あなたは呪いのカナタさんを知っていますか?
呪いのカナタさんは、満月の夜にとある神社の大きな木の元で、呪い殺したい相手の名前を書いて祝詞を唱えると、呪い殺してくれるというオカルト話。
それに巻き込まれた者たちの物語
2023年4月11日(火)
呪いのカナタさんは本当に在るんだわ絶対に!!
私はそれに願った、きっと叶うはず!!
私の全てを奪ったあの女に復讐する方法よ!!
絶対にあの女だけは許してたまるものか!!
私の彼氏を奪って、私の仕事を奪って、何もかもを奪ったあの女だけは!!
冷静になるのよ私、失敗する事はない、そう自分に言い聞かせた。
私はどうしてこんな事になったのかを、冷静に考えた。
その答えはあの女よ!!長谷川唯なのよ!!
私のなかでも信じられない程、嫉妬や憎悪を抱いている。
私の仕事である声優で主人公である、桜木朔子役を奪った。
漫画で連載していて、もしもアニメ化したら、絶対主人公である桜木朔子の声優になりたかった、なるのが夢だった!!
それなのに病気になって桜木朔子役を演じる事が出来なくなった時期に、少しだけ代わる予定だったのに!!桜木朔子役をそのまま演じる様に手をまわして絶対許さない!!
「あらなに遥さん、こんな所に呼び出して。もしかして貴女の元恋人を、返して欲しいのかしら。」
何をいけしゃーしゃーなこと言っているのよこの女
「違うわ、少しだけ話がしたかったのよ」
冷静になるのよ私!!
「あら、私は話なんて無いわよ、勝手にこんな神社に呼び出さないでくれる」
馬鹿じゃないの、私だってこの女とこんな場所に来たくないわよ
「あらそれはお互い様でしょ、忘れてるかもしれないけど、私達アイドル声優なのよ、人気のない所じゃないと話が出来ないじゃない」
「まあ、それもそうね。話は何なのよ早く言ってくれる?」
「そうね私ね願ったのよ呪いのカナタさんに」
「呪いのカナタさん?何よそれ!!」
唯は感情を剥き出しにして怒鳴ったけど、全然怖くないわ。
「もうすぐ貴女と私は死ぬわ、黄泉の国へと行くのよ」
「冗談も程々にして、帰るわ」
「もう遅いわ、カナタさんが直ぐそこに来ているわ、後よもういるわ」
「えっ」
2023年4月11日(火)赤井陸
俺は赤井陸愛知県守山警察署捜査一課に所属している。
最近カナタさんというホラーな話が流行っている、何でも願えば誰でも呪い殺してくれるという。
まあ尾ひれ背びれついた噂話に過ぎないけど。
そんな存在がいたら、刑事も職務を全うできない!!
呪いなんざ、あって欲しくないな。
「あなた、今日稲穂の幼稚園の面談があるの、あなた参加出きるかしら?」
こいつは俺の妻の優花で、俺みたいな奴を好きになってくれた女だ。
優花との出会いはロマンチックでも運命的でもなく、普通に出会って普通に結婚した。
「今日は非番だから行けるけど、指示が出たらそっちに行かないといけないから」
「刑事も大変ね」
稲穂は俺たちの宝物だ、中々子供に恵まれなかったけどようやく、恵まれた時の感動は馬鹿にならない程喜んだものだ。
俺たちは結婚前と変わらず愛し合っている、おしどり夫婦と呼ばれている。
「いなほさいきんね、すききらいしなくなったんだよ」
「稲穂お喋りができるのか?」
俺は驚いた稲穂と最近接してなかったからか、お喋り出来るなんて知らなかった!
殺人現場
「おう非番なのにすまなかったな」
と吉村大輝警部は社交辞令をした。
「取り敢えずこっちに来い」
俺を殺人現場の死体の場所まで連れて行った。血なまぐさい臭いがした、被害者は二人で心中かと思われる、にしても両方顔が無いとはエグいな!
両方共女性みたいだ。この現場何故か嫌な予感がする、この殺し方尋常じゃない、俺は何か関わってはいけない事件に関わってしまったみたいだ。
「警部これはどういう状況何でしょうか」
「被害者は二人で、身元は指紋で判ったが、神奈川遥さん二十九歳職業声優、同じく声優の長谷川唯さん二十二歳、死亡推定時刻は午前二時この神社で殺害されていた。」
午前二時そんな時間にこの場所で殺人を犯したのか?
この場所は滅多に人が通らないから、確かに殺人には向いている場所だ。
でもこの二人何でこんな場所に?
「何でもこの場所で打ち合わせをって普通しますか?こんな場所で?」
と一人の花川貴史巡査は独りボケツッコミみたいな事をしている・・・意味不明。
ここには何か悍ましい程の悪意を感じる。
「そして凶器は見つかっていませんが、断面的にチェンソーか、電動ノコギリとかの凶器じゃないかと鑑識は言っていますね」
被害者は首を切られて頭を持ち去られている、つまり犯人は頭を持ち去る事が警察への挑戦状なんだ。
だからなんとしてもこの事件解決させないとな。
「なんだ、早川の奴まだ来ないのか?」
早川とは俺の相方の刑事の早川任三郎だ、いつも遅刻をしては怒られてばかりでその度に警部の雷が落ちることになり、俺まで叱られる事に。
いい迷惑だよ全く。でも早川は頭はいい方でいつも解決へ導いてくれた。俺の自慢の相棒だ。
「あいつはまた、パチンコでもしてるんじゃないですか?」
そう俺が言った時に丁度現場に早川が現れた。
「すいません、ちょっと女房と揉めてまして」
「おい早川、遅いぞ」
「いやあ、女房の奴が呪いのカナタさんとかいう、オカルト話を信じちまって。怖いから今日は早く帰ってきてって泣きついてきて」
カナタさんか確かにあのオカルト話、今知らない奴はあんましいないだろうから。
「全く幽霊とかいるわけ無いだろう」
「とにかく聞き込みに廻ってくれ。」
町中に長谷川さんと神奈川さんの目撃情報を調べているが、夜中の2時なんてみんな見ている訳がない。
「先輩、本当に目撃者なんているんすか?」
早川は不満気に呟いた、それは俺も同感だ、死亡推定時刻が夜中の2時だし、人気のない神社だいる訳がない
「あのなぁ、確かに同感はするが断言出来ないぞ。なにせ確かに人気はないが、二人の叫び声が聞こえるはずだ。近くに家があるんだ聞こえているはずだ」
そうだ、二人は頭が無くなっているんだ、つまり何らかの凶器を犯人は持っているはず。
そんな凶器を持っているのを目撃したら、絶対叫ぶはずだ。
まずは神社の近くにある小学校の付近にある家を訪ねた。
チャイムを鳴らすと、ピンポンとチャイムがなり、家の中からその家の住民が出てきた。
「はーいどなたですか?」
女性は俺たちを怪訝に思っていそうで、直ぐに警察手帳を見せてから身分を名乗った
「私は赤井陸で、隣が早川任三郎です。少しだけ話を聞かせて貰えませんか」
「知っている限りでいいですか?そもそも何の取り調べなんですか?近くの神社に警察が来ているみたいですけど」
「はい先程警察に殺人事件の通報がありまして、それの取り調べと言うより事情聴取ですので拒否権はあります」
「ならいいですよ、何が訊きたいんですか?」
俺は一息入れると
「まずは午前二時に叫び声は聞こえましたか?」
「叫び声?・・・いいえその時間帯は徹夜で漫画を書いていましたけど、全然聞こえませんでしたよ、あと神社ですよね、そんな距離の叫び声、ここまで聞こえませんよ」
確かにそうだった、馬鹿だぁ俺は・・・
聞き込みは諦めるしかない
「すいません以上です、他に思い出した事があったら、こちらへ連絡をして下さい」
名刺を渡すとその場を去った。
4月12日 (水) 赤井陸
あれから進展はなしだ、まああんな夜中でしかも人気のない神社で起こった殺人事件を直ぐに解ける訳がないからか。
でも解けない謎なんてない、きっと解けるはずだ。
この殺人事件は少し特殊だけど絶対に解決する。
「先輩、知っているんすか?呪いのカナタさんって」
それは昨日噂話を聞いたばかりだ。
「ああ知っているよ」
「なら、神社で祝詞を唱えるのが方法の一つだという事もっすか?」
神社で?・・・まさか・・・そんな訳ない、呪いなんてないんだ!!絶対に!!
「何が言いたいんだ?」
「要するにっすね、呪いのカナタさんの仕業じゃないんすか?」
「呪いなんてない!!絶対!!」
4月11日(火)春川ますみ
わたしは春川ますみ、今日は朝早くに起きてしまった。パトカーの音で起こされたのだ。
全くサイレンを朝早くに鳴らさないで欲しいとわたしは思う。
朝早いんだからそうそう混んでいないはずなんだから。
そもそも朝っぱらからサイレン鳴らすとか、近所迷惑になることも考えないのかしら。
はぁ朝から最悪よ!!
わたしは顔を洗うと、朝ご飯を食べた。わたしの朝ご飯はいつも、パンにハムエッグとコーヒーと決まっている、そんな習慣が身についてしまった。
今日は帰ってきたら酒でも呑みましょう。
わたしはここから自動車で二十分の所にある、カナミ新聞社に勤めている。
車で行くのだが結構道は複雑なの。
「そういえば仁美あんた、また翔子の彼氏を奪ったみたいじゃない、一体あんた何を考えているの?」
宮川仁美と若田麻衣子が何か話しているのが聞こえて来た。
なんか仁美って、人の彼氏を奪う事を生き甲斐にしている、そんな感じがする。
前も中田由紀子の彼氏を奪っていたし、その前は原山佳奈多の彼氏を奪っている。
そんなに人の彼氏がいいのかな?
仁美は可愛いんだから彼氏を奪わなくてもいいのに。
でも仁美は人の彼氏を奪うのは辞めないわね。
「まあワタシは人の彼氏が宝石なんだよね、ていうかみんなチョロイのよね、ワタシがただ奪うだけって知らないし、この会社以外の男性しか狙わないから、ばれる心配無いのよね。」
そういう所は狡賢いのよね。確かにこの会社で仁美の男癖の悪さを知らない男いないからね。
「まあ騙される奴が悪いのよ」
この性格を知っていれば騙される事ないのにね。
「前も確か原山佳奈多って子の彼氏を奪ってなかった?確か自殺したんじゃなかった?」
「あんなのブサイクが粋がってたから悪いのよ。」
「まあそうね、それよりイケメン漁りに行かない?」
そこからは違う話になった。
なんで自殺した子にそんな事が言えるのよ。
「編集長なんで仁美を首にしないんですか?」
「まあ今は昼休みだし、人の恋愛沙汰に首をつっこむのもねぇ」
駄目だ使い物にならない。
編集長も仁美に恋い焦がれているんだろうな。
「わたし殺人事件の取材に行ってきます。」
事件現場 春川ますみ
事件現場でわたしの家の近くの神社で殺人事件が起きていたみたい。
今朝のパトカーの音はこれだったのね。
殺人事件の進展は無しのようだ。
花川貴史という刑事に取材してみることにした。
「すいません、取材協力お願いできますか?」
「いいですよ」
4月12日 (水) 赤井陸
「なあお前、呪いのカナタさんっていると思うか?」
俺は優花に訊いてみた、まあ優花は信じているだろうけどな。
優花はオカルト話に目がなく、結婚する前からオカルト好きだった。
「私はいないと思うな」
えっ予想外の答えに仰天した。あの優花がそんな事を言うなんて。
「私ね確かにオカルト好きだけど、明らかに作り話って話しは信じない事にしてるの。後私は雪女とかそういう話も好きよ。」
「そうなんだ、それよりも昨日はゴメンな面談行けなくてさ」
「あら、そんなの結婚前から決めていた事じゃない。何を謝る必要ないわよ」
「そうかお前ありがとう」
「じゃあおやすみなさい」