約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯を、見てきました。
過去の実写ニュース映像等と、再現ドラマで仕立てられたドキュメンタリー。
監督は、地元東海テレビで、長期に渡り取材を重ね、事件を追い続けてきた齊藤潤一氏。
パンフより抜粋
複数の特異的な人間関係、100人余りの団結した小さな集合体【集落】で発生した事件
奥西死刑囚に対して司法は、「証拠至上主義」より、「調書至上主義」をもって、
警察等により作り上げられた「強要された自白」(不自然な「犯行時間」、「動機」)、を盾に、
53年目を迎えた今なお支持して、再審を認めません。
また、事件発生数日後に、「強要された自白」が発表されると、
当日ぶどう酒に関わった参考人たちが一斉に「右向け右」と言わんばかりに、
ぶどう酒の動線に対する供述を、信憑性のない理由をもって翻しました。
(しかし、塗り替えた供述には無理があるため、矛盾が発生している。)
つまり、犯行を行えるのは、奥西死刑囚しかいない。という絵を完成させた。
唯一の証拠として提出されている王冠の歯型についても
弁護団の地道な努力によって、当時の「王冠の歯型」鑑定には
当時の専門家(阪大教授、既に死亡)による工作があったことが発見されました。
また凶器に使ったと自白させられた農薬「ニッカリンT」の空き瓶も、
捨てたとされる名張川から発見されてはいない。
その上、ニッカリンTの科学的分析にも矛盾が生じています。
こちらも、弁護団の努力によって詳細に分析した結果、
断定された毒物が「ニッカリンT」以外の薬剤の可能性が見いだせています。
よって、これら2点は、死刑判決を維持する証拠としての価値は無いに等しい状態になった今もなお、
「強要された自白」が優先されて、再審請求は却下され、再審が認められません。
証拠が崩れて行く現状では、奥西死刑囚は「疑わしい人」。・・・しかし、
「疑わしきは罰せず(被告の利益に)」と言う言葉は、53年目を迎えた奥西死刑囚にはありません。
sapphireは、30数年前に、この事件の詳細を知った当時から、
資料を読み、現地を訪ねました。(現場へは行っていませんが・・・)
「奥西死刑囚は犯行を行える状況に無い。
(警察にとって?集落にとって?)一番都合がいい人を犯人に仕立てている」・・・と思うに至り
以降、鈴木泉弁護団長を始め弁護団による、途方もない中から見つけ出す「作られた証拠」潰しの
功績に敬意を表す共に、冤罪だと確信しています。
残念なことに息子さんは、すでに病死されました。
支援者や当時の裁判官、警察官も多数亡くなっています。
母さまは、84歳で亡くなるまで 900通を超える手紙を送り続けて励ましていらっしゃいました。
現在86歳になった奥西死刑囚は、ベッドに横たわり、口にするものはお粥だけのようです。
残された時間が少ない・・・
一日も早い無罪獲得を願って止みません。
余談・・・司法社会のある出来事
過去に再審を認めた裁判官は、その直後に退職されている事実
反対に、再審決定を取り消した裁判官は、その後栄転している事実
司法の象徴である、「正義の女神」の左手にある天秤は、手から離れたのでしょうか?
今の状況では、右手に持った剣しか、見えません。