年近く続いてきた人気時代劇「剣客商売」に戻ってきたばかりなのに・・・。本人もさぞ無念であったことと思う。藤田まこと扮する秋山小兵衛の、小林綾子演じる４０歳年下の愛妻、おはるに寄せる思いはますます熱く、小説の上では、小兵衛よりおはるが先に死んでしまうことになっているが、藤田まことの小兵衛が先に死んでしまった。

「小兵衛は自由人で、何にも縛られていないのが魅力。この役はね、私しかやれる役者はいないと思ってやっているんですよ。私なら、おはるのおしりをいくらなでても不自然に見えませんから（笑）」と生前言っていたそうである。お惚けと渋い顔を併せ持って、グッと来るセリフが聞けなくなるのが寂しい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　22/2/18